2月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦

(2022年2月12日10:20)

文化放送「上地由真のワンダーユーマン」(月曜午後9時30分)でパーソナリティ―の上地由真と映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画評論家 荒木久文さんの3人が2月のおすすめ映画を紹介して見どころを解説した。同番組では毎週テーマを設け“由真的”テイストで進行。毎月第1週目は「今月のシネマログ」と題し、その月に公開される話題の映画作品を上地由真と映画の専門家2人が紹介する。今回は2月7日の放送で「ウエスト・サイド・ストーリー」「355」「ティル・デス」が紹介された。

2月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
(㊧から東紗友美、荒木久文、上地由真)

上地    上地由真のワンダーユーマン!今週もよろしくお願いします。 今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」。 映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんとお届けしていきます。よろしくお願いします!

荒木・東  よろしくお願いします!

上地    2月公開の映画の中から、私、上地由真とさゆみん、荒木さんの3人が「これはおすすめ!」と思った作品をご紹介していきます。
それではまず、さゆみんのおすすめからお願いします。

2月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「ウエスト・サイド・ストーリー」(公式サイトから)

東     はい。私がご紹介するのは、2月11日から公開の『ウエスト・サイド・ストーリー』です。ブロードウェイミュージカル『ウエスト・サイド物語』をスティーブン・スピルバーグ監督が映画化、ミュージカル映画初挑戦ということも話題になっています。この言わずと知れた名作ですが、舞台は1950年代ニューヨーク、マンハッタン。ウエスト・サイドには夢や成功を求めて多くの人が集まっていました。しかし差別や偏見による社会への不満を抱えた若者たちは、やがて仲間と集団を作り、激しく敵対し合っていきます。ある日、“ジェッツ”と呼ばれるチームの元リーダーのトニーは、“シャークス”のリーダーの妹・マリアと出会い、瞬く間に恋に落ちます。しかしこの禁断の愛は多くの人々の運命を変える悲劇の始まりとなってしまいます…というお話なんですけども。 ちょっと~!私、もう本当にこの作品、今年一番、2022年、始まってすぐなんですけど楽しみにしてきたんですね。『ウエスト・サイド・ストーリー』、原作もとても好きなので。で、スピルバーグが映画化。これ観てきたんですけど、もう感動しましたね。職人芸の領域です。例えばスクリーンの振り付けも偉業ですし、監督業も演者も、歌もカメラワークもすばらしくて。例えば私はね、今回何がすごかったかな~って思うと、振り付けを特に観てみてもらいたいなと。あとで荒木さんにも聞きたいんですけども。画面あるじゃないですか。端からは端まで全員の振りが別々でもぴったり合っているの。

上地    えーっ?!別々なのに?

東     もう別々なの。なのに バラバラ動いてるシーンですらも、きっちり画角に完璧な匙加減で収まっていたりですとか。画面の振りの奥行き、スクリーンをこんなに大きく感じたのは初めてというくらい奥行きもきれいに使われていて、高低差もしっかり使われていて、こんな画作りあるの?!もうこれって職人芸の映画なんだな、って。ひとつの2時間半くらいの作品を観ている感覚…なんだろう、すごかったですよね~!

荒木    まさに神業という言葉が、ね。

東     神業の連続!

荒木    今言ったようにカメラがね。1961年にこれ1回目が作られているんですが、その時はロバート・ワイズっていう監督がね。この人『サウンド・オブ・ミュージック』なんかを作った有名な監督なんですけど。あれが平面だとすると、まさに立体ですよね。

東     こんなに3Dの映画より奥行きがあるんですよ。そのくらいの圧力で画面が2時間半くらい続くので没入感もすばらしかったですし。あと今カメラワークのお話が出たと思うんですけど、やっぱりスティーブン・スピルバーグっていう監督は『シンドラーのリスト』という白黒映画でアカデミー賞を獲っているんですけど、その時からタッグを組んでるヤヌス・カミンスキーカメラマンが今回もやっぱりその奥行きのある映像、振り付けを全部完璧に撮っていくんですけど。始まってすぐの演出、びっくりしませんでしたか?もう冒頭10分でボルテージをこう…車のエンジンをこう上げた感じの演出をするんですよね。

荒木    そうですよね。あのオープニングは有名なんですよ。1961年版もニューヨークの街を空から撮っているんですよね。同じようにオマージュで今度はドローンで撮っているんですけども、同じように入っていくんですよね。由真さんは1961年版はご覧になりました?

