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ショーン・ペン、反ワクチン派に反論「独立は相互依存の上に成り立っていることを忘れている」

(2021年8月24日10:30)

ショーン・ペン、反ワクチン派に反論「独立は相互依存の上に成り立っていることを忘れている」
ショーン・ペン(インスタグラムから)

新型コロナウイルスのデルタ株がアメリカでも猛威を振るい、パンデミックの最悪期のときの状態に近づき場合によってはそれを超えていると報じられる中、オスカー俳優のショーン・ペン(61)は反ワクチン主義者とその主張に持論を展開した。

米サイト「TooFab」によると、ショーン・ペンは、7月に開催されたカンヌ国際映画祭に自身が監督・主演を務め、娘のディラン・ペン(30)と共演した映画『Flag Day(原題)』が上映され、娘と出席したときに、1972年に起きたウォーターゲート事件を描くドラマの新シリーズ「Gaslit」(原題)のスタッフ全員がワクチンを接種するまで撮影現場に戻らないと宣言して波紋を呼んだ。ウォーターゲート事件は、1972年に6月17日に米ワシントンD.C.の民主党本部で起きた盗聴侵入事件に始まり、1974年8月9日に事件への関連を疑われて弾劾されたニクソン大統領の辞任までを総称する政治スキャンダル。同作でショーン・ペンはジュリア・ロバーツと共演する。

ペンはさらに一歩進んで、米国憲法修正条項第2条に言及して反ワクチン派に反論した。(同2条は人民の武装権を認定したもの=規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有し、また携帯する権利は、これを侵してはならない。)
ペンは「私は憲法修正第2条についてある部分は強く信じている」とした上で「しかし、ワクチンを接種しない人の顔に銃を向けて回ることはできないということを認識する必要があると思う」と語った。反ワクチン派の中には、修正条項第2条を根拠に銃規制に反対する者が多いことから皮肉を込めて同2条を引き合いに出したとみられる。

■反ワクチン派の2つのグループ

そして、ペンはワクチン反対派は2つの異なる陣営に分かれると指摘する。1つは、ワクチンがFDA(米食品医薬品局)の仮承認を得て急いで作られたため、慎重になっている人たちだという。この陣営については、「FDAが完全に承認すれば、接種を進めていくだろう」というが、残念ながらこの陣営は少数派だという。(23日のロイター電によると、米食品医薬品局(FDA)は23日、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチンを正式承認した。米国で新型コロナワクチンの正式承認は今回が初めて。)

もう一つの反ワクチン陣営についてペンは次のように嘆く。「ある種の過激なリバタリアニズム(個人的な自由、経済的な自由の双方を重視する、自由主義上の政治思想・政治哲学の立場)や政治的アイデンティティに凝り固まった人々が、アメリカ合衆国の歴史全体において、独立は相互依存の上に成り立っていることを忘れてしまっている」と指摘する。

「多くの国と同様に、アメリカの建国は社会の構築に基づいている。社会とは、人々が公益のために集まり、集団全体の利益のために資源や知性を共有すること。社会を成功させるためには、私たち自身がそうであるように、社会の構成員一人ひとりを大切にし、価値を認めなければならない。この相互依存が失われつつある」という。
「社会的に起きているすべてのことに目を向けてみてください。もし私たちが物事を成功裡に続けるならば、もしもジョージ・フロイドのことのような、昨年学んだ素晴らしい教訓を生かそうとするならば、いくつかの出来事から教訓を得て前進しようとするならば、私たちはそれを相互に依存して実現するのです」という。

「人々が認識すべきことは、『ワクチン接種はビジネス、ライフスタイル、そしてアメリカと世界中の人々の生活に脅威を与えていることについて考えることの始まりである』ということです」。

■トランプ前大統領も制御不能?

このメッセージは、共和党の事実上のリーダーであるドナルド・トランプ氏には伝わっていないという。トランプ氏は、彼の信奉者の間でワクチンを躊躇する傾向を悪化させたと多くの人が考えているという。

そうしたなかトランプ氏は先週末にアラバマ州で行われた集会で「私は皆さんの自由を完全に信じています。私は皆さんの自由を全面的に信じています。皆さんは自分のすべきことをしなければなりませんが、私はワクチンを受けることを勧めます。私はそれをやった。それはいいことだ」と訴えた。

ところが、観客はトランプ氏のワクチン接種推奨発言に反発したという。その反応を受けて、トランプ氏はトーンダウンして、「オーケーだ。それはいい。しかし、私はたまたまワクチンを接種した。もし効かなかったら、あなたが最初に知ることになるでしょう。でも、効いていますよ。あなたには自由があります、それを維持しなければなりません」と語ったという。

CDC(米疾病予防管理センター)が発表した最新の数字によると、アメリカ人のワクチン接種率は人口の約51.3%で、赤い州(共和党支持者の多い州)では低く、青い州(民主党支持者の多い州)では高いという統計が出ているという。

■アカデミー賞主演男優賞を2回受賞

ショーン・ペンは「ミスティック・リバー」(2003年)と「ミルク」(2008年)で2度アカデミー賞主演男優賞を受賞。世界3大映画祭(ヴェネツィア、カンヌ、ベルリン)の主演男優賞をすべて受賞するなど国際的にも評価が高い。
私生活では1985年、歌手マドンナと結婚したが89年に離婚。91年から女優のロビン・ライトと交際して2児をもうけ96年に結婚。お互いに離婚申請をしてその後撤回するなどして2010年に正式に離婚した。2013年から女優のシャーリーズ・セロンと交際して婚約したが2015年に破局。2016年から女優レイラ・ジョージ(29)と交際して2020年に結婚。結婚は三度目。レイラはオーストラリア出身の女優で「ジュラシック・ワールド」などで知られる俳優ヴィンセント・ドノフリオ(61)と女優グレタ・スカッキの娘。「移動都市/モータル・エンジン」などに出演している。