アクション映画「FARANG/ファラン」ザヴィエ・ジャン監督のオフィシャルインタビュー公開

(2024年5月15日21:30)

アクション映画「FARANG/ファラン」ザヴィエ・ジャン監督のオフィシャルインタビュー公開
「FARANG/ファラン」ポスタービジュアル

エクストリーム・ハードゴア・アクション「FARANG/ファラン」(5月31 日公開) のザヴィエ・ジャン監督のオフィシャルインタビューが公開になった。

監督のザヴィエ・ジャンは『ヒットマン』のエクストリームなヴァイオレンス描写でその名を世界に知らしめたヨーロッパ・ジャンル映画界の異才として知られる。その後もホラーを中心に映画ファンの注目を浴びてきたが、再び容赦なきヴァイオレンスをかつてない テンションでハードゴアに描ききる。

愛する者を奪われ、捨て身の覚悟でひたすら敵を殺しまくる主人公サムを演じるのはキックボクシングの大会で優勝経験もあるフランスの新星ナシム・リエス。極限まで鍛え上げられた肉体が繰り出す圧巻のアクションと、ジャン監督が見せる極限の人体損壊描写が奏でるハードゴアのアンサンブルは圧巻。

さらに『オンリー・ゴッド』で映画ファンのハートを虜にしたヴィタヤ・パンスリンガム、カンヌ国際映画祭主演男優賞受賞の重鎮オリヴィエ・グルメらベテラン勢が、凄絶な愛と復讐の交響曲に荘厳な彩りをもたらしている。(以下はジャン監督のインタビュー)

アクション映画「FARANG/ファラン」ザヴィエ・ジャン監督のオフィシャルインタビュー公開
「FARANG/ファラン」の場面写真

ーーコンセプトを教えてください。

「リアルで、素晴らしく、人々に愛されるフランスのアクション映画で、海外の作品に負けないほどに悪趣味で不気味な映画。そしてアルジェリア出身のキャラクターを描きつつも彼の文化的背景を映画のテーマとはせずに美しい贖罪の物語を描く映画です。家族を救うためなら何でもする真のヒーローを描きたかったのです。

ーーテレビシリーズ「ギャング・オブ・ロンドン」に携わる前に『FARANG/ファラン』を作ることが出来たと思いますか?もしくは想像することさえ出来たと思いますか?

「出来なかったと断言できます。「ギャング・オブ・ロンドン」で培ったノウハウがあったからこそ、今作を作ることが出来ました。「ギャング・オブ・ロンドン」とほぼ同時期に、妻のムーニア・メドゥールが監督を務めた映画『パピチャ 未来へのランウェイ』にプロデューサーとして携わりましたが、『パピチャ 未来へのランウェイ』では非常に芸術的な映画作家の作品に、「ギャング・オブ・ロンドン」ではギャレス・エヴァンスの特別なタッチを描いたアクション映画に携わる経験をそれぞれ積みました。こうして私の映画作りのスタイルがリブートされたのです。『FARANG/ファラン』はセカンドチャンスを描いた物語であると同時に、私自身の物語でもあります。私は 29歳という若さで映画製作を始めましたが、45 歳になった今が新たな境地を開拓する時だと思いました。もう子供もいて、前の自分とは同じ人間ではないのです。

ーー本作はフランス映画としてはとても珍しい作品です。どのようにして製作にこぎつけたのですか?

「この映画は、この手の映画としては初めての挑戦であったにも関わらず、早い段階で資金を集めることが出来ました。何度か断られた後に、プロデューサーのディミトリ・ステファニデスとヴィンセント・ロジェがスタジオカナルに売り込み、すぐに受け入れてくれました。カナル・プラスもそれに続き、『フロンティア』でサポートしてくれたマヌエル・アルデュイのおかげでフランス・テレビジョンも資金を提供してくれました。その条件として、R16 は避けなければなりませんでしたが。さらに、アメリカの会社にも買ってもらい全世界で公開されることが決まりました。

ーー主演俳優について教えてください。

「ニコラ・ブークリエフ監督の『メイド・イン・フランス -パリ爆破テロ計画-』とオ リヴィエ・マルシャルの『オーバードーズ 破滅の入り口』でナシム・リエスを見ま した。彼がインスタグラムを通して私に連絡をくれて、彼と会った 1 週間後に出 演のオファーをしました。彼はキックボクシングの元チャンピオンでとても強いん です。映画の内容とは関係なく、アルジェリア出身の強烈な俳優を探していまし た。デンゼル・ワシントンが黒人であることはストーリーの中心になることはなく、 彼の肌の色について深く考えることはありません。それがまさに私が『FARANG/ファラン』で求めていたことで す。世界は進化する必要があるのです。フランスの多様性を代表する俳優が必要でした。ナシムは映画のた めに肉体を鍛え上げ、撮影中は捻挫をしたり、体を切るなど軽い怪我をしたりしましたが、撮影を遅らせることは 一度もありませんでした。スタントマンを使ったのも一度だけです。アメリカのスタジオも彼を素晴らしいアクショ ンスターであると評価して、すでに彼を追いかけています」

ーーオリヴィエ・グルメはどうでしょうか?

