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「ネクタイを締めた百姓一揆」 東北新幹線新花巻駅実現までの14年間の闘いを描いた異色作品

(2020年11月7日21:40)

「ネクタイを締めた百姓一揆」 東北新幹線新花巻駅実現までの14年間の闘いを描いた異色作品
「ネクタイを締めた百姓一揆」

東北新幹線新花巻駅の開設を実現した市民運動の14年間の活動の実話をもとにドラマとして映画化した異色の作品。岩手県の新花巻駅は地方自治体や地元住民や周辺企業などの要望で開設された”請願駅“として知られる。花巻市に駅を設置するために、市民らが運動を繰り広げる様子が描かれる。河野ジベ太が脚本と監督を担当した。「激動の70年代、理想と現実、人と人の思いが真っ向からぶつかった時代。駅を素人の市民が作ろうとすれば当然、知らないことだらけ、一筋縄で行きません。不器用に間違えて回り道してぶつかって、それでもくじけず前を向くエネルギーを大切にしようと思いながら脚本を書きました」とコメントしている。地元・岩手県の5つの映画館で先行上映が行われた。

■ストーリー

1971年10月、当時の国鉄(JR東日本などに分割・民営化される前の日本国有鉄道)が東北新幹線基本工事計画を発表した。東海道新幹線の成功で花巻市でも新幹線の停車駅設置の期待が高まっていたが、岩手県では盛岡と一関が決まり花巻の名前はなかった。その上路線も街の中心部を大きく外れた矢沢地区を通ることになっていた。あきらめムードが広がるなか数名の市民が立ち上がって「東北新幹線問題対策花巻市民会議」を立ち上げる。満州帰りの熱血漢ジンノスケ(金野佳博)が議長となり、市内のまるかん百貨店のオーナー、まるかん(千田秀幸)、書店オーナーのセイザンボウ(城戸直行)や市議会議員(堀切和重)ら市民会議のメンバーが上京して国鉄本社の幹部に直談判するが「総合的判断で決まった」と一蹴されてジンノスケが国鉄幹部に掴みかかるなど大混乱になるシーンも。(上の写真)それでもあきらめず岩手県知事らを巻き込んで「ネクタイを締めた百姓一揆」を展開して行く。

■みどころ

国鉄の計画にはなかった新幹線の停車駅を地元の人たちが勝ち取るという奇跡的な実話をもとに、新花巻駅誕生(1985年3月)までの14年間を市民会議メンバーらの結束と情熱と粘り強い闘いを中心にドキュメントタッチで描いている。ユーモラスなシーンもふんだんに取り入れて市民会議のメンバーの個性あふれる人間模様や当時の国鉄の対応、地元の国鉄職員の組合活動や考えなどを描いたエンターテインメントになっている。出演している俳優たちも体当たりで突破口を切り開いてゆく市民会議のメンバ―などを熱演して存在感を見せている。(11月6日から東京・UPLINK渋谷ほかで上映中)