唐十郎さん死去 84歳 アングラ演劇の旗手 劇作家・演出家・俳優・小説家

(2024年5月5日13:00)

唐十郎さん死去 84歳 アングラ演劇の旗手 劇作家・演出家・俳優・小説家
唐十郎さん(劇団唐組の公式サイトより)

劇作家で「劇団唐組」主宰の唐十郎(本名・大鶴義英)さんが4日、東京・中野区の病院で急性硬膜下血腫のため死去した。84歳だった。劇団が公式ブログで5日、発表した。

公式ブログでは「逝去のお知らせ」と題して「劇団唐組主宰の唐十郎(本名:大靏義英オオツルヨシヒデ 1940年2月11日生まれ)が5月4日21時01分に(右)急性硬膜下血腫で永眠致しました」と報告した。「5月1日午前中に自宅で転倒し、中野区内病院に緊急搬送されました。享年84才でした」という。  「ここに生前のご厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げます。なお、通夜、葬儀は近親者のみで執り行う予定で、日程などはまだ未定です」と伝えた。 なお、唐組春公演は予定通り行うという。

長男の俳優・大鶴義丹(56)は、所属事務所を通じてコメントを発表。「私がまだ十代だったとき、いつも父は、三度の飯のように芝居をし続けたいと言っていました。最後まで芝居を愛して、芝居に愛された、最高に幸せな人生だったと思います」と追悼表した。 ■唐十郎(から・じゅうろう)
1940年2月11日生まれ。東京都出身。劇作家、演出家、俳優、小説家。58年、明治大学文学部演劇科に入学、学生劇だ「実験劇場」で俳優として活動。63年、サルトル作『恭しき娼婦』で劇団「シチュエーションの会」を旗揚げ。64年に状況劇場に改名。67年、新宿花園神社境内で初の紅テント公演を行う。アンダーグラウンドカルチャーの旗手として絶大な人気を博し、67年に結婚して88年に離婚した女優の李麗仙(21年79歳没)をはじめ、大久保鷹、根津甚八など個性派俳優を多数輩出する。
韓国、台湾、バングラデシュ、レバノン、シリア公演など海外公演も敢行。70年『少女仮面』で岸田國士戯曲賞受賞。83年『佐川君からの手紙』で芥川賞受賞。
88年、状況劇場を解散し1989年に劇団「唐組」を旗揚げ。作・演出、出演を務めテント公演を精力的に行う。2003年『泥人魚』にて紀伊国屋演劇賞、読売演劇大賞演出家優秀賞、鶴屋南北賞、読売文学賞受賞。これまでの独創的な舞台制作の功績が評価され、12年度朝日賞受賞。12年に明大文学部客員教授に就任。長男は俳優大鶴義丹、次男は大鶴佐助。

■宮沢りえが追悼

唐十郎さん死去 84歳 アングラ演劇の旗手 劇作家・演出家・俳優・小説家
唐十郎さん㊨と宮沢りえ(Instagram/@riemiyazawa0406_official)

宮沢りえは生前の唐さんとのツーショットを自身のインスタグラム・ストーリーズに投稿して「唐さん、さようなら。」「唐さんの作品に出会えた事は、人生の、最高の宝物です。これからも大切に、大切にします」とつづった。宮沢は、2012年に「下谷万年物語」で唐さんの作品に初出演下のをはじめ、唐さんの代表作「泥人魚」の2021年公演や、「盲導犬」(13年)などに出演した。