「悪魔と夜ふかし」と「花嫁はどこへ?」のとっておき情報

(2024年10月12日9:30)

映画評論家・荒木久文氏が「悪魔と夜ふかし」と「花嫁はどこへ?」のとっておき情報を紹介した。トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、10月7 日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

鈴木      よろしくお願いします。

荒木      10月で、さすがに秋らしくなってきましたね。今日は秋にちなんでというか、秋にひっかけて新作映画をご紹介しようと思います。と言いながら、お知らせが先行で恐縮ですけど。秋と言えば映画祭、映画賞のシーズンですよね。

鈴木      はい。

荒木      報知映画賞一般投票のお知らせです。

鈴木      出た!荒木さん、審査委員ですもんね。

荒木      まず映画賞。その先陣を切って「第49回報知映画賞」ですが、一般投票が始まっています。報知映画賞は、まずノミネートというのがあるんです。 一般の方からの投票してもらって、それをベースに審査をして主演男優賞とか、作品賞や監督賞などをノミネートするんです。それで11月中旬に選考委員会を開催し、その中から選定、決定するということになっています。だから、ラジオをお聴きのみなさんが考える今年のお気に入りの作品や俳優さんいると思いますけど、それを是非投票して欲しいんですよ。

鈴木      我々の思いも、一応反映しますもんね。

荒木      だから、そういう俳優がいるよ~という人、「報知映画賞」とネットで検索して、投票のサイトに行ってください。投票方法も書いてあります。作品賞からはじまって、アニメーション部門まで、7,8部門ありますので。投票していただいた方の中から抽選で、セルリアンタワー東急ホテル・ペア宿泊券とか、キヤノンの高級ミラーレスカメラだとか、プリンターだとか、全国共通劇場招待券など当たりますので、是非ふるって応募してください。応募は10月31日までです。報知映画賞一般投票のお知らせでした。

鈴木      わかりました。

荒木      ところでダイちゃん!そのスタジオで喋っていると、外の景色で季節を感じるでしょうね。

鈴木      見えます。ここは外が見える窓ガラスがついてますので。

荒木      日が短くなって来ると、ちょっとエンディングのあたりは‥(笑)。

鈴木      そうですよ。真っ暗ですよ。

荒木      つい最近までは、明るかったのにね。 秋の夜長っていいますけど、夜が長くなると昔は本を読むとか夜更かししたもんですが、ダイちゃんは、何で夜更かししますか?

鈴木      なんですかねぇ。映画だね。パソコンで動画を見たりですね。

荒木      夜ふかしって楽しいですからね。

鈴木      夜ふかしの映画ほど印象に残るって、あれ、なんなんですかね?昼見るより。

      
アラキンのムービーワンダーランド/「悪魔と夜ふかかし」と「花嫁はどこへ?」のとっておき情報
      
「悪魔と夜ふかし」 (10月4日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国順次ロードショー)(©2023 FUTURE PICTURES & SPOOKY PICTURES ALL RIGHTS RESERVED)(配給:ギャガ)       

荒木      それにぴったりな映画なんですけど、変なタイトルです「悪魔と夜ふかかし」。現在公開中ですけど、まず、この映画だいたいのシュチュエーションっていうかパターンを紹介します。
1977年のオーストラリアのテレビ局の深夜のテレビトークショーの生放送でとんでもない事件がおこります。それは都市伝説にまでなっていたのですが、その時の生放送を収録したビデオテープが発見されて、その怖い出来事の一部始終が映っていた、それを見てゆくという設定になっているわけです。ホラー映画です。 こういう種類の作品は、ファウンド・フッテージと呼ばれます。映画やテレビ番組のジャンルのひとつで、モキュメンタリーとかフェイクドキュメンタリーとか呼ばれています。 行方不明になったため、埋もれていた映像が発見されて公開されることになった形式をとっているんですね。

鈴木      基本的には、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」とか、「ジャンク」とか、ああいうやつですよね。

荒木      おっしゃる通り!基本的なのがそういう作品ですよね。ストーリーです。1977年、今から50年も前、しかもハロウィンの夜です。

オーストラリアの放送局UBCの深夜のトークバラエティ番組「ナイト・オウルズ」の司会者ジャックが主人公です。この人、視聴率獲得のためには手段を選ばない貪欲な男です。 いましたよね、昔のテレビマン。彼は視聴率が下がり気味の、自分のこの番組の人気回復を狙って、生放送のオカルトライブショーで事態を打開しようとしていたんですね。 交霊術ってありますよね。死んだ人と話をするっていう例のイタコ系のやつ。それからポルターガイスト、怪しげな超常現象を次々と取り上げていくんですが、この日のメインゲストは、なんと!悪魔に取り憑かれてしまっているというローティーンの少女リリーちゃんなんです。そしてもう一人は、「それはインチキだ」と悪魔付きを暴く立場の人間がゲストなんです。いましたよね。昔の大槻教授みたいな人です。それをぶつけて対決させて、テレビ史上初となる“悪魔の生出演”を実現させようとしていました。

