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11月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦

(2020年11月9日15:45)

文化放送「上地由真のワンダーユーマン」(月曜午後9時30分)でパーソナリティ―の上地由真と映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんの3人が11月のおすすめ映画を紹介して見どころを解説した。同番組では毎週テーマを設け“由真的”テイストで進行。毎月第1週目は「今月のシネマログ」と題し、その月に公開される話題の映画作品を上地由真と映画の専門家2人が紹介する。2日の放送で「ビューティフルドリーマー」、「ホテルローヤル」、「さくら」が紹介された。

11月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
(㊧から東紗友美、上地由真、荒木久文)

上地  上地由真のワンダーユーマン!
今週もよろしくお願いします!

今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」ということで・・・「さゆみん」こと映画ソムリエの東紗友美さんと、映画評論家の荒木久文さんとお届けしていきたいと思います。 よろしくお願いします!

荒木・東  よろしくお願いします!

上地    さて、本日もこちらのコーナーからです。「由真のナニソレ」。 もう、今日はですね、どうしてもこのお話をさゆみんと荒木さんとしたかったんです。どうしても。

荒木    何のお話?

上地    鬼滅―!!

荒木・東  鬼滅の刃!!

上地    劇場版「鬼滅の刃」無限列車編…見ました?!

東     見ました!!

上地    もう、すっごい顔カピカピ事件…泣きすぎて。

東     涙の痕でファンデーションがもう固まっちゃうくらい、本当に5、6回泣いちゃいましたね。

上地    化粧水持って行かないといけないなと思いました、あれ見て。 私の推しは伊之助なんですけど…。

東     おっ!私、推し聞きたかったんですよ。伊之助推しですか。

上地    さゆみんは?

東     私はね、煉獄さん!今回ね、ちょっと色々あるんですけど…。煉獄さんだったんで、大変堪能させていただきました。

上地    伊之助だったんですけども、煉獄さん大好きになりました。

東     あっ、なりましたか~。

上地    やっぱりこの映画は煉獄さんがとにかくカッコ良かったですよね。これ、もらいました?配布される特典の零巻。ここに裏テーマ、隠されてるの知ってます?

東     知らない! 読んだのに~。

上地    隠しメッセージが隠されているんですって。私も聞いてびっくりしたんですけど。このね、大正コソコソ裏話っていう号外があるんですよ。そこに煉獄さんの座右の銘が書かれているんですけど。『斃れて後已む 精神一到何事か成らざらん』て書かれてるんですけど、これが隠された映画のテーマ。

東     あー!そうだったんだ~!!

上地    で、どういう意味かというと『斃れて後已む』というのは、命のある限り力を尽くし続ける。『精神一到何事か成らざらん』は、精神を集中して努力すればどんなことでも成し遂げられないことはない。命ある限り懸命に努力すれば、どんな困難も乗り越えられる、というメッセージで、煉獄さんてどんな辛いことでも今まで乗り越えてきたじゃないですか。だからそれがテーマになって、乗り越える力っていうのが、裏のテーマになっているみたいなんですよ。

東     その煉獄零巻の楽しみ方、知らなかったから嬉しいです!

上地    そうだよね!これを知ったら、とにかく鬼滅って残酷な中にも夢とか家族の絆とか家族愛とか、とにかく愛がテーマ、そして今回裏テーマとして乗り越える力。

東     たしかに見た後ふり返ると今まさに、それを描いた作品になっていて、見ているだけで本当にこちらもパワーとか元気をもらうんですよね。

上地    私、もう一回見に行ってきます。

東     私はもう二回見に行っちゃってます。ウフフフ…!

上地    アハハハ…!

今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して『今月のシネマログ』。最新の映画紹介や映画に関する話題をお送りしています。 さゆみん、お知らせがあるんですよね!

