「メイ・ディセンバー ゆれる真実」「エンドレス・サマー デジタルリマスター版」などのとっておき情報

(2024年7月20日10:45)

映画評論家・荒木久文氏が「メイ・ディセンバー ゆれる真実」「エンドレス・サマー デジタルリマスター版」などのとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、7月15日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木      よろしくお願いします。

荒木      今日は海の日ですがその話題はあとにして、まずは公開中の問題作から…。 『メイ・ディセンバー ゆれる真実』というタイトルです。この作品は90年代のアメリカで実際の事件、通称“メイ・ディセンバー事件”にヒントを得た作品です。 実際の事件の再現ではなく、ヒントをもらっているということです。
物語は、50歳過ぎの女性と30代の男性の夫婦、その子供たちの日常の風景から始まります。このカップル、女性グレイシーと30代の男性ジョーは、以前に大きなスキャンダルになった夫婦だったんです。20年以上前、夫も子どももいた36歳の女性グレイシーが当時13歳の男の子ジョーと恋に落ちます。そして性的関係を結んでしまいます。 すると、グレイシーは未成年者のSEXの罪で逮捕されてしまいます。 その時妊娠していた彼女はジョーとの間にできた長女を獄中で出産するんです。で、グレイシーは、出所後結婚します。

 
アラキンのムービー・ワンダーランド/「メイ・ディセンバー ゆれる真実」「エンドレス・サマー デジタルリマスター版」なっどのとっておき情報
      
「メイ・ディセンバー ゆれる真実」(TOHOシネマズ 日比谷ほか全国上映中)(配給:ハピネットファントム・スタジオ)(©2023. May December 2022 Investors LLC, ALL Rights Reserved.)       

鈴木      グレイシーとジョーが、ね!?

荒木      はい。さらに双子の兄弟を授かって、今日まで暮らしているというところから始まります。

鈴木      いやー!そこから始まるのね。

荒木      そういうところに、ある日、2人をテーマにした映画を製作しようという動きがあって、グレイシー役を演じる女優エリザベスが役作りや気持ちの問題をどうしていったらいいかとか、リサーチのために彼らの住む町へやって来て夫婦やそのまわりの人々と事件の当事者を追っかけて、その女優が事件を掘り起こしていく…ということなんです。

鈴木      なるほど。人間的にもロケハンですよね。

荒木      そう、ロケハンです!妻のグレイシー約にはジュリアン・ムーア。 リサーチのために町に来る女優役はナタリー・ポートマンです。大女優二人の共演です。ちょっとゴシップっぽい映画なのかなと、最初思ったんですけども…。 ナタリー・ポートマンというと狂気の情熱で豹変していく『ブラック・スワン』に代表される、とてもお芝居が上手いっていうイメージがあるんですけど、この映画でも遠慮なく、普通に暮らしている夫婦のところにどしどし入っていって役作りをしていくという、ある意味、とても強い女をやっています。

鈴木      芝居の中に芝居があるんだ…。

荒木      そうなんですよ。やはり、2人の女優のお芝居が凄かったです。本当に見ごたえのある作品です。見ていると、ナタリー・ポートマンが、ジュリアン・ムーアの役をやるんでリサーチに入ってくるんですけど、顔が全然違うのにどんどん似てくるんですね。

鈴木      うわっ!その現象が出た!

荒木      で、それがちょっとゾワゾワっときて。女優という女性の狂気に近い気持ちの入れようみたいなのがよく表されてます。もうひとつは、夫婦の難しさも描かれていますね。年上の女性と年下の男性、しかも23歳差。

鈴木      いいよー!全然いいよ!いいよ!

荒木      今だったら、ダイちゃんの23歳上だと、80いくつ…になるよね。

鈴木      それはちょっと、どうかと思うけど…。

荒木      あはは。

鈴木      30歳だったら、50歳。全然いいですよね!