鈴木      ジャック!いいじゃないですか。

荒木      さあ、番組が開始され、やがてクライマックスを迎えた時に恐ろしい出来事が、そして大惨劇が発生するという話です。ほんとのようなウソの話、うまく作ってありますね。1970年後半の深夜のテレビショーの再現度がめちゃ高いです。 ジャックも、なんていうか、ポマードで頭を固めてガチガチで、もみあげがちょっと長めで、裾のちょっと広がったズボンとかはいてる人です。全体的にべたッとした感じで作ってあるんですよ。 やってましたよね、深夜のテレビショー。

鈴木      やってました。そして、以外に過激なことやってましたからね、夜の番組って。

荒木      そうなんですよね。高齢者しかわからないですけどね(笑)。

鈴木      あはははは。

荒木      これ日本だけじゃなかったらしいですね。世界的な傾向だったらしいですよ。当時の大スターは、ユリ・ゲラーですよね。

鈴木      曲げまくりましたからね。

荒木      みんなスプーン持って学校とか、行きましたよね。

鈴木      思い切り、力で曲げてるやついましたからね。それで手首痛めちゃって(笑)。

荒木      あと、宜保愛子さんとかね。

鈴木      冝保さんは、本当に見えていたって話、よく聞きますよ。

荒木      どうだったんですかね、なんか人の好さそうなおばさんでしたよ。それから織田無道とか。

鈴木      いましたよね。坊主さんですよね。

荒木      わけの分からん人多かったですけど、面白かったですよね。

鈴木      面白かった。夢中になってました僕も。

荒木      私も、日テレのオカルトディレクターの矢追純一さんと番組やったことありました。

鈴木      矢追純一さん!もうUFOと言やぁ、矢追さんでしたからね。

荒木      UFOと超常現象ね。目茶苦茶な時代で、目茶苦茶な人たちでしたよね。

鈴木      ある種、最高でしたね!

荒木      そうね、今じゃNGでしょうけどね。これも、高齢者しかわからない思い出ですけどね。この手が好きな人は見てください。なんか昔を懐かしむことになっちゃいましたけど、中々えぐくて、コメディとホラーの塩梅が抜群です。 そんな、面白い「悪魔と夜ふかし」現在公開中です。ネーミングセンスもいいですよね。

鈴木      悪魔と夜ふかし、いいじゃないですかぁ。

荒木      1本目ご紹介しました。2本目。秋と言えば、結婚のシーズンでもありますよね。

鈴木      えーっ!?えー、はあ。

荒木      ある結婚情報誌の調査によると、11月が、一番結婚式が多いみたいです。2番目は10月。3位が5月になるらしいです。

鈴木      ジューンブライドはどこに行っちゃったんですか?

荒木      ジューンブライドは人気ない。下から2番目くらいとか・・。

鈴木      雨降るし、湿度が高くてベタベタするからね。

      
アラキンのムービーワンダーランド/「悪魔と夜ふかかし」と「花嫁はどこへ?」のとっておき情報
      
「花嫁はどこへ?」(© Aamir Khan Films LLP 2024)(松竹:配給)(2024年10月4日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開)       

荒木      まぁ、「足元のお悪い中…」になっちゃうからね。ということで、結婚をテーマにした、久々のインド映画です。 「花嫁はどこへ?」という、現在公開中の作品です。 ストーリーです。時は2001年というから、今から20年程前ですね。あるインドの田舎。二人の女性が同じ日に結婚式を上げます。花嫁さん、1人目はプールさん。もう1人はジャヤさん。これは覚えてくださいね。プールさんは、可愛いい感じのぽっちゃりの、いわゆる箱入り娘タイプですかね。ジャヤさんは、すっとした理知的で、頭がよさそうで芯が強そうな美人です。

鈴木      私はジャヤさんにします!

