新刊本「世界の名カメラマン大全」 ハリウッドとヨーロッパの撮影の名手を大特集

(2024年8月1日9:00)

新刊本「世界の名カメラマン大全」 ハリウッドとヨーロッパの撮影の名手を大特集
「世界の名カメラマン大全」

全米映画撮影監督協会が選ぶ「20世紀最高の100作品」(古澤利夫著、ビジネス社刊)に続く第2弾として、ハリウッドを担った撮影の名手たちとヨーロッパのカメラマンを紹介する「世界の名カメラマン大全」(古澤利夫著、ビジネス社刊、4950円)が1日、発売された。

第1弾の「20世紀最高の映画100作品」(2024年2月発売)では、1位に選ばれた不朽の名作「アラビアのロレンス」(1962)など、「撮影技術と芸術において画期的な20世紀の映画100作品」が紹介された。
第2弾となる「世界の名カメラマン大全」では、100作品に選出されなかった、紹介できなかった、歴史に名を残す名カメラマンを大特集。ハリウッドを担った撮影の名手たちとヨーロッパの名カメラマンに注目して、その素晴らしい仕事ぶりや職人技をバイオグラフィとともに紹介している。

著者のサンダンス・カンパニー取締役社長古澤利夫氏は、元20世紀フォックス映画 日本支社の宣伝部長で、退職後も角川映画、ルーカスフィルムなどの配給・企画・制作に携わった映画のエキスパートならではの視点で、俳優や監督に比べてスポットライトがあまり当たることがない映画の撮影カメラマンを圧倒的なボリュームで紹介する貴重な映画本になっている。古澤氏が映画雑誌「フリックス」(ビジネス社)に連載した記事をもとに刊行された。

著者は、ハリウッドのカメラマンについて書こうとしたとき、「カメラマンについての日本語の資料が少ないこと」(同著より)に気づき、「自分で作ろうとアメリカの資料をあさって、1年半かけてハリウッドの名カメラマンの完璧なフィルモグラフィを仕上げました。」(同)。

「國民の創生」(1915)などの作品で「映画の父」といわれるD・W・グリフィス監督のカメラマンだったG・W・ピッツアの仕事やエピソードを皮切りに、名作ヒット作を支えた膨大なカメラマンを取り上げ、撮影カメラマンの仕事の内容や各作品の撮影エピソードなどを記録している。

その一例として、アラン・ドロンを世界的スターにしたルネ・クレマン監督の「太陽がいっぱい」(1960)のカメラマンアンリ・ドカエが、有名なヨットのシーンで、「帆先でドカエがカメラを持ち、それをアシスタントが押さえるという、恐ろしい体勢で撮影されたものだった」(同著より)などのエピソードもふんだんに登場し、映画ファンにはたまらない「名カメラマンの大全」になっている。

■古澤利夫(ふるさわ・としお)・略歴

10代の頃から映画業界に入り、パラマウント映画での契約を経て、1966年2月、20世紀フォックス映画 日本支社に入社。90年宣伝部長、91年宣伝本部長。97年12月20日公開の「タイタニック」で、当時の日本興行収入史上最高の263億円を記録。20世紀フォックス映画在社37年間に宣伝・配給に携わった作品は502本。その大ヒット作の多くでゴールデン・グロス賞最優秀金賞・銀賞、読売映画・演劇広告賞最優秀賞を受賞。映画界での長年の功績を評価され、98年に第5回南俊子賞、99年に第8回淀川長治賞を受賞。03年に20世紀フォックス映画を退職後も、ジョージ・ルーカスより直接「スター・ウォーズ エピソード3/シスの逆襲」の宣伝を依頼される。また、角川映画、ルーカスフィルム、ソニー・ミュージック、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント、UPIからも配給・マーケティングの特別顧問を委嘱された。2018年までの53年間に宣伝・配給、企画・製作に携わった作品が817作品。その売り上げを合算すると6277億8600万円を超える。宣伝・配給、興行・製作の全方位を眺望する稀有の≪全身映画人≫。(同著の著者略歴より)