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映 画

「日本で一番恐くない間取り」「愛のぬくもり」「私が俺の人生!?」などのとっておき情報
(2023年7月9日45)
映画評論家・荒木久文氏が「日本で一番恐くない間取り」「愛のぬくもり」「私が俺の人生!?」などのとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、7月8日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 2週間ぶりに、よろしくお願いします。
荒木 先週は失礼しました。年取ると身体の回復が遅いので、お聞き苦しいところがあると思いますが、ご勘弁いただきたいと思います。
今回は荒唐無稽というか、あり得ない…というか、「とんでももの」と言われる、いわゆる「おバカ映画」ばっかり集めてみました。
鈴木 一番、私の好きなパターンですね。

荒木 私も軽くしゃぺれるんで(笑)。あははと笑って暑さを吹き飛ばすことになるかどうかですが…。
まずは、現在公開中、「日本で一番恐くない間取り」というタイトルです。
ご想像通り、前に公開されてヒットした「怖い間取り」という作品がありましたね。
このパロディです。あれは自殺や孤独死の発生した事故物件をテーマにした作品でしたが、こちらの「日本で一番恐くない間取り」は、少し先の未来の日本が舞台です。老人が多くなるんで死亡率が上昇し、それにともないいわゆるアパート・マンションなど事故物件の数は激増しちゃうんです。その結果、国内のアパートなどの物件はすべてが事故物件となってしまい、「普通の物件」、いわゆる「無事故物件」はとうとう、全国に一件しかなくなったという…。その部屋の価値にまったく気がつかず無頓着に暮らしている山田君なんですけど。そんな山田君を家から追い出すため、大金持ちの大家さんがもっと価値を高めようということで、管理会社と手を組み、さまざまな計画を企てます。霊能力者や殺し屋まで使って、山田君を追い出そうという、全くバカばかばかしいお話なんですけど…。
「日本で一番恐くない間取り」こういうのが好きな方は是非どうぞ。
鈴木 そうなると、逆に一番怖い間取りですよね。一軒しかないなら。

荒木 ある意味、本当に怖い間取りですよ。
今日はあり得ない話なんですけど…。
大林宜彦監督の「転校生」というと、男女が入れ替わってしまう…これもあり得ない話ですよね。もう日本の古典と言っていい作品なんですが。この手の作品のパロディと呼んでもいいような作品がここにきて相次いで公開されます。いわゆる、男女入れ替わりモノです。
まず、現在公開中なのが、「愛のぬくもり」という作品です。私をはじめ、一部のファンには熱狂的な支持のある、いまおかしんじ監督なんですが、この番組でも彼のいろんな作品紹介していますけど。この人が作った、突然、身体が入れ替わってしまった男女を主人公に、現代的なセックス感やジェンダーなど含めた恋の形をユーモラスに綴った文字どおり、奇想天外なラブストーリーになっています。
ストーリーです。主人公は、39歳の小説家のたかしさん。彼は妻が浮気をしていると疑っています。一方 24歳の美容師・さとみさん。彼女はレズビアンなのですが、同棲中の恋人から男の恋人ができたので、別れてくれと言われてるんです。そんなふたりは、ある日、街で衝突して、一緒に階段から転げ落ちたことがきっかけで、身体が入れ替わってしまいます。しかたなく、お互いになりきってそれぞれの生活を送り始めますが、お互いの人生を好転させるために、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続ける…という話です。
小説家たかしさんには久しぶりかな、小出恵介さん、体が入れ替わってしまうさとみさんを、グラビアアイドルの風吹ケイさんという、これまた超ナイスボディさんが演じています。
鈴木 俺、さとみさんになりたい!入れ替わりたいわー。
荒木 いろんなところをいじってますよ。有名な、階段から落ちて入れ替わってしまうシーンとか、完全に、明らかに「転向生」のパロディですよね。有名なセリフで、「サヨナラ…私」なんて名台詞もさりげなく使われています。そこに、現代的なテーマのジェンダーやレスビアンなどの要素も盛り込まれ、大人向けですからセックス描写もたっぷりで刺激的です。俳優さんたちは、異性を演じる必要がありますので、演技力が求められる難しい役ですよね。あまり大げさでもおかしくなっちゃうんで。
鈴木 わざとらしいですもんね。