上地    それは見ました!学校の授業、音楽の授業で観た気がします。

荒木    ジョージ・チャキリスとか有名になったんですけど。それと比べてみると、そのすばらしさ…もちろん1961年版も10部門のアカデミー賞を獲った、その当時すばらしい映画だったんですけども、その映画は後に多大な影響を与えた。例えばマイケル・ジャクソンの『Beat It』なんか完全にそうですよね。「Beat it!」という言葉もね、冒頭に出てくるんですよ。「Beat it!(出ていけ!)」という意味なんですけどね。

東     『ウエスト・サイド・ストーリー』の最初のセリフが「Beat it!」っていう…。

荒木    そうですよね。踊りもね、彼らのシチュエーションも。元々はね、ご存知ですよね?元ネタは何かっていうと、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』ですね。

東     そう、だからとっても実は悲しい物語ではあるんですよね。

荒木    それを置き換えて、ポーランド系のカトリック教徒とプエルトリコのグループの対立ということでニューヨークは、ウエスト・サイドで不良たちが対立していたというところを作ったものなんですが。当時、ジョージ・チャキリスとリタ・モレノという女優さんが出ているんですけども、この2人が助演女優賞を獲って大ヒットして大人気になった、と。むしろロミオとジュリエット役の2人、リチャード・ベイマーとナタリー・ウッドよりも人気が出ちゃったっていう形で、ですね。(笑)

東     そうですね。

荒木    今回はリタ・モレノさん、当時すごい踊りを踊ったプエルトリコの人ですけども、この人がまた出てくるんですよね。別の役ですけど、もちろん。新しい役を。彼女がいて上手すぎて、周りが、「ちょっとこれ、人間の技?!」みたいな…。(笑)

東     (人間の技)じゃない?じゃないっていうのもおかしいんですけど。(笑) 本当に完成度の高い作品。ストーリーがやっぱり『ロミオとジュリエット』なので悲しいお話ではあるから、そこで好き嫌いとかが今の人が観るとどう出ちゃうのかはわからないですけど。画面の画作りはもう1シーン、1シーン本当に完璧でどの瞬間も宝物のような世界観で描かれていて。私、言っていいですか?私、映画ソムリエ人生で一番好きな俳優がアンセル・エルゴートなんですね。で、今回の主演のトニーですよ。これもたまらなかったです。画面がね、暴力的に華があるんですよ。もうね、アンセル・エルゴート、映る度に花がパーって咲くような、ここもぜひ観ていただきたいですし、相手役のヒロインのレイチェル・ゼグラーちゃんも今回3万人から選ばれたニューヒロインでね、歌を頑張っていましたよね。これは映画館で観ないとダメですね。

荒木    はい、絶対に映画館で大きい画面で観ていただいて、もし昔の作品を観ているんだったら、比べてみてください、いちいち。例えばカメラワークね、さっき言ったような。それからカラー、色使い。“シャークス”は紫とか暖色使っていますし、“ジェッツ”は青色を使ってます。それをもっと鮮やかに色分けして、色の踊りがすごいですよね。

東     赤VS青みたいな感じで戦うんですけど、その小道具の使い方もきれいなんですよね。全員が同じ服を着ているとかじゃないんですけど、それぞれがワンポイントに赤を使っていたりして、それが集団で揃うと赤対青のバランスがファッションもきれいなんですよね~。これは本当に素晴らしかったです!

荒木    あと俳優さんね。当時は、由真さんが見た61年版はほとんど全員白人がプエルトリコ人なんかも演じていたんですね。ジョージ・チャキリスなんて元々ギリシャ系の人ですから、顔を黒く塗ってプエルトリコ人になっていたんですけど、今回は本物。みんなヒスパニックはヒスパニック、白人系は白人系。そういう意味ではリアルな形で出ていますし。言葉もですね、昔のは英語だけだったんですけど、今回はヒスパニックはリアルにスペイン語を使うという。マリアなんてまだアメリカに来て1か月という設定なんで、当然そんなに英語が上手くなかったはずなのに、61年版は英語をペラペラ喋っていますけども、そういうところもちゃんとリアリティ。

上地・東  へ~!

荒木    そういう意味での…なんて言うんですか、こういうの?バージョンアップって言うのかな?

東     アップデート。

荒木    アップデート!2つか3つアップデートして、すごいものに昇華したなっていう、そういう気がしました。

上地    観比べてみるのもいいですね。

荒木    はい、ぜひ期待して観に行っていただきたい。

上地    絶対観に行きます!