荒木      でも、ヤクルトのペタジーニのオルガさんは、25歳年上ですよね。

鈴木      あはははは。そこに、ペタジーニの話が来るとは思わなかった。

荒木      フランス大統領マクロンさんもご夫人は24歳年上でしたよね。同級生の母親とかいうパターンですよね。 実際のこの事件はルトーノー事件、メアリー事件というのかな。1990年代に実際にあった事件です。小学校の女性教師が自分の教え子と結婚してしまったという。彼女は児童レイプ罪で逮捕されるんですけど、世間は同情的だったんです。ところが一度仮釈放された時にまた関係を持っちゃってですね、また妊娠して懲役7年というね。

鈴木      懲りない2人というか、懲りないですね。

荒木      で、相手は23歳下のヴィリ君という男の子だったんですけど、最終的にはそのヴィリくんの方から離婚を申し出て、最後は離婚するということになるんです。

鈴木      えーっ、それでどうするんだろう。若い女性と結婚しちゃうのかな?

荒木      どうなんでしょうね、この辺りは。女性の方は亡くなってしまっていますけどね。映画の中でも2人は別れてしまうんですけど。どんな恋愛も永遠じゃないという、当たりまえと言えば当たりまえなんですけど、23歳差っていうのはね。同じ話題とか感覚が、同世代じゃないとわからないところがあるからね。男は「女は若い方がいい」とか言うけど、年上もね・・、若い時は年上の方がいいですよね。

鈴木      いいよ!俺はジョー、いいなって思うよ。グレイシーさんどこにいるの?

荒木      それは、若い時ね(笑)。 7月12日から公開中なんですけど、『メイ・ディセンバー ゆれる真実』。なかなかの問題作です。

鈴木      真実は揺れるもんですね。

荒木      そうそう、メイ・ディセンバーっていうのは、5月と12月ですよね。 これは、親子ほど年齢の開きがある、年の差婚のことを英語で言うそうなんです。5月と12月くらい離れてるという。

鈴木      日にち的にも、季節的にも離れてますもんね。

荒木      『メイ・ディセンバー ゆれる真実』というタイトルの作品でした。  で、海の日の話です。今日、連休最終日ですけどあまり天気よくないね。海の日って言うと、サーフィンとかね。聞いたことないけど、大ちゃんはサーフィンとかどうなの?

鈴木      一応、高校2年間はサーファーやっていましたよ。

荒木      凄いね!サーフィンっていうタイプじゃないけどね。

鈴木      俺~、高校の時、結構ナンパな感じの雰囲気もありましたよ、意外に!

荒木      ああそう。じゃあ、サーフィン映画っていうと、「ビッグ・ウェンズデイ」?

鈴木      マット、ジャック、リロイの3人。3人の高校生でやってたんです、僕たち。

荒木      ホントに!?凄いね。

鈴木      だから、俺はリロイだ、ジャックだ、マットだって言って。当時、盛り上がってやってた。友達がいたからね。

荒木      凄いね!私は、サーフィンを1回やってみたことがあるんだけどとうとう立てず仕舞いでね。

鈴木      それなら、ロングボードやったらいいと思いますよ。立つだけだったら。

荒木      そうですね、ボディボードはやったけど、楽しかったですよ。

鈴木      どちらにしろ、波に乗るってことは楽しいですよ。

 
アラキンのムービー・ワンダーランド/「メイ・ディセンバー ゆれる真実」「エンドレス・サマー デジタルリマスター版」なっどのとっておき情報
      
「エンドレス・サマー デジタルリマスター版」(新宿ピカデリーほか全国上映中)(鈴正・フラッグ共同配給)(© Bruce Brown Films, LLC       

荒木      楽しいですよね。そんな映画、バイブル映画とも言えるでしょう。もちろん、ダイちゃんの好きな「ビッグ・ウェンズデイ」もそうなんですが、欠かせない作品がもうひとつあります。それは、「エンドレス・サマー」。

鈴木      「エンドレス・サマー」、やっぱりそうだよね。

荒木      この作品、日本の公開は1966年です。この映画を見てサーフィンやろうと思ったのが、ダイちゃんよりひとつ前の世代ですね。サーファーの第一世代だったかもしれませんね。ドキュメンタリー映画なんですが、終わりのない夏を求めて旅に出るサーファーたちが世界各地で繰り広げる出会いと冒険を描いたものです。 当時21歳のマイクと、当時18歳のロバート、カメラ担当のブルース・ブラウン監督と、完璧な波と夏を探す世界の海への旅に出るんですね。アフリカ中心です。ガーナからナイジェリアへ行き、赤道を越えて南アフリカのケープタウンからセントフランシス岬へ向かい、オーストラリアやニュージーランドと、世界各地をサーフトリップする姿を記録しています。アフリカの子どもたちは、サーフィンの存在は知ってたけど、ボードすら見たことのなかった時代ですからね。