東     はい。今年も東京国際映画祭の季節がやってまいりました!現在第33回を迎える東京国際映画祭が六本木ヒルズや東京ミッドタウン日比谷などで、来週の月曜日9日まで開催中です。世界の映画祭もコロナの影響を受けていて、中止や縮小が多いのですが、東京国際映画祭はリスクにしっかり対応しながら映画館でのフィジカルな上映を基本に実施されています。
もう会場はね、とっても盛り上がっているみたいです。今までのコンペなどを統合した、東京プレミア2020や、ジャパニーズアニメーションなど、新しい部門も大変話題になっています。一般販売のチケットについては公式サイトをぜひチェックしてください!
上地    それでは11月公開の映画の中から、私、上地由真と、さゆみん、荒木久文さんの三人が、これはオススメと思った作品を独断で推薦、ご紹介していきます。 まずは、さゆみんからお願いします。

11月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「ビューティフルドリーマー」(11月6日公開)(公式サイトから)

東     はい、私の今月のオススメの一本は、『ビューティフルドリーマー』という作品です。映画界の鬼才監督による野心的な企画と若い才能たちの予測不可能なケミストリーで創造する新レーベル、シネマラボというレーベルから生まれた第一弾の作品になっています。
映画を撮ったことのない先勝美術大学映画研究会の部員たちが、文化祭の準備もせずにだらだらと怠けているんですけど、そこに部員のひとりが一本の台本と16ミリフィルムを教室の片隅で見つけます。実はこの台本、映研に伝わる曰く付きの台本だったんです。その台本には、「これは撮ろうとすると必ず何か恐ろしいことが起こる台本」と言われている台本だったということで、映画研究会の部員たちは冷や冷やしながらも、「これ頑張って撮ってみよう!」と作ることに決めました。しかし、その言葉通りに部員たちは次々と予期せぬトラブルに見舞われていくんですよ。彼らは無事にクランクアップ出来るのか…。

というお話になっています。青春映画になっているんですけども、これ映画好きはすっごく面白いと思って今月の作品に選びました。というのは、めちゃくちゃ彼らね、映画研究会の人たち、だらだらしているんですけど、映画オタクのね、部員たちがたくさんいるんですけど、何気ない日常会話にたくさん映画のタイトルが入っていて。映画好きに対してこっそりウィンクしてくれているような映画になっていて。映画の数をかなり見ている人、特に荒木さんとかいろいろ気付くところあったと思うんですけど、いっぱい出てきていて。それが本当に日常会話なんですよ。私が見た時に、「ああ、この人、友達に欲しいなあ・・・」と思って。新しく友達になりたい人が増えたような感じでね、なんか楽しくなったんですけど。しかも、この映画に登場するキャストの一人で、映画研究会の先輩の役として、斎藤工さんが出てくるんですよ。斎藤工さんと言えば、もう現代を生きる映画の神様に愛された男。自分で出たりもすれば、撮るし、監督もされるし。あのシネマバード、映画館のない地域の子供たちに映画を届ける活動までされている映画界の貴公子であり、そんな方が先輩役として出ていたり、映画好きは、「おっ!おっ!」ってどんどんテンション上げられていく感じがすごく面白かったし。
いろんなトラブルがあるんですけど、自分のサークル時代…なんかサークルってよくわからないトラブルたくさん起きるじゃないですか、想定してない…。

荒木    映研だったんですか?

東     私ね、スノボです。 上地    スノボかい…意外!

荒木    なんだそれ…笑

上地     アハハハ…!

東     映研とか言いたかったけど、本当はスノボです。でもね、いろんなトラブルが起きる感じ、すごく理解出来て。ちょっとノスタルジックな気持ちになりながら、その『ビューティフルドリーマー』というタイトル通り、まどろみの中にいるような、こういうことあったな、青春時代…と思うような映画になっていてね。

上地    私も、本当、自分の高校生の時の文化祭を思い出しました。クラス一丸となって夜遅くまで残って、頑張ってみんなで作り上げたな、準備したな…っていう、その時のことを思い出して、なんか青春思い出して懐かしくなりました。

東     そう、青春独特の文化祭を準備する独特の専務感みたいなものが濃縮されているんですよね。荒木さんいかがでした?

