映画監督の崔洋一さん死去 73歳 「月はどっちに出ている」「血と骨」 たけし追悼「喧嘩もしたし、酒も飲んだし…」

(2022年11 月28日12:30)

映画監督の崔洋一さん死去 73歳 「月はどっちに出ている」「血と骨」 たけし追悼「喧嘩もしたし、酒も飲んだし…」
崔洋一監督

「月はどっちに出ている」「血と骨」などで知られる映画監督で、前日本映画監督協会理事長の崔洋一さんが27日午前1時、ぼうこうがんのために死去した。73歳。長野県出身。「血と骨」に主演したビートたけし(75)が公式サイトで追悼するコメントを発表した。

崔監督は2019年にぼうこうがんが見つかり、2020年4月に16時間に及ぶぼうこうの全摘出手術を受けた。今年1月にぼうこうがんを患っていることを公表して闘病していた。右腎、リンパ、肺にがんが転移し、肺炎も患ったが「やりたい仕事がまだまだある。そのためにまず治療に専念したい」と語っていたがかなわなかった。葬儀・告別式は家族や近親者で営まれる。喪主は妻の青木映子さん。後日お別れの会が行われる。

■崔洋一(さい・よういち)

1949年7月6日生まれ。長野県佐久市出身。父は在日朝鮮人で母は日本人。東京朝鮮中高級学校高等部を卒業。照明助手として映画界入りし小道具を経て演出部に転向。大島渚監督の「愛のコリーダ」(1976年)、村川透監督の「最も危険な遊戯」(1978年)の助監督を務め、1981年、日本テレビ系「プロハンター」で監督デビュー。
1983年、内田裕也主演の「十階のモスキート」で映画監督デビュー。タクシー運転手を務める在日コリアンの男性(石橋凌)とフィリピン女性(ルビー・モレノ)との恋愛などを描いた「月はどっちに出ている」(1993年)でキネマ旬報ベストテン日本映画1位、監督賞、脚本賞、主演女優賞など数多くの映画賞を受賞した。梁石日(ヤン・ソギル)の同名小説を原作にビートたけし主演で映画化した「血と骨」(2004年)では日本アカデミー賞最優秀監督賞、優秀脚本賞など数多くの賞を受賞した。ほかに「友よ、静かに眠れ」(1985年)、「Aサインデイズ」(1989年)、「マークスの山」(1995年)、「クイール」(2004年)、「カムイ外伝」(2009年)など多数の作品を残した。2022年6月まで18年間日本映画監督協会の理事長を務めた。

■ビートたけしが追悼コメント「喧嘩もしたし、酒も飲んだし…」

崔監督の「血と骨」に主演したビートたけしは27日、公式サイトで「次から次へと同じ世代の映画仲間が死んでしまい、がっくりしている。崔さんと映画制作の中で喧嘩もしたし、 酒飲んだり色々な事があった。みんな良い思い出です。」とコメントを発表し崔監督の死を悼んだ。