アレック・ボールドウィンの「ラスト」誤射事件裁判 判事が過失致死罪の訴追をを却下 ボールドウィン法廷で号泣

(2024年7月13日10:15)

アレック・ボールドウィンの「ラスト」誤射事件裁判 判事が過失致死罪の訴追をを却下
アレック・ボールドウィン(Instagram/@alecbaldwininsta)

米俳優アレック・ボールドウィン被告(66)の過失致死裁判は12日(現地時間)、突然終わりを告げた。ニューメキシコ州の裁判所の判事は、警察当局が弁護側に証拠を隠したとして、「ラスト」誤射事件のボールドウィンに対する過失致死罪を棄却した。米メディアが報じた。

米サイトTMZによると、ボールドウィンは、棄却が明らかになると法廷で泣き崩れたという。ボールドウィンは、映画「ラスト」(原題:Rust)の撮影中に撃った小道具の拳銃に誤って実弾が入って、撮影監督ハリーナ・ハッチンズさんに当たり死亡した過失致死罪で訴追された。有罪判決を受けた場合、最高1年6月の禁錮刑に直面する可能性があった。判事による訴追棄却で、陪審員の評決を待つまでもなく無罪となった。

アレック・ボールドウィンの「ラスト」誤射事件裁判 判事が過失致死罪の訴追をを却下
法廷で涙を流すアレック・ボールドウィン(米法廷チャンネルCourt TVの公式Xから=@Court TV)

ボールドウィンの弁護士アレックス・スピロ氏は、検察当局が撮影現場で実弾が使われていた証拠を意図的に隠したと主張した。

警察の捜査官マリッサ・ポッペル氏は、警察が証拠として撮影現場で使われていた弾薬を受け取ったとする報告書を作成したが、「ラスト」事件とは別の事件番号で提出するよう上司から指示されていたと証言した。つまり、弁護側が見ることがないようにするためだという。
撮影現場での実弾の使用は、この事件の重要な部分であり、ボールドウィンが安全基準の緩みについて周囲に責任があったと主張するのに役立った可能性があるとう。

判事は、検察側が重要な証拠を隠したことがボールドウィンの弁護能力を妨げたとして、訴追を却下することが妥当であると判断したという。この事件の検事の一人は、証拠隠蔽の疑いで同日の審理の途中で辞職したという。

同事件では、ハッチンズさんの夫マシュー・ハッチンズさんが不法死亡訴訟を起こしたが、昨年和解が成立した。その直後、一時中断していた「ラスト」の撮影が再開され、マシュー・ハッチンズさんが製作総指揮に指名され、「ラスト」は2023年5月にクランクアップした。

■映画「ラスト」誤射事件

事件は2021年10月21日(現地時間)、米ニューメキシコ州のロケ地で西部劇「ラスト」のリハーサル中に起きた。教会のセットでボールドウィンが小道具の銃を発砲し、実弾が発射され撮影監督のハリナ・ハッチンズさん(当時42)の胸に当たり死亡、彼女を体を貫通した銃弾が近くにいたジョエル・ソウザ監督(48)の肩に当たり負傷した。

昨年12月、ボールドウィンは米ABCニュースのインタビューで「引き金は引いていない」「銃に実弾が入っていたとは知らなかった」などと語った。ハッチンズさんの死は事故であり、自分に責任はないと主張。スタッフは銃に実弾が入っておらず、適切に空砲が装填されていることを確認するべきだったとしている。また、引き金は引いてなく、拳銃の撃鉄を戻した後、銃が勝手に暴発したなどと主張していた。
現地の検察当局は2023年3月に過失致死罪で訴追したが同年4月に訴追を取り下げていた。小道具の武器担当だったハンナ・グティエレス=リードが過失致死罪で訴追されており、ボールドウィンは映画のエグゼクティブプロデューサーだが、日々の決定を下す立場になかったことで検察が訴追を断念したのではないかと報じられた。

【関連記事】
アレック・ボールドウィン、「ラスト」誤射死傷事件の公判に出廷 過失致死罪で有罪なら禁錮1年6月
アレック・ボールドウィン、映画「ラスト」誤射死傷事件での訴追棄却を請求
映画「ラスト」誤射死傷事件 兵器係ハンナ・グティエレス=リード被告に過失致死罪で有罪評決
アレック・ボールドウィン、映画「ラスト」誤射死傷事件の裁判が7月に決定 9日間の予定
映画「ラスト」誤射死傷事件、アレック・ボールドウィンの訴追が取り下げられる
アレック・ボールドウィン、過失致死罪で正式に訴追 検事局はボールドウィンの安全上の過失を数多く列挙
アレック・ボールドウィン、過失致死罪で訴追される 映画「ラスト」誤射事件 禁固5年の可能性も
アレック・ボールドウィン、「ラスト」誤射死傷事件でスタッフ4人を提訴 撮影現場の安全確保を怠った
アレック・ボールドウィンの映画「ラスト」銃誤射死傷事件、検察が証拠を検証開始 訴追大詰め
アレック・ボールドウィン、「ラスト」誤射事件で遺族と和解 検察は「刑事事件に影響ない」
アレック・ボールドウィン、誤射死傷事件が立件へ 地方検事局が訴追を明言
「ラスト」誤射死傷事件でアレック・ボールドウィンの携帯に捜索令状
アレック・ボールドウィン「引き金を引いていない」の主張に米俳優が「でたらめ」と非難
アレック・ボールドウィン「引き金を引いていない」「私に責任はない」 誤射事件後初のインタビューで語る アレック・ボールドウィンの誤射事件、銃の練習中だった 警察「刑事責任は否定されていない」
アレック・ボールドウィンの誤射事件、銃の練習中だった 警察「刑事責任は否定されていない」
アレック・ボールドウィンの銃誤射死傷事件、米TVプロデューサーが撮影現場で実銃の使用を禁止 署名運動に1万6000人
アレック・ボールドウィン、銃の安全性に関するルールを無視していた 刑事責任の可能性浮上
アレック・ボールドウィンの銃誤射死傷事件、経験の浅い兵器担当のミスか?助監督はノーチェックだった?
アレック・ボールドウィンの銃誤射死傷事件、小道具の銃担当は代替要員だった 事件前にも3回誤射
アレック・ボールドウィン、映画の撮影で小道具の銃を誤射 撮影監督死亡・監督負傷