荒木    そうですね、俳優さんたちがね、若い人たちがいっぱい出てますね。

東     注目の方がいっぱいですよね。

荒木    はい。小川紗良さんとかね。彼女は映画監督もやっているんですよね。俳優さんもやるし、それから文筆業もやっているので、三刀流という風に呼ばれている、期待の女優さんですよね。
それと一番始めにこのレーベルですね。シネマラボということで、東さんが説明してくれたと思うんですけど、この本広監督始め、押井監督などが、上田慎一郎さんが参加する、一種の映画のレーベルなんですよ。実験レーベル。映画の作品というのは、いろんな人が関わってきて、それぞれいろんな役割分担があるんですけども、本来映画って、監督のものだと思うんですけど、実は実際の権限はいろんなところに分かれているわけですよね。プロデューサーとか、製作委員会とかにね。極端な話、俳優さん一人決めるにしろ、監督自分で独断で決めるわけにもいかないんですよ。それを今回はこのシネマラボというレーベルはそういったもの一切関係なく、お金さえ守ってくれれば全部監督が決めてちょうだい、という、そういうシステムなんですよ。なかなかね、こういうことは大変なことなんですよ、映画界。いろんな企画から始まって、キャスティング、ロケーションすべて、監督絶対主義という形で今回やるわけです。だから監督もね、言い訳出来ないわけ。全部真剣勝負ですよね。責任取ることになるわけですよね。そういう意味でも、ちょっと画期的。昔ねATGというシステムがあったんですけど、それに近いシステムなんで、監督の気持ちの入れ方も違うし、システムも新しいので、こういうところを使って新しい人たちが出てきたりすることもある、注目のシステムなんですよ。というシネマラボという、そのレーベルが作った第一作目ということで、『ビューティフルドリーマー』ですね。

東     ということで、私、東紗友美がご紹介したのは、11月6日公開の『ビューティフルドリーマー』でした。

11月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「ホテルローヤル」 (11月23日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー)(配給:ファントム・フィルム)(©桜木紫乃/集英社 ©2020映画「ホテルローヤル」製作委員会) 

上地    続いては、映画評論家、荒木久文さんのオススメ作品です。

荒木    はい、私がご紹介するのは、11月13日公開の『ホテルローヤル』というタイトルです。ホテルローヤルというのは、北海道の釧路湿原を望むモーテルというか、郊外のちょっと寂れたラブホテルです。ご休憩2時間3800円~というところですね。この映画はですね、そこで働く人とか、利用する人々が織りなす物語なんですけれども。主人公はこのモーテルの経営者の一人娘、田中雅代さん。波瑠さんが演じています。彼女は美術大学の受験に失敗してしまって、仕方なく家業であるラブホテルを手伝うことになるわけです。たった一つ心がときめくのは、ホテルに出入りするアダルトグッズの会社の営業マンの宮川さんです。これは松山ケンイチくんがやっています。彼に密かに思いを寄せているんですけども、告白することもしないで、二人のおばさんたちとただただ淡々と仕事をこなす毎日だったんです。一方このラブホテル、ホテルローヤルにはいろんな人が訪れます。ヌード写真を撮影するカップルとか、子育てと親の介護に追われる夫婦とか、様々な境遇の人がいろんな思いを抱いて訪れるのですが、当然いろんなトラブルも起こります。ある日、ホテルの一室で心中事件が起こり、マスコミが押しかけて、このホテルは注目の的になってしまって、商売あがったりでいるところに、父親が病気で倒れてしまいます。結局そのまま父に代わって、このホテルの経営を引き継ぐことになるのですが、それがきっかけで、雅代はホテルローヤルと自分の人生に初めて向き合っていきます…という感じなんですよね。
この映画は由真さんはまだご覧になっていないんですね?

上地    まだ見てないけど、面白そう!

荒木    東さんはいかがでした?

東     非日常を日常の仕事にしている方って、普通はなかなか出会えないものですけど、出会ってるんだなと思って、いろんな人の感情に出会ってるんだな…って思って。あ、これが日常なことがすごいというか

荒木    ラブホテルって、非日常、我々にとってはね。でもこの人にとっては日常であって、作品の登場人物や人間性を上手く表せるんだよね、逆にね。装置としてね、よく使われている感じなんですよね。原作者は桜木紫乃さん。本好きな皆さんはよく知っていると思うんですけども、直木賞受賞の。これね、自伝的小説と言ってもいいでしょうね。原作は7編から成る短編です。それがずっと続いてるんですけども。

東     えっ?!荒木さん、これ自伝なんですか?!

荒木    自伝的小説。彼女は15歳の時から本当にホテルローヤルというホテル、お父さんが経営するホテルを手伝っていたんですよ。

上地・東  えーっ!!そうなんだ…!

東     だからこの映画の中に出てくるエピソード一個一個がちょっとリアルで生っぽい感じがするんですよね。

荒木    そうですね。彼女のね、15歳の時の写真を見たけど、波瑠さんにそっくりですよ。

上地・東  えーっ!!そうなんですか?!