荒木      そうですか(笑)。二人は結婚式後、それぞれの夫と、たまたま同じ満員列車の8人掛けぐらいの席に乗り合わせます。インドの列車はやたら詰め込まれていてグリーン車も何もなくて、ぐちゃぐちゃなんですよ、新婚なのに・・・。2組のカップルはそれぞれ遠い花婿の家に向かっていたんです。ところが、全く似たような赤い花嫁衣装を着て、同じく赤いベールで顔を覆っているために、途中の駅でプールさんの夫は間違えてジャヤさんのほうの手を引いて列車を下り自分の家に向かってしまうんです。家に着いて家族が歓迎する中、花嫁がベールを脱いで顔を見せるとお嫁さんは別人でみんなびっくり! 一方、列車に置き去りにされたプールさんは、遠い見知らぬ駅まで行ってしまい、花婿の家の住所や電話もわからず途方にくれます。携帯もない時代ですからね。屋台の女主人に助けられて花婿を探すことになります。そうした中、間違えられて連れてこられた花嫁ジャヤさんは、自分と夫の名前をウソを言い、夫からの連絡を絶ち、プールさんの夫の家に居候しようとするんです。

鈴木      うわっ!やっぱりプールさんに替えます。

荒木      ジャヤさんには、なにか秘密があるようなんです。で、夫のもとに帰りたいプールさんの運命はどうなるのか、ジャヤさんはなんなのか? 地元の警察官も絡んで、騒動は意外な展開を見せていきます。

鈴木      なんかミステリーじゃないですか。

荒木      そうです、ミステリー要素もあります。 リスナーのみなさんは、いくら何でも自分の花嫁さんを間違えてしまうなんてあり得ないと思うでしょうが、物語の舞台の2001年当時のインドは、みんな花嫁がきらびやかな衣装を着て同じようなベールで顔を完全に隠す習慣でした。

鈴木      間違えるわ、これ。

荒木      有りうるんですよ。3、4組同じような格好をしたカップルが同席してるわけですよ。そして2人の花嫁のプールさんとジャヤさん、それぞれの対照的な行動から目が離せなくなります。ジャヤさんが取った行動っていうのが、取り違えをチャンスにして自分自身の道を切り開こうとする、インドの女性の自立を目指す姿がだんだん明らかになってくるんです。当時のインド女性の生き方の問題なども含まれています。

鈴木      今の、2024年、2025年あたりは、ジャヤさんみたいな女性の方が増えてますね。

荒木      もちろんそうでしょうね。だから、当時は生きにくかったと思いますよ。ま、なかなかいいコメディでした。で、インド映画というと、シリアスなドラマでもいきなり歌いだしたり、踊りだしたりしますが、この映画はそんなことありません。最後まで、社会的でもあり、意外性のあるドラマが進行します。日本人好みで、ほろっとするような人情噺というか、昔の松竹映画を見るような感じもありますね。インド映画っていうと有名なのが、俳優アーミル・カーンですよね。『きっと、うまくいく』などで知られる。 今回は彼がプロデューサーとして参加してるんですよ。

鈴木      裏方になってんだ。

荒木      はい。彼の元妻でキラン・ラオさんが監督をしてるんです。運命のいたずらを幸せに変えるという物語ですが、監督は、「女性が結婚していてもしていなくても自分の可能性を生かし、意思を尊重して生きていけるかというテーマを盛り込みたかった」と話してるんですね。

鈴木      セクシーなシーンはないんですか?

荒木      まったくないですね(笑)。

鈴木      はい…わかりました。

荒木      新婚とか、そうなるとセクシーなシーンが期待されますけど、きれいなインド女性、インド女性ってきれいですからね、それを見るだけでも栄養になりますね。 この映画は、トロント国際映画祭とか、来年第97回アカデミー賞国際長編映画賞のインド代表に選ばれてますので、話題の映画なんですが、曲をかけるんですが、なんと読んでいいかわからないという笑い話なんですが。

鈴木      曲名のタイトルがわからずお贈りしますって番組、あんまりないんじゃないですか?

荒木      すみませ~ん。もうね、ヒンドゥー語だかインド語だか、ウルドゥー語だかわからないんですよね。読めないんですから。なんか、クリップみたいのがいっぱい並んでるんです。

鈴木      そうなんですよ。昔の、なんか宇宙人が置いてきた石板に付いてるような文字。

荒木      そうそう。そんなことでメインテーマと言うしかないんですが。

鈴木      じゃあ、この曲お贈りしますので、ありがとうございました。「花嫁はどこへ?」という映画のメインテーマをお贈りしますということにしましょうね。

      
アラキンのムービーワンダーランド/「悪魔と夜ふかかし」と「花嫁はどこへ?」のとっておき情報
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊨と鈴木氏)         

   ■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

   ■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。

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