東     うんうんうん!「ザ・映画」を観てるみたいな時間をね、過ごすことが出来ると思います。

上地    今日はもう、さゆみんの熱量がすごい!アハハハ! 東     とっても良かったんです!これね、アカデミー賞いく可能性だいぶありますからね。

荒木    ああ、随分ありますよね。10部門いくかどうかは別として、当然獲ると思います。

東     私がご紹介したのは、2月11日から公開の『ウエスト・サイド・ストーリー』でした。

上地    続いては、映画評論家・荒木さんのおすすめ作品です。

2月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「355」(全国公開中)(配給:キノフィルムズ)(©2020 UNIVERSAL STUDIOS. ©355 Film Rights, LLC 2021 All rights reserved.) (

荒木    はい。私が紹介するのは、数字で『355』と書いて「スリー・ファイブ・ファイブ」と読みます。このタイトルだと何のことかあまりわかりませんけども、「355」とはですね。18世紀にアメリカの独立戦争時代に実在した女スパイのコードネームだったんですね。とってもかっこいいスパイアクション映画です。由真さん、観てないです?

上地    観てないですね、はい。

荒木    ストーリーはですね、スーパーデジタルデバイス、いかにも今風ですけども、すべてのセキュリティをくぐり抜けて世界中のネットのインフラだとか金融システムを破壊してしまうという、文字通り最終兵器、これが開発されたんですね。これを世界中のテロ組織が狙い始めるんですね。これを阻止するために各国のスパイエージェント、アメリカで言えばCIAですね、イギリスで言えばMI6なんですけど。このスパイを各国が送り込んでデバイスを入手しようと、そういう話なんです。このCIAは最強の格闘スキルを誇る女性エージェント・メイス。パリに送り込むんですね。このメイスを中心に5人のスパイたちがそのデバイスを取り戻すために戦うという話なんですけども。 まあ正直ありがちな話なんですけど、女優さんたちが豪華なんですね。メイス役はですね、ジェシカ・チャステイン。ハリウッドを代表する実力派の女優さんですよね。例えば『ヘルプ 心をつなぐストーリー』ですとか、『ゼロ・ダーク・サーティ』ですとか。ちょっとまあ、その超美人というわけじゃないんですけど、圧倒的な演技力で賞賛されている人ですよね。2人目の女優はペネロペ・クルス。あのスペインの女優さんです。

東     もしかしたら日本では一番有名かもしれませんね。『パイレーツ・オブ・カリビアン』のシリーズに出ていた…。

上地    ああー!

荒木    そうですね。『それでも恋するバルセロナ』とかですね。派手な顔の人!

東     ランコムのミューズなので、由真さん、デパートとかで目が合ったことあるかもしれない。(笑)

上地    自然に見ている…んですね?

荒木    3人目はドイツ出身のダイアン・クルーガーっていうね、ちょっとこれもパワフルな人ですね。4人目はアフリカ系演技派のルピタ・ニョンゴっていう、この人も見たことあるかもしれませんね。『ブラック・パンサー』なんかに出てましたけど。そして最後、アジアからは中国のトップ女優のファン・ビンビンていう人が出てますね。 なんかね、観ているとすごい女優さんばっかしで。豪華なんですよね。女性スパイというとさ、2種類あるんですよ。ひとつはちょっとこう、エロっぽく色気で、色仕掛けで情報を獲って暗躍するという頭脳派。ある意味の肉体派ね。もうひとつはアクション中心の文字通り肉体派と。これ両方なんですけど、チャステインって今まで頭のいい女性ばかり演じてきたんですよ。スパイとしてもそっちなのかなと思ったら、今回 体を張ってですね、すごいアクション。

東     ここまで彼女がアクションやるとは思わなかったので…今回のジェシカ・チャステイン、『355』も彼女の企画で始まった映画なんですよね。びっくりしましたし、私的に由真さんに観てもらいたいポイントがあって。今回のこの美女5人のスパイって、元々所属している組織が違うから、めちゃくちゃ仲悪いんですよ、最初。だけど共通の敵を見つけて地球を守んないといけないからっていう理由で仲良くなっていくから、女子が仲良くなっていく過程映画として面白いし、やっぱりこれだけ女の子たちいると、これ荒木さんには絶対わかんないと思うんですけど、『セックス・アンド・ザ・シティ』みたいに、「私、誰タイプ?」みたいな…わかります?セーラームーンとかもそうじゃないですか!

上地    はいはいはいはい!わかる、わかる!私、これー!とかね。

東     そうそうそう。そういうことを観ながら楽しめるんですよ。

荒木    私にはわかんないです、これ。

上地    荒木さん、誰でした?