荒木    そう!で、ホテルローヤルを舞台に、各章で視点が変わるんです。全く。つまり後ろに収録されたほど、時代が古くなっていく。しかも各章が少しずつリンクして繋がっているんですよ。これはもう超絶巧妙な技巧ですね。構成なんですよ。素晴らしい構成!うやむやな描写も中にはあるんですが、それは後ですぐ解消されるわけ。あ、こうだったのか…と。仕掛けが見事なんです。
映画はこのあたりがちょっと違うんですけども、特に後半なんかは過去と現代がうまく交錯するところを見せてますよね。
他にはあれですか、まあいろんな…ちょっと女の子としては言いにくい部分があるかもしれないですね。

東     なんか本当にいろんな思いを掲げて、ホテルに来てる人って…。

荒木    多いんですよね。

東     そう。一概に、変な話、そういうコトをするためだけじゃなくて、時に撮影会っぽいことをしてみたりだとか…。

荒木    いろんな事情持つ人がね。

東     いろんな事情があって。ラブホテルの見え方がちょっと…。

荒木    変わりましたか?

東     変わっちゃいますね。

荒木    桜木紫乃さん 性のこと、たくさん書いているんですけど、でも表面はね、本当に穏やかな表面なんですよね。だけどセックスの本質をついているというね、そういう形の作家で。すごい優れた作家なので。

由真さんね、ぜひ本を読んでからご覧になるといいと思いますよ。

上地    読んでみます。読みたくなった。

荒木    ちなみに波瑠ちゃんのベッドシーンがありますけど、私、期待してたんですけど、ほとんど胸の谷間も見せないという犯罪的なベッドシーンでした。

上地    何それ…何それ…?

東     犯罪的…?

上地    何それー?!ハハハハ…!!

荒木    ということで、今日はラブホテルというね、特殊な…でもラブホテルのああいうお城みたいなのは、目黒エンペラーってあったんですけど、知りませんかね?知らないですね。(※1973年に開業し1989年に買収され目黒倶楽部石庭に改称して営業していたが2007年にホテル目黒エンペラーとして復活した)

上地    聞いたことある。エンペラーって。

荒木    エンペラーね。ああいうね、モーテルっていうかホテルの代表です。

上地    なんか荒木さんとかの年代の人って、やたらなんかエンペラーとかってめっちゃ言うんですよ!

荒木    ハハハハ…!本当、言うんだよね。そう!

上地    「何ですか?エンペラーって?」って言ったら、「えー?!ラブホテルだよ。」とかいう人、めっちゃ多い。

荒木    すみません…。

東     ちょっと待って。ちょっと全然入れない会話に…検索したい!

上地    だから知ってる。

荒木    はい。まさにそういう世代のホテルですよ、はい。
ということで私がご紹介したのは11月13日公開の『ホテルローヤル』という作品でした!

11月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「さくら」(11月13日(金)全国公開)(©西加奈子/小学館 ©2020「さくら」製作委員会)(配給:松竹)

上地    『今月のシネマログ』、トリは私、上地由真のオススメの作品をご紹介します!
私がご紹介するのは、11月13日公開の『さくら』です。原作は西加奈子さんの同名小説です。家族の崩壊と再生がテーマになっている作品です。音信不通だった父が二年ぶりに帰ってくるという連絡を受けて、年末に次男の薫が実家に戻ってくるところから始まります。三人兄弟妹なんですけど、長男はスポーツも勉強も優秀で、常にヒーローだった一(ハジメ)、待望の女の子で甘やかされて育ったためにわがままで自由奔放な妹・美貴、明るくハツラツとした母、控えめだけど家族をしっかりと支えてくれる父。この家族なんですけど、少し風変わり、だけど幸せだった長谷川家はあることをきっかけにバラバラになってしまうんですよ。妹の誕生、愛犬サクラとの出会い、引っ越し、初めての恋と失恋。実家に戻って来た薫の回想によって、長谷川家の試練と葛藤がしだいに明らかになっていきます。そして大晦日の夜、壊れかけた家族をもう一度繋ぐ奇跡のような出来事が訪れます…。