鈴木      アフリカの子どもが、やるイメージ、ないですよね。

荒木      そうなんですよ。でもね、アフリカの子どもたち、すぐ乗れちゃうんだよね。

鈴木      運動神経というか、身体能力凄いんですね。

荒木      そうなんです バランスがいいんだよね。びっくりするんですよ。 映画の中で、初めて乗って初めてで立てて。私も実は、この映画、初めて見たんですけど、非常に、デジタルリマスター版でリバイバル公開なんで、とっても綺麗です。

鈴木      まさか荒木さん、今からサーファーになるなんて言い出すことはですよね?

荒木      そりゃ無理だね。腰痛いしね。

鈴木      そりゃないね(笑)。

荒木      岡サーファーだったら、なりたいけどね、ハハ(笑)。

鈴木      岡サーファー! (笑)。懐かしい単語だなぁ。

荒木      そうでしょう!恰好だけの岡サーファー、私にぴったりですよ。 サーフィン映画のバイブル「エンドレス・サマー」という映画 現在公開中です。 で、もう1本は、「メニイ・クラシック・モーメンツ」という、こちらもドキュメンタリー映画ですよ。 3人のハワイアンのサーファーを中心に、マリブやオーストラリア、カリフォルニア、南アフリカ、ハワイなど世界中の美しい波に乗るサーファーたちの姿を追っています。ワイメアが中心です。美しい映像で、まさに芸術映画のようです。こちらは1976年製作のドキュメンタリーで、「エンドレス・サマー」に比べると撮影技術や音響にも格段の進歩が見られて、パイプラインの中から撮影もしたりしてますからね。

鈴木      チューブの中が見えてるってことですよね。

荒木      そうそう。そして、あの「カラパナ」がサウンドトラックを手がけているんですね。こちらもHDリマスターによるディレクターズカット版にて劇場初公開だそうです。
最後に、これもサーファー映画でしょうね。「ベサニー・ハミルトン アンストッパブル」という、昨日7月14日から公開の作品です。ベサニー・ハミルトン…って聞いたことあると思うんですけど、この人、13歳の時、サーフィン中にサメに襲われて左腕を失いながらも、プロサーファーとして第一線へのカムバックを果たした女性サーファーなんです。ベサニー・ハミルトン。2011年でしたか、「ソウル・サーファー」で、半生を映画化されたことで有名なんです。この映画は、その後のベサニー・ハミルトンを追ったドキュメンタリー映画なんです。事故から15年後、2人の子どもの母となるんです。でもサーフィンはやめなくて、彼女がハンディキャップを背負いながらもいまだにビッグウェーブに挑戦し続ける姿を、家族への取材や過去のライディング映像を織り交ぜながら映し出しています。

鈴木      泣くなー。

荒木      サーフィン好きだったら、見逃せないと思いますね。

鈴木      僕の時代、海外の方だったらジェリーロペスで、日本の方だったら粕谷修二さんですね。

荒木      粕谷さんね。

鈴木      あの世代に憧れて、サーフマガジンとか買ってましたもん。

荒木      サーフマガジンまで買ってたの(笑)。

鈴木      ホントなんですよ、ホント!2年間やってたって、マジで。

荒木      サッカーマガジンとサーフマガジンか。凄いですね、2本立てでやってたんですね。

鈴木      「ビッグウェーブ」は、84年の達郎さんのあの音楽で見てましたからね。

荒木      私も、サーフィンは一度やってみたかったな。波に乗って立ってみたかったなと思うんですけど、叶わない夢ですけどね。 ということで、今日は海の日にちなんで、現在公開中のサーフィン映画を、3本ご紹介しました。過去のサーファー、ダイちゃんに贈る3本でした。

鈴木      ありがとうございました。

      
「メイ・ディセンバー ゆれる真実」「エンドレス・サマー」なっどのとっておき情報
      
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊨と鈴木氏)                

   ■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

   ■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。    

     
         
        

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