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「アメリカン・ユートピア」デイヴィッド・バーンと11人の独創的で熱狂のライブ

(2021年6月6日20:45)

「アメリカン・ユートピア」デイヴィッド・バーンと11人の独創的で熱狂のライブ
「アメリカン・ユートピア」(5月28日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイント他全国ロードショー)(©2020 PM AU FILM, LLC AND RIVER ROAD ENTERTAINMENT, LLC ALL RIGHTS RESERVED)

元「トーキング・ヘッズ」のフロントマン、デイヴィッド・バーンが2018年に発表したアルバム「アメリカン・ユートピア」を原案に構成されたブロードウェイのショーを、「ブラック・クランズマン」のスパイク・リー監督が映画にした話題作。バーンと11人のミュージシャン、ダンサーが繰り広げる独創的なライブが観客を熱狂させる。

バーンと11人のミュージシャンやダンサーが全員グレーのスーツを着て裸足で繰り広げる歌と演奏とダンスはすべてが独創的で詰めかけた観客は総立ちで一緒に手拍子をしたり踊ったりして1曲ごとに大歓声があがるなど熱狂のライブが展開する。「エヴリバディーズ・カミング・トゥ・マイ・ハウス」や「ワン・ファイン・デイ」など計21曲の歌詞が知的で歌詞を訳した字幕にも引き込まれ、演奏の合間にバーンが現代の様々な問題について問いかけるトークにも注目だ。

バーンはメンバーを紹介する時のトークで、知人や記者から「録音した音源を使っているのか」とよく聞かれるといい、ワイヤレスの楽器やマイクを使っているのでコードはないがすべてが生の演奏だと明かす。メンバーは自由自在にステージを動き回り卓越したパフォーマンスを見せる。そしてメンバーはフランス人やブラジル人や黒人、白人、口紅を塗って顔を女装したダンサーなどまさに多様性を実現し、高いスキルを披露する。人種差別に抗議するデモで歌われた犠牲者の名前を次々に挙げる歌も歌われる。スパイク・リー監督は犠牲者の写真などをスクリーンに映し出し、昨年5月白人警官に殺害されたジョージ・フロイドさんの写真も付け加えられた。リー監督はステージ上でのクローズアップも多用し真上からの撮影も行うなどバーンら12人のパフォーマンスを余すとこなくとらえ熱狂する観客席にもカメラを向けショーのる。

バーンはトーキング・ヘッズ(1974年~1991年)のヴォーカル、ギターとして活躍しソロになってからはワールドミュージック専門のレーベル「ルアカ・バップ」を設立。南米やカリブ諸地域を旅して周り、同地域を中心とした音楽・ミュージシャンとの交流や欧米シーンへの紹介・発掘を進めるなど多彩な活動で知られる。そして今作では69歳とは思えないエネルギッシュなパフォーマンスとヴォーカルに圧倒される。
(5月28日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイント他全国ロードショー)