東     誰でした?じゃあ逆に。

荒木    私は藤木直人タイプ…。

上地・東  いませーん!!映画にも出てませんし。(笑)

東     『355』にクレジットされていました?直人さん…。(笑)

荒木    似てるって言われているんで、言っただけなんですけど。

東     じゃあ性別で判断させていただきたいと思います、はい(笑)なのでそういう自分、誰タイプだろう?とかセーラームーンの時みたいにね。そういうのも面白いですし、徐々に女同士が仲良くなっていく様子なんかも面白いですし。やっぱり女性のアクションはエレガントで華やかです。本当に華がありますね。

荒木    そうですね。私も軽くだったら蹴られたいようですね。

上地    アッハッハッ!絶対言うと思った、私!顔がニヤニヤしてるんですよー。だいたいわかりますよね。(笑)

東     私も思いました!何を言い出すかと思ったら。(笑)

荒木    でも本当にジェシカ・チャステイン、体を鍛えて。由真さんも今、鍛えていますけど。

上地    そうですー。鍛えてるから。

東     あっ!そういう視点でも観てほしいですね。

荒木    そうですよね。今、東さんが言ったように勧善懲悪で国家単位のエージェントの思惑で動くということで、『ジェイソン・ボーン』みたいな組織の反逆とか自分に対する疑問ってあんまりないんですよ。どっちかっていうと単純な形で中身を楽しむということなので、あんまり考えちゃダメなタイプの映画です。シャーリーズ・セロンをはじめ、いろんな女優さんが強い女を演じていますよね。今回はなんかあれっだったらしいですよ、マリオン・コティヤールがやる予定だったのがちょっと延びちゃったんですよね…。

東     あ、そうなんですか?

荒木    うん、そういうこともあって。きれいな女優さんたち、必ずこういう映画にはパーティーとかのシーンが出て、ドレスアップのシーンも出てきますよね。女の子にとってはチョコパフェとかね、フルーツパフェみたいな感じの映画かもしれません。 ということで私がご紹介したのは『355』と書いて「スリー・ファイブ・ファイブ」と読みますけども、2月4日公開の作品でした。

2月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「ティル・デス」(2022 年 2 月 11 日(金) より 新宿バルト 9 ほかロードショー)(🄫 2021 Til Productions, Inc. All Rights Reserved. )(配給:クロックワークス)

上地    「今月のシネマログ」、トリは私、上地由真のおすすめ作品をご紹介します。私がご紹介するのは、2月11日から公開の『ティル・デス』です。 ストーリーをご紹介します。仮面夫婦のエマとマークが迎えた結婚記念日。マークは人里離れたレイクハウスで2人きりのバカンスを用意し、そこで結婚生活をやり直したいとエマに伝えます。夫の想いを受け入れたエマですが、翌朝目を覚ますとエマはマークと手錠で繋がれ、マークは意味深な言葉を残して拳銃で自分の頭を撃って自殺してしまいます。エマは夫の死体を引きずりながら脱出しようとしますが、車のガソリンは抜かれ、携帯電話も壊されていることに気付きます。そんな彼女へ追い打ちをかけるかのように、怪しげな男たちがレイクハウスに現れエマに襲い掛かります。エマはこの悪夢から抜け出すことが出来…というシチュエーションスリラーです。 もうこれ、すっごい面白かった。

東     面白いですよね、これね~!

上地    面白かった!死体と一緒に動いていかないといけないという、この地獄シチュエーション。もう考えただけでも本当にゾッとするシチュエーションなんですけど。動きが不自由なところに次から次に飛び出す夫の罠、仕掛けにずっとハラハラドキドキして、終始本当にスリリングで。とにかく楽しめた映画でした。さゆみんどうでしたか?

東     私、これある種、二重ホラーだなと思っていて。この夫婦、本当に仲がうまくいってない仮面夫婦じゃないですか。冒頭からこんな湖畔のきれいなレイクハウスに連れてかれて、君との関係をやり直したいって言われる時点でホラーだなって思いました。突然どうした?!と。めちゃくちゃね、バラやロウソクでね、部屋を飾られているんですよね。この時点で怖いって思いながら…。

上地    これから何かあるよね?!っていう…不気味な…。

東     そう、そう!そうなんですよ(笑)で、もっと怖くなっていくというのがちょっとヒヤヒヤしたんですけど。これワンシチュエーションじゃないですか?このレイクハウス。このシチュエーション、本当に最大限に使いましたよね。すべての窓も階段も車庫も何もかもが恐ろしいスポットに変わっていくという。もう全部指折り、すべての場所が怖い惨劇の場に変わっていくという意味でジェットコースターのように楽しめましたね、ここまで怖いと。荒木さんどうでした?

