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映 画

「未体験ゾーンの映画たち2025」「サンセット・サンライズ」のとっておき情報
(2025年1月21日19:30)
映画評論家・荒木久文氏が、「未体験ゾーンの映画たち2025」「サンセット・サンライズ」のとっておき情報を紹介した。トークの内容はFM Fuji「Bumpy」(月曜午後3時、1月13日放送)の映画コーナー「アラキンのムービー・ワンダーランド」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。
鈴木 成人の日何回目ですか?よろしくお願いします。
荒木 あと数年で4回目の成人式を迎えます(笑)。
鈴木 それを聞くだけでも衝撃なんだけど(笑)。
荒木 ダイちゃんだって、3回目でしょう。4回も成人式やりたくないよね。ところで 毎年ダイちゃんにはずっとお馴染みですが、映画イベントの紹介からいきます。「未体験ゾーンの映画たち2025」ってね。もう何年紹介しているかな。
鈴木 来た!今年も来ましたね。
荒木 いろんな理由で…例えば大物俳優が出演しないとか、広告宣伝費がないとかで、公開が見送られてしまう映画が多いんですね。もったいないじゃないですか。
その中にはいわゆる掘り出し物…、傑作だったり、怪しい映画、いわゆる怪作があるんですよ。 そんな映画を是非スクリーンで見てもらいたいという思いで開催されるのがこのイベントなんです。
いつも言っていますが、見ないのはもったいない映画祭というか、映画・蚤の市と言う人もいますけどね(笑)。今年もアクション・サスペンス・ホラーコメディなど各国のあらゆるジャンルから厳選された20本、もう始まっているんです。今年は2月13日まで東京・渋谷のヒューマントラストシネマ渋谷で開催されます。今年14回目。いくつかご紹介します。まず、ヒューマントラストシネマ渋谷の担当者の福島さんのご推薦ですからね。
鈴木 福島さ~ん!!

荒木 まず、韓国で初登場第一位を記録したヒット作「炎上ドライブ」という作品です。炎上は燃え上がるという、例の炎上です。「炎上ドライブ」公開中です。
ユナさんという人気YouTuber。現在やらせ疑惑で炎上中なんです。ある日、イベントを終えて自分の車で眠ってしまった彼女は、目覚めるとなんと、猛スピードで走行中の車のトランクに閉じ込められていました。
鈴木 なんと! 犯罪だね!
荒木 正体不明の犯人は、トランクに閉じ込められているユナさsんに対し、
1時間のライブ配信の投げ銭で大金を稼ぐようにと要求します。視聴者からはまた自作自演のやらせじゃないかと疑われて炎上する中、ユナはトランクから必死に配信を続けるという。
鈴木 なんか、ありそうっていうか、なんか、できそうっていうか。
荒木 ええ?あり得ないでしょう!
鈴木 あり得ないですかぁ。なんかありそうと思えちゃう時代感だなっていう。
荒木 そうね。韓国の映画は驚いちゃうんですよね。どんでん返しの連続で突っ込みたくなる部分もあるんですけど、スピード感がすごいです。
鈴木 コメディなんですか?
荒木 パニックスリラーですね。
鈴木 パニックスリラーね。この手のが好きな方はどうぞ。

荒木 2本目。これも公開中です。タイトルは、「皆殺しに手を貸せ」というちょっと変なタイトルです。西部劇なんですよ。1970年代のマカロニウエスタンやジャッロへのオマージュ満載の西部劇です。
マカロニ・ウエスタンというのはわかりますよね?イタリア製の西部劇。「ジャッロ」というのは血がぼたぼたというか、過度の流血を映してしつこく殺人シーンを撮影するのを特徴とした作品群を言います。ま、悪趣味ですよね。このふたつを意識的に取り入れてる映画です。
ストーリーは1870年代、西部開拓時代のアメリカなんですけど女性が主人公なんです。
モーリーさん。この人、泥棒だったんですが足を洗って愛する夫と慎ましく暮らしていたのですが、ある日、賞金稼ぎに夫を殺されてしまいます。夫の名誉の為に彼の無実を証明しようとしたモリーは、巨大な陰謀の存在に気づくわけです。自身の魂を死神に差し出して復讐の鬼と化すという、ムチャクチャなんですけど。
鈴木 あはははは。
荒木 監督が凝っていて、1960年代に使われていたカメラと、もう生産されてないんじゃないかな、コダックフィルム16ミリ。それで作っているんですよ。
鈴木 オマージュだね。
荒木 そうそう。「グラインドハウス」ってわかります?
