ワーナーブラザースジャパン、米本社の「#バーベンハイマ―」便乗に抗議する異例の声明

(2023年8月2日11:45)

ワーナーブラザースジャパン、米本社の「#バーベンハイマ―」便乗に抗議する異例の声明
バービーを肩に乗せるオッペンハイマー(『バービー』の米国の公式ツイッター、現在は削除)

ワーナーブラザースジャパン合同会社は7月31日、映画「バービー」の日本公式ツイッターを通じて声明を発表し、「映画『バービー』のアメリカ本社のアカウントの配慮に欠けた反応は、極めて遺憾」と批判し、「しかるべき対応」を求めていることを明らかにして、「不快な思いをされた方々にお詫び申し上げます」と謝罪した。米国の「#Barbenheimer」(バーベンハイマ―)が波紋を広げている。

米国で7月21日から公開され大ヒットしている映画「バービー」(8月11日、日本公開)と{原爆の父」といわれる米国の原爆開発を主導した科学者ロバート・オッペンハイマーを描いた「OPPENHEIMER(原題)」(日本公開未定)の2作品を観ることを推奨する米国のファンが、非公式による2本を合体した「#Barbenheimer」(バーベンハイマ―)で、バービーと原爆のきのこ雲をコラージュしたファンアートなどを投稿してインターネット上に拡散し、これを米ワーナー・ブラザースが「バービー」の米国の公式アカウントに掲載して被爆国である日本で物議をかもしていた。

そうしたなか、「バービー」の日本の公式ツイッターでは「映画『バービー』のSNSについて」と題して声明を発表した。
「現在、いずれも7月21日にアメリカで公開されました映画『バービー』(配給:ワーナー・ブラザース)と映画『OPPENHEIMER(原題)』(配給:ユニバーサル・ピクチャーズ)の両作品を観ることを推奨する海外のファンによるムーブメント(#Barbenheimer)が起こっていますが、このムーブメントは公式なものではありません」と#Barbenheimerは公式なものではないと指摘。
そして「一方で、このムーブメントに起因したファンのSNSに対して行われた、映画『バービー』のアメリカ本社のアカウントの配慮に欠けた反応は、極めて遺憾なものと考えており、この事態を重く受け止め、アメリカ本社にしかるべき対応を求めています」としたうえで、「この配慮に欠けた一連の反応について、不快な思いをされた方々には、お詫び申し上げます」と謝罪した。

この問題は米国でも波紋を広げているようだ。米サイトTMZは、「ワーナー・ブラザース(WB)が日本のWB関係者に公式に謝罪した。彼らは、米国の「バービー」ツイッター・アカウントに無神経な「バーベンハイマー・ミーム」が投稿されたとして激怒している」と報じた。

「バービー」の米国公式ツイッターアカウントは、爆発と火災を背景に、(バービー役の)マーゴット・ロビーが(オッペンハイマー役の)シリアン・マーフィーの肩に乗るという、ファンが作成したアートに反応したという。

これは明らかに#Barbenheimerのギャグで、それだけでは一見何の罪もないように見えるが。米国の「バービー」の公式ツイッターが「忘れられない夏になりそう」とコメントし、キュートな絵文字を添えて”大炎上”したと指摘し、日本の「バービー」公式ツイッターアカウントは、親会社がふざけた原爆のイメージに賛同したことを非難したと報じた。

ワーナーブラザースジャパン、米本社の「#バーベンハイマ―」便乗に抗議する異例の声明
「バービー」の日本版公式サイト
ワーナーブラザースジャパン、米本社の「#バーベンハイマ―」便乗に抗議する異例の声明
「OPPENHEIMER」(米国の公式サイト)

米国のワーナーは、「ワーナー・ブラザースは、このたびの無神経なソーシャルメディアへの関与について遺憾の意を表し、心から謝罪します」と謝罪したという。

ちなみに、Twitter/X社自身はこの画像をあまり面白いとは思っていなかったようで、同社は実際に、第二次世界大戦中に米国が原爆投下を決定した結果、数十万人の日本人が死亡したことに言及し、事実確認のためのTwitterメモをその下に貼り付けたという。

同TMZは、「OPPENHEIMER」と広島・長崎への原爆投下に関する扱いについて、多くの議論が交わされている。この映画が原爆投下の衝撃を覆い隠しているように感じる人もいるし、日本で失われた無数の命に対して鈍感だと感じる人もいる。それは日本という国の立場でもあるようだ。日本国内での公開日はまだ決まっていないのだから――と報じている。