荒木 いまおかしんじ監督の現在公開中で、「愛のぬくもり」という作品です。そして、男女入れ替わりモノもう一本あるんですよ。「私が俺の人生!?」というタイトルで、こちらは7月19日の公開です。こちらの映画の主演は、あの剛力彩芽さんなんですが、こちらの作品はまだ見せていただいてないんで、資料だけなので、何とも紹介できないのですが、どうやら男女が入れ替わる場面は、なんと階段から二人が絡んで転がり落ちるということらしいですよ。みんなこれ、共通してますよね(笑)。
鈴木 問題は、階段だね。
荒木 すっかり、階段転げ落ちというのが入れ替わりのきっかけとして定番化しているというね。ま、文化になっちゃってるっていう感じですよね。入れ替わりもの、「私が俺の人生!?」、7月19日の公開です。
そして、夏の定番のというとサメ映画ですね。
鈴木 出た 出た!サメに食べられちゃう系ですか。
荒木 はい。今年もあります。サメ映画、怖いホラー系の映画。どちらかというと、ダイちゃんはそっちの方が好きでしょ?
鈴木 好き!好きとは言いたくないけど、好きなんです。
荒木 あと、おバカサメ映画系あるのですが、こちらはタイトル見ただけで、一見、すぐわかります。「温泉シャーク」というね!公開中です。明らかに熱海をもじった暑海(あつみ)市という海を臨んだ温泉地。その中で温泉客が、お風呂でこつ然と姿を消す失踪事件が連続して発生するんです。
鈴木 ?マークですよね、それちょっと。
荒木 その温泉客の被害者たちは、海でサメに襲われた遺体として発見されます。捜査に乗り出した警察と海洋生物学者は、なんと、暑海市内各地の温泉に、太古の昔からよみがえったどう猛なサメが温泉のせまーい入排水管を自由に行き来して、人びとを襲っているという物理的には全く説明できない、信じがたい事実を発見した…という、なんと申しましょうか…おバカサメ映画も立派ですよ、ここまで来ると。私も、サメ映画、特におバカサメ映画好きで、以前からもいろいろ紹介していますよね。
鈴木 荒木さん、嬉しがってる感じするもの、紹介する時。
荒木 そうそう。これ紹介して、みんなに迷惑がられてるんですけど。山の雪の中に住む、スノーシャークとかね。砂の中を泳ぐサンドシャークとかですね。デタラメばっかし紹介しましたけど、私が一人で乗っちゃってると思ったら、世の中、サメ好きの人いるんですよね。
鈴木 やっぱりいるんですよ。それ、類友ですよ。
荒木 なんと!今年、おバカサメ映画ばかりを集めて、映画祭をやっちゃおうというのがあるんですね。
鈴木 えー!?逆に言うと、そんなに作品があるということですか?
荒木 そう。しかも、あるんだけど日本で公開されてないサメ映画、10作品を上映する、初の映画祭なんです。
鈴木 いいよー!いい!
荒木 いいでしょう!史上初、サメだらけの映画祭。「第1回東京国際サメ映画祭」。
鈴木 それ、誰が行くんですか?誰もが行くんですか?
荒木 私みたいな人、行くんだろうね。7月12日から4日間、会場は、池袋のHUMAXシネマズです。ダイちゃんの好きな「海底47m」シリーズ。
鈴木 俺、相当好きだね。
荒木 相当好きだったでしょう。このスタッフたちが作った、『エア・ロック 海底緊急避難所』という、シリアスなサメの映画なんですが、8月16日より日本公開されるんですが、この作品が、今回の「第1回東京国際サメ映画祭」のオープニング作品なんです。
鈴木 これが、早めに見られるんだ。
荒木 そうなんですよ。これは、メキシコのリゾート行きの大型旅客機が飛行中に高度2万フィートから海底へと墜落してしまうんです。生き残ったのは7名いるんです。生き延びられる場所はただ一カ所で、航空機内のエア・ロックスペースだけなんです。空気が少しあるだけで。水圧や酸欠と戦いながら救助を待つ彼らでしたが、機内に人喰いザメが侵入するというお約束パニックです。
鈴木 いいよー!こういうのは、お約束どおりがいいんですよ。
荒木 これは、本格的ホラーです。ダイちゃん好みですかね。他をちょっと見てみると、あとはおバカ映画系多いですね。「ナノシャーク」というのがあります。小さいサメ。ナノ単位の小さいサメ。不治の病に倒れてしまった男を治癒するために取られた作戦でうーんと小さくしたサメを血管内に送りこんでウイルスを退治させるという。
鈴木 100年後、あり得そうだよね。
荒木 明らかに、これ「ミクロの決死圏」のパロディですよね。更には、縮小ザメ”を体内から除去するために、縮小潜水艦”も投入するという…。なんか、なんだろな…というね。 あとは…、読んでても意味わからない…、刑事兼サックス奏者がメキシコのヤクザとコカインを燃料とするサメと戦ってですね、夫婦関係の崩壊を救おうとするワイルドで野心的な作品。
鈴木 全然、意味わからない。聞いてても。
荒木 「オッス! Hola! メキシコザメ!」という、デタラメらしいんですけどデタラメさが半端ない! あとは、宇宙研究施設で秘密裏に育てられていたサメ型クリーチャーが地球に不時着して、やがてそれはサメ人間の<シャーク・ベイダー>となり、人間を襲い始めるという。だんだん盛り下がってくるよね、これだけバカバカしいと。
鈴木 そこら辺飛べるんだったら、地球に不時着する必要ないですよね。
荒木 あとはね、ヨガサークルに潜入することになったテレビの心霊ディレクターたち。そこはサメを祭った信仰宗教団体だったというオカルト系シャークシリーズとか。どんなものになるのか、よくわからないんですけど、とにかくバカバカしいサメ映画がですね、10作品も揃ってます。
鈴木 凄いな―。
荒木 なかなか、立派ですよ。7月12日~15日迄。よくこれだけバカバカしい映画を集められる、それを見に行く人がいるというね。
鈴木 そうだよ!需要があるから作るんだからね。
荒木 ということですよね。ほんと、冷めないサメ映画ですね。
鈴木 うわっ!上手い!荒木さん、1週休んだら調子よくなりましたね。
荒木 そうですか?褒められるのも癪ですが、上手に出来ましたか?
鈴木 出来たし、癪ですがって、シャークにかけてるんじゃないですか。
荒木 そうそう。深いでしょう。ちょっと頭のネジが一本緩んでますので、訳わかんない事ばっかし言ってます。
鈴木 逆に締まってますね。
荒木 不調の中、さめざめ泣いてますので、今後ともよろしくお願いいたします。
鈴木 今、俺が気づいたところで、3か所、韻踏んでたよ。完璧、ラッパーだよ。ありがとうございます。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。