鈴木 わかります。
荒木 アメリカで低予算のB級映画 を2、3本立てで上映する映画館のことですけど、ちょっと趣味の悪い、日本にも新橋にありましたけど。そういうところでやるような、デタラメなと言っちゃなんですけど、昔風のざらついた16ミリフイルムで撮ってるよって書いてあるんですけど、凄いんですよ!
鈴木 凄いんですか(笑)。
荒木 そうなんですよ(笑)。もうわけのわからないところ、沢山あるんですけど、面白いです。
鈴木 尺は、2時間?1時間半くらい?
荒木 いいえ、短いですよ。80分とか。これは80分だったかな。80分とか90分なんで、気楽に見られるですよ。
鈴木 いいですね。
荒木 こだわりっぷりが凄いんですよ。「皆殺しに手を貸せ」という公開中の作品です。
鈴木 手を貸すよ、貸しますかって言いたくなる感じですね。
荒木 見るとやめられないです。3本目、「ナイト・オブ・アルカディアン」。
最近はお金が大変で何にでも出ているという噂のニコラス・ケイジが主演のサバイバルスリラーなんです。舞台はアイルランドなんですけど、怪物に襲われるニコラス・ケイジと双子の息子たちっていう話です。クリーチャーが不気味で、わりかし原始的なんです。謎が多いんだけど、クリーチャー好きは必見です。1月17日から公開「ナイト・オブ・アルカディアン」。
鈴木 でも、ニコラス・ケイジはこういうのが合ってるんだよなあ。
荒木 そうですね、確かに。 4本目は「ザ・ボディガード ローグ・ミッション」という1月31日からの公開です。ジョン・シナってわかりますか?
鈴木 知らない。
荒木 「ワイルドスピード」のファイアーブースの敵役と言ったらわかりますか?
鈴木 ああ!わかった!
荒木 プロレスラーですね。
鈴木 あいつか!
荒木 ガタイのいいホームベースみたいな顔の大人気の肉体派俳優さんですよね。そのジョン・シナ演じる元特殊部隊員という設定なんですけど、南米の独裁国家へ取材に行くというジャーナリストのボディガードを引き受けます。独裁者へのインタビュー中にクーデターが発生し、2人はジャングルへ逃げ込む事態になるんです。
逃げながらいろいろあるというお話なんですけどね。
鈴木 タイミングが重なりすぎるんですよね、こういうのって。
荒木 面白いですよね。都合のいいように作ります。監督はなんとダイちゃんの好きな「96時間」のピエール・モレル監督なんです。
鈴木 ということは、かなり良質のアクション映画なんですか?
荒木 そうなんです。ジョン・シナと組んでアクションも含めてプロレス技が入ったりアクションは保証します。
鈴木 ドクターペッパー、3本くらい買っといた方がいいですね。
荒木 ああそうですね。ドクターペッパー好きですか?
鈴木 好きです、私。
荒木 私も大好きです。あまり売ってないんだよな。
鈴木 うわっははは。ダメなコーナーだなあ(笑)。
荒木 コメディ要素も入っていたりあまり考えないで見るのには最適ですね。「ザ・ボディガード ローグ・ミッション」1月31日からです。
他にも注目作品としては、サミュエルL・ジャクソンとヴァンサン・カッセル共演の「ザ・チェイサー/追撃者」とか…。
そうそう、機会があったら是非見ていただきたいのは「蜘蛛女」という作品です。
鈴木 「蜘蛛女」?