もうキャストの注目で、このパーフェクトな長男、・ハジメを吉沢亮さん、そして主人公となる次男の薫を北村匠海さん、そして自由奔放で美しい妹・美貴を小松菜奈さんが演じています。

荒木    錚々たるメンバーですよね、役者さん。よくこれだけね、忙しい、実力も人気もある人たちを集めたと思います。それぞれ個性が面白く出ていて。これも原作があって、西加奈子さん、この人も直木賞の作家なんですね。その小説を映画化したものなんですが、原作者の西さんは他にも『きいろいゾウ』とか『円卓』とか『まく子』とかいろいろ書いていますけども、この人、イランのテヘラン生まれ、エジプトと大阪育ちというね…。

東     そうなんですか?テヘラン生まれって…。

荒木    そうなんですよ。三兄弟妹の明るく育って、大きい愛を受けて成長してるんですけれども、いろんなことが起こってこんなことになってしまうんですけれども。特に役者さんたち、若い俳優、それぞれプライドも高くてスーパーヒーローだったんだけど、精神的に弱かったハジメという長男を演じる吉沢くん。

東     すごい説得力ありました。スーパーヒーローのお兄ちゃんというキャラクターがね。

荒木    そうね。それからまあ妹はちょっとエキセントリックですよね。綺麗だけど、一番上の兄に対して兄妹愛以上のものを抱いてたり、ちょっと交友関係も偏ってたり、変わってるという妹。これも小松菜奈さんが上手いですよね。というか、彼女じゃなきゃ出来ないかな、みたいな風に思わせる。

上地    いろんな顔を見せてくれますよね。

荒木    うん、見せてくれるよね。次男の薫くんが一番平凡だと思われるんですけども。彼の語りによってこの物語が展開していくわけですけど、北村くんもなかなかやっぱり良かったですよね。

上地    始め『さくら』ってタイトルを見て、こういう映画だと思わなかった。いろんな葛藤とか、すごい試練とかがたくさんあるじゃないですか。あっ、こういう映画だったんだ…って。

東     もっと、ほわん…とね。さくらって感じだと思ったら…。

上地    そうそうそうそう!なんか見ていて苦しくなった部分もあるんですけど。

荒木    さっき言ったようにね、見てて苦しくなるっていうか、いちおう長谷川家の人々、ごくごく平凡で普通の家族に見えるんだけど、よく注意して見るとね、ちょっと変わったところがある家族ですよね。例えば、お父さん、お母さんは愛し合っているんだけど、自分たちの愛の営みがこういうとなのよと子供たちに説明したりね。それから妹はエキセントリックで、そういうちょっと自分たちとは違うところを、上手くサクラがまとめてるって感じがしますよね。小説もこのテイストがあるんですよ。それを上手く映画で表しています。
家庭の崩壊と再生っていうパターンは、映画とか小説にたくさんあるんですけども、それだけに原作を展開させる監督さんの力量、および俳優さんの演技力が問われるんですけども、矢崎仁司監督、この人ね、女性の原作ものをやらせたら上手いんですよ。『無伴奏』小池真理子もそうですし、『太陽の坐る場所』という辻村深月さんのもそうですしね。共にみんな女性の原作ものを上手く掬い取って、もちろん男の監督ですけれども、やるという才能があります。

上地    私、上地由真のオススメ作品は、11月13日公開の『さくら』でした。 11月公開の映画作品の中から、それぞれの推しをご紹介いたしました。 ぜひ皆さん、映画館でチェックしてくださいね!

映画評論家の荒木久文さん、映画ソムリエの東紗友美さん、ありがとうございました。

■上地 由真

オーディションがきっかけで関西を中心に音楽活動開始。2007年シングル「shine day」などをリリース、以降全国各地でライブ活動やイベント参加。最近は女優としても活躍、舞台、映画などのジャンルにも進出。

■東 紗友美

映画ソムリエとしてTV・雑誌・ラジオなどで活動中。趣味は、映画ロケ地巡り。国内外問わず廻り、1年で100箇所以上ロケ地を訪れたことも。インスタグラムでも毎日映画に関する写真やコメントをほぼ毎日掲載中。

■荒木 久文

   現在 複数のラジオ番組を中心に、新聞紙面 ニュースWEBなどに映画をテーマとした評論 批評 紹介 などの活動を展開。報知映画賞選考委員 ノミネート委員  日本映画ペンクラブ会員