-
映画
藤竜也、北米最大の日本映画祭「ジャパン・カッツ」で特別生涯功労賞受賞
(2024年7月20日21:30)

ニューヨークで開催されている北米最大の日本映画祭ジャパン・カッツ(7月10日~7月21日)で藤竜也が特別生涯功労賞を受賞し、18日(現地時間)に行われた授賞式で英語のスピーチで感謝と映画への愛を語った。
藤が出演する映画「大いなる不在」が正式出品されている米・ニューヨークのマンハッタンにあるジャパン・ソサエティーで行われている北米最大の日本映画祭ジャパン・カッツにて、藤が『愛のコリーダ』や『愛の亡霊』など、60年にわたるキャリアを持つ日本映画界の偉大な俳優としての功績と、その俳優人生を称える特別生涯功労賞が授与され、アメリカ時間18日に授賞式が行われた。
特別生涯功労賞(lifetime achievement award)は今回、藤の功績を称える賞で、ジャパン・カッツとしても初めての授与となる。
満席の会場の中、大きく温かい拍手で迎えられ登壇した藤は流暢な英語で「こんなに素晴らしい賞を私にくださり、ありがとうございます」と感謝を述べた。
そして、50年前に大島渚監督の『愛のコリーダ』でニューヨーク映画祭をを訪れた当時を振り返り、「我々は上映のためにリンカーンセンターに行ったわけです。ところがとても残念で悲しいことに本編の検閲の問題で上映が出来なかった。私たちはとてもがっかりしたし、犯罪者か何かになったような気分でね。ともかくそれから50年経ったいま、私はここにいて、こんな素敵な賞をいただいた」と感慨深そうに語った。「50年を経てようやくお客様にお礼を言えます。本当に時間の経過を感じます。映画って素晴らしいし、人生も本当に素晴らしいものです。ありがとうございました」と感謝の言葉を述べると、観客による割れんばかりの大きな拍手が起こった。
『大いなる不在』の公式上映はエンドロールが始まるとともに、大きく長い拍手が響き渡り観客の抑えきれぬ感動で、会場の温度を熱くさせた。上映後には監督の近浦啓、藤竜也が登壇し、拍手や笑いが起きる一幕も。一体感に包まれた公式上映となった。
本作は、現地時間7月19日よりNYの劇場アンジェリカ・フィルムセンターにて、その翌週26日にはロサンジェルスのレムリシアターでの劇場公開のほか、台湾、韓国、インドネシア、スペインで配給が決まっている。
本作は2023年9月に開催された第48回トロント国際映画祭のプラットフォーム・コンペ
ティション部門にてワールドプレミアを飾ったのち、第71回サン・セバスティアン国際映画祭でコンペティション部門のオフィシャルセレクションに選出。迫真の演技で認知症を患った父親を演じた藤が、同映画祭の歴史上日本人初となるシルバー・シェル賞(最優秀俳優賞)を受賞するという快挙を成し遂げ、さらにはサン・セバスティアンの文化財団「アテネオ・ギプスコアノ」が最も卓越した作品に与えるアテネオ・ギプスコアノ賞も受賞。そしてアメリカ最古の国際映画祭、第67回サンフランシスコ国際映画祭でもコンペティション部門にて最高賞にあたるグローバル・ビジョンアワードを受賞。初監督作『コンプリシティ/優しい共犯』に続き、近浦啓監督長編第2作目にして世界の映画祭で受賞、絶賛を博している。

【STORY】
小さいころに自分と母を捨てた父が、警察に捕まった。連絡を受けた卓(たかし)が、妻の夕希と共に久々に九州の父の元
を訪ねると父は認知症で別人のようであり、父が再婚した義理の母は行方不明になっていた。卓は、父と義母の生活を調べ始めるが―。
【クレジット】
監督・脚本・編集:近浦啓 共同脚本:熊野桂太 プロデューサー:近浦啓 堀池みほ
出演:森山未來 真木よう子 原日出子/藤竜也
製作・制作プロダクション:クレイテプス 配給:ギャガ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
2023年/日本/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/133分
©2023 CREATPS
2024年7月12日(金)全国順次公開