荒木    死体と手錠で繋がれ他に何もない状態。死体と一緒に過ごすというシチュエーションね、これ他にも映画がありました。ハリーポッター役でお馴染みのダニエル・ラドクリフが死体役をやった『スイス・アーミー・マン』という、もうこれずっと死体と一緒に過ごさないといけないっていう映画だったんですよ。でもよく似た設定で『ジェラルドのゲーム』っていう…わかります?

東     ああ!はい、わかります。

荒木    森の別荘で女の人が両手を手錠でベッドにくくられて、夫は薬飲み過ぎて死んじゃうんですよ。で、ずっとそのままにさせられて。手錠でどうなるか?幻想が見えてきたり、犬が夫の死体を食い荒らしたりとかそういう映画で。これも面白かったです。シチュエーションは似てますね。非常にそっくりなシチュエーションスリラーで、面白かったんですけども、今回は『ジェラルドのゲーム』とは違って、主人公の女の人が動けるんですね。死体を引きずりながら。これもまたひとつの重い設定で。寒くて痛くて血がいっぱい出てヌルヌルで気持ち悪いし、悪い奴に見つかりそうで殺されそうで…っていうね、こういう恐怖がどんどんどんどんノンストップで襲い掛かるという、テンポがとてもいいですね。

東     しかも主演がミーガン・フォックスじゃないですか。美しい方なんですけども、元々顔がきれい過ぎて怖い顔してるじゃないですか。

荒木    ていうか、ちょっと整形的な顔ですよね。表情がね…。

上地・東  アハハハハ!

東     それ~、ひと言でいきましたね。(笑)

上地    でもきれい過ぎる、本当!

荒木    まあね、彼女は3人の子持ちなんですけど。あの『トランスフォーマー』の時とはずいぶんと違う感じですけども。この人はあんまり評判良くない女優でね。バイセクシャルで、タトゥー大好きで。

東     本当に気が強い女性なので、何かしらにいつもコメントするような、過激なコメントするような感じのタイプの方なので。だからこそ強い女性が似合うし。

荒木    ああいうピンチを切り抜けていくとか。感情移入出来るかどうかって言ったら、ちょっと別ですけどね。

上地    そうですね。この見えない何かに襲われるみたいな…死んでるじゃないですか?その姿はないのにずっと何かに襲われるみたいなこの怖さって、なんかないですよね。

東     この前観た、由真さんと盛り上がりましたよ、『透明人間』という映画。『透明人間』も夫は死んでからも妻を苦しめるじゃないですか。何なんですかね、これは?って思いながら…。

上地    何なんですかね~?男たちは。死んでからも追い詰めるっていう…。(笑)

東     そう、そうなんです!

荒木    すみません、ごめんなさい。

上地    本当に気を付けてください!(笑)

東     死んでからも追い詰めるモノね…。(笑)

荒木    何、もう~。死ぬ前に言われてもしょうがないじゃない。(笑)

上地・東  アハハハ!

荒木    まあ、そういう意味でも超A級のB級映画でした。

上地・東  ああ、たしかにね~。

荒木    そんな感じの映画でしたね。

上地    私、上地由真のおすすめ作品は、2月11日から公開の『ティル・デス』でした。2月公開の映画作品の中から、それぞれの推しをご紹介しました。ぜひ皆さん、映画館でチェックしてください。 映画評論家の荒木久文さん、映画ソムリエの東紗友美さん、ありがとうございました!

荒木・東  ありがとうございました!

■上地 由真
オーディションがきっかけで関西を中心に音楽活動開始。2007年シングル「shine day」などをリリース、以降全国各地でライブ活動やイベント参加。最近は女優としても活躍、舞台、映画などのジャンルにも進出。

■東 紗友美
映画ソムリエとしてTV・雑誌・ラジオなどで活動中。趣味は、映画ロケ地巡り。国内外問わず廻り、1年で100箇所以上ロケ地を訪れたことも。インスタグラムでも毎日映画に関する写真やコメントをほぼ毎日掲載中。

■荒木 久文
現在 複数のラジオ番組を中心に、新聞紙面 ニュースWEBなどに映画をテーマとした評論 批評 紹介 などの活動を展開。報知映画賞選考委員 ノミネート委員  日本映画ペンクラブ会員