荒木 この作品は、1993年に公開されたものなんです。私、当時見たのですが、私自身の生涯ベスト10に入る映画じゃないかとも思える映画です。
鈴木 「蜘蛛女」が?
荒木 そう。怖い映画なんです。女の怖さが。出演は若き日のゲイリーオールドマン。これで出世したという作品なんですよ。女優さんはレナ・オリンさんという女優さんで、すごい映画ですよ。特にレナ・オリンは凄いですから、是非見てください。
鈴木 ゲイリーオールドマンは、蜘蛛女じゃなくて何役なんですか?
荒木 警官役です。私ももう一度見に行く予定です。ということで2月13日迄、東京・渋谷のヒューマントラストシネマ渋谷で開催されます「未体験ゾーンの映画たち2025」のお知らせでした。
そういうこと!で、いつものように、ヒューマントラストシネマの担当の福島さんから招待券いただいてます。
鈴木 お!福島さん!ありがとうございます。
荒木 3組6名様、この手の映画が好きな方は是非見に行ってください。動画配信サービスのU-NEXTでも、やってるそうなので興味のある方は調べてください。
「未体験ゾーンの映画たち 2025年」でした。
最後に1月17日から公開の一般作品からご紹介します。
この日の公開は大変数も多くて注目作品が多いのですが、その中から1本ご紹介します。タイトルが「サンセット・サンライズ」という菅田将暉さん主演の作品です。
舞台は2020年、コロナパンデミックで世界中がロックダウンや活動自粛に追い込まれた時代です。菅田さん演じる主人公の晋作君は東京の大企業に勤める釣り好きのサラリーマンなんです。リモートワークになったのをいいことに、彼は、宮城県の南三陸に見つけた4LDKで家賃が安い物件に“お試し移住”することになります。

鈴木 なんかいっぱいいたみたいですね。
荒木 そうですね。仕事の合間に通って釣り三昧。最高ですね。でも地元住民たちはよそ者の彼のことが気になって仕方ないんです。そんな中、晋作君は持ち前のポジティブな性格と行動力で一癖も二癖もある住民たちの間に溶け込んでいくというストーリーなんですけど。共演は、久々の井上真央さん。
鈴木 井上真央さん、出てるの?
荒木 マドンナ的大家さんを演じてるんです。あと、よくもまぁこんなバラエティに富んだキャスト集めたなって思うくらい。中村雅俊さんとか池脇千鶴さんとか、面白いんですよ。原作は楡周平さんの小説ですけど、宮藤官九郎さんが脚本を書いているんです。お得意の小ネタがたくさんちりばめられていてくすっと笑いながら、大笑いする場面もあるし、ちょっとほろっときたり考えさせられたりするんです。コロナ禍や地方の過疎化、震災などの社会問題を盛り込みつつユーモアたっぷりに描いてるんですよ。
鈴木 喜怒哀楽を込めたドラマなんだ。
荒木 そうそうそう。頻繁に大笑い出来るんで震災のテーマも入ってくるんですけど、暗い気持ちにならないで見られるんです。愉快な映画です。こういう田舎と都会の葛藤は田舎出身者じゃないとよくわからない部分もあるんですね。閉鎖性とか、相反する開放性もあるんですけど、私も田舎出身なんでこの辺の感覚よくわかるんです。
鈴木 納得しますか?その感覚。
荒木 納得します。特にあの時代、2020年に都会から来た人に対していろいろ、コロナ持って来たんじゃないかとかもありましたからね。
鈴木 あった、あった、あったからね。
荒木 地方出身者じゃないと描けない視点なんかも、よく表現されてますね。宮藤官九郎さんも宮城出身ですからね。
鈴木 ああ、そうか。
荒木 1月17日から公開、「サンセット・サンライズ」という作品でした。
17日からは作品が沢山ありますんで来週も紹介します。
鈴木 ありがとうございます。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年生まれ。長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。
■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。