「ドント・ルック・アップ」ジェニファー・ローレンスとレオナルド・ディカプリオ共演の超ドタバタSFブラックコメディ

(2021年12月11日14:45)

「ドント・ルック・アップ」ジェニファー・ローレンスとレオナルド・ディカプリオ共演の超ドタバタSFブラックコメディ
「ドント・ルック・アップ」(東京・豊島区のシネ・リーブル池袋)

さえない三流の天文学者と教え子の大学院生が地球を破壊する巨大な彗星が接近していることを発見して政府に訴えるがまともに扱われず、世界に警告を発するためにテレビに出演するなどして奔走するドタバタ劇を描いたNetflixの異色のSFブラックコメディ。大学院生にジェニファー・ローレンスと天文学者の教授にレオナルド・ディカプリオのほか、大統領役にメリル・ストリープ、大統領の息子で大統領首席補佐官役でジョナ・ヒル、さらにはティモシー・シャラメ、タイラー・ペリー、アイドル歌手役でアリアナ・グランデなど豪華キャストが揃い、「マネーショート 華麗なる大逆転」(2015年)、「バイス」(2018年)、「ハスラーズ」(2019年)などのアダム・マッケイ監督が脚本・共同制作・監督を務めた。

■ストーリーbr>
天文学者のランドール・ミンディ教授(レオナルド・デイカプリオ)は教え子の大学院生ケイト(ジェニファー・ローレンス)と共に地球に接近する巨大な彗星を発見する。地球に衝突する可能性が高く、衝突すれば人類が消滅する恐れがあることを突き止める。危機を世界中に知らせようとして、仲間の協力でオーリアン大統領(メリル・ストリープ)とその息子の大統領首席補佐官ジェイソン(ジョナ・ヒル)に面会して説明するが、大統領は「まずは落ち着いて見極めましょう」などといって発表はせず国家機密だから外部に漏らさないようにとくぎを刺す。
業を煮やした2人は朝のテレビ番組「デイリー・リップ」に出演して訴えるがキャスターのジャック(タイラー・ペリー)とブリー(ケイト・ブランシェット)は笑い話にしてまともに扱わず、2人は新聞社に訴える。そのうち、他の天文学者も彗星の存在を認めたことから大統領は次期大統領選を意識して核を搭載したロケットを打ち上げ彗星の軌道をそらす作戦を大々的にアピールするが、そこに大統領のスポンサーのバッシュフォンという携帯電話のCEO(マーク・ライアンス)が介入して打ち上げたロケットが途中で地上にUターンしてしまい大混乱の騒動が始まる。

■見どころ

「世界にひとつのプレイブック」でアカデミー賞主演女優賞を受賞しているジェニファー・ローレンスが2019年の「X-MEN:ダーク・フェニックス」以来2年ぶりの新作として注目されていた同作は、意外にもSFブラックコメディ映画だった。しかも巨大な彗星が地球に接近するというシリアスなテーマをここまで徹底してドタバタコメディに仕上げているところが見ものだ。「レヴェナント:蘇えりし者」(2015年)でアカデミー賞主演男優賞のレオナルド・ディカプリオはさえない天文学者で女性キャスターから出演中に太ももを触られて誘惑されてTV局の廊下で激しく求めあうシーンも。その色仕掛けのおバカ女性司会者を演じるのが「ブルージャスミン」(2013年)でアカデミー賞主演女優賞のケイト・ブランシェット。さらには「クレイマー、クレイマー」(1979年)でアカデミー賞助演女優賞、「ソフィーの選択」(1982年)と「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」(2011年)で2度主演女優賞を受賞しているメリル・ストリープは自身が演じた「プラダを着た悪魔」の編集長のような派手なファッションでおバカな大統領を演じて笑わせる。オスカー俳優陣のはじけっぷりが何とも可笑しくて贅沢だ。そして天文学者や女性キャスター、アイドル歌手から大統領、大統領首席補佐官までシニカルなお笑いにしていじり倒している。さらにはジェニファー・ローレンスとティモシー・シャラメのラブシーンや、アリアナ・グランデの熱唱シーンなど盛りだくさんなエンターテインメントになっている。
(Netflixで2021年12月24日から配信。それに先立ち12月10日から一部劇場で公開)