「流行中のラッパーではなく、一流の映画俳優に悪役を演じて欲しかったです。彼の素朴さや曖昧さ、堂々とし ている姿がとても気に入りました。典型的なフランスのチンピラに見えますよね。 ギャレス・エヴァンスの方法論について触れていましたが、詳しく教えてくれますか? プリビジュアライゼーションが全てです。普通のスマートフォンを使用してシークエンスがどのように見えるかを 撮影し、それを正確に再現するように編集する方法です。本格的に撮影をする前にスタントマンや俳優と実物 大のセットで撮影してシーンを事前に作ります。あらゆることを想定してアングルやフォーカスを決めてシーン全 体をデザインするのです。スタントマンの精度や効率、安全性にとっても有効的です。その結果、実際に撮影 をした時に、私たちが思い描いて計画したものを 100%どころか 1000%得られることになります。『FARANG/ ファラン』では撮影の 3 ヶ月前からプリビジュアライゼーションを行ないました」

ーー本作ではアクション監督がいましたか?

「アクション・コレオグラファーのジュード・ポイヤーがいました。フランスにはない役職ですが。『キングスマン』の 教会でのアクションの振付を担当した経験があり、ギャレスと定期的に仕事をしています。監督と一緒にシーン を作るアクションデザイナーとしての役職です。これこそが本当の共同作業で、組織化されたカオスを一緒に 作り上げていきます。彼が私に提案し、アクションのドラマ性や何が問題なのか、どのようにアクションが進むの か、どのような感情を伝えたいのかを考えます。観る人を感心させるだけでなく、感情を刺激することも重要だ からです」

ーーナシムの対戦相手は本物の格闘家ですか?

「ムエタイの試合では対戦相手が本物のボクサーでした。お互いに遠慮することなく本当に激しく殴り合っていて、 シークエンスを見るだけでそれを感じることが出来ます。ドニー・イェンやジャッキー・チェンと仕事をしたことも あるタイのスタントマンも起用しました。皆さん本当に素晴らしいフィルモグラフィーを持っています。プリビジュ アライゼーションのおかげもあって、彼らとは非常に仕事しやすかったです。 ーー撮影はどこで行ないましたか?

「撮影は 2022 年 2 月から 4 月にかけて行ないました。そのうちの 1 週間をパリのフレンヌ刑務所で、そしてタイで 撮影した 35 日間の半分はアクションシーンに費やしました。タイはバンコクとバンチャンにある村で行ないまし た」

ーー『FARANG/ファラン』の公開はどうなると思いますか?

「この映画が観客にどのように受け止められるか様子を見ているところですが、すでにいくつかの国で上映し、熱 狂的な観客を迎えています。観客にはこの映画に熱中して、席から立ち上がってしまうほど没頭してもらいたい です。その間、私はセーヌ川を舞台にしたベレニス・ベジョと他の誰でもない、ナシム・リエス主演のサメ映画を 撮る予定です」

【STORY】
地元の裏社会から逃れ、タイの美しいビーチへとたどり着いたフランス人の格闘家サムは、現地で出会った 妻ミア、娘のダラと仲睦まじく暮らしていた。ホテルのポーターとして働く一方で、危険なムエタイのファイターとして賭け 試合に出場するのも、すべて家族のため、いつか自分の店を持ちたいというミアの夢を叶えるためだった。しかし 「FARANG(よそ者、外国人)」で、脛に疵を持つサムにとってそれさえ簡単な話ではなかった。焦ったサムは、同じフラン ス人の男ナロンからある仕事を引き受ける。成功すれば全てがうまくいく...。しかし、サムを待ち受けていたのは、想像も しなかった過酷で残虐な運命だった。

【クレジット】
監督:ザヴィエ・ジャン『ヒットマン』『ディヴァイド』
出演:ナシム・リエス、ヴィタヤ・パンスリンガム『オンリー・ゴッド』『暁に祈れ』、オリヴィエ・グルメ『息子のまなざし』、ロラン・ヌネ
2022 年/フランス/フランス語ほか/100分/カラー/シネマスコープ/5.1ch/原題:FARANG/字幕翻訳:大城哲郎/映倫:R18/
配給:クロックワークス https://klockworx.com/movies/farang/
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5月31日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー