スーザン・サランドン、反ユダヤ的発言で映画を降板 所属事務所は解雇

(2023年12月6日12:30)

スーザン・サランドン、反ユダヤ的発言で映画を降板 所属事務所は解雇
スーザン・サランドン(Instagram/@susansarandon)

オスカー女優のスーザン・サランドン(77)がパレスティナ支持集会で反ユダヤ的な発言をしたとして、決まっていた映画を降板させられたことが分かった。米メディアが報じた。

米Page Sixによると、サランドンは、出演予定だった短編映画「Slipping Away」(原題)から降板させられたという。製作会社PTO Filmsのデイヴィッド・バローゾ氏は「PTO Filmsはスーザン・サランドンの見解が我々の組織の意見を反映するものではないことを明確にしたいと思います。私たちは短編映画に彼女の出演を検討していましたが、彼女の最近の発言により、他の選択肢を追求することにしました」とサランドンの降板を明らかにした。

映画情報サイトIMDBによると、「Slipping Away」は、自身の精神的疾患と妻の不倫に悩む統合失調症の男性を描いたスリラーだという。サランドンは医師役を演じる予定だったという。

サランドンは、反ユダヤ的発言が原因で所属していたハリウッドの有力エージェント、ユナイテッド・タレント・エージェンシー(UTA)から解雇されていた。

サランドンは11月17日にニューヨークで開かれたパレスチナ支持派の集会で、イスラエルとハマスの戦争をめぐって、イスラエル軍の空爆やミサイル攻撃で多数の一般市民の犠牲者が出ていることから、米国でもパレスティナ支持のデモが起きていることを受けて、「現在多くの人々がユダヤ人であることを恐れており、この国で頻繁に暴力にさらされているイスラム教徒であることがどのようなことなのかを経験している」などと発言した。

非難が殺到して2週間後の1日にSNSで「この発言は、つい最近までユダヤ人が迫害の対象であったかのような印象を与えるもので、とんでもない間違いでした」と謝罪。「このコメントでこの現実を矮小化し、人々を傷つけたことを深く後悔しています」としたうえで、「あらゆる偏見との闘いに連帯を示すことが私の意図であり、そうできなかったことを申し訳なく思っています」としていた。

パレスティナ自治区のガザ地区を実効支配するイスラム武装組織ハマスとハマスの壊滅を目指すイスラエル軍の戦闘が始まって以来、ハリウッドではパレスティナ支持派とイスラエル支持派が様々な意見をSNSなどで発信しているが、サランドンの事務所解雇、映画降板という異例の事態も起きて波紋を広げている。ハリウッドは映画会社の創設者をはじめユダヤ系移民のチャップリンをはじめユダヤ人が多いことで知られる。

ニューヨーク出身のサランドンは、主演した「ロッキー・ホラー・ショー」(75)が大ヒット。「テルマ&ルイーズ」(91)などの数多くの映画に出演し「デッドマン・ウォ―キング」(95)でアカデミー賞主演女優賞を受賞した。反戦運動や人権問題に積極的に関わり、トランプ氏が当選した2016年の米大統領選の予備選では、民主党のバーニー・サンダース候補を支持して応援演説も行った。最終的には多くのハリウッドスターが民主党のヒラリー・クリントン支持を表明するなか、緑の党から出馬したジル・スタインに投票した事で知られる。

9月にはNYの集会で化石燃料廃止を訴えた。インスタグラムにスピ―する写真を投稿して、「バイデン大統領が化石燃料のさらなるパイプラインと生産を停止するよう要求するための行進には絶好の日だ。米国は世界最大の石油・ガス生産国であり、ガス輸出国であり、今後数十年間に計画されている石油・ガス拡張の3分の1を占めている。私たちはバイデンに対し、この緊急事態において行政権をフルに行使し、化石燃料を今すぐ廃止するよう求める」とつづった。