映画「ゆきてかへらぬ」完成披露舞台挨拶
広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、根岸吉太郎監督登壇

(2025年1月30日23:00)

映画「ゆきてかへらぬ」完成披露舞台挨拶 広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、根岸吉太郎監督登壇
㊧から根岸吉太郎監督、木戸大聖、広瀬すず、岡田将生

映画「ゆきてかへらぬ」(2月21日公開)の完成披露舞台挨拶が30日、都内で行われ、広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、根岸吉太郎監督が登壇して撮影エピソードなどを語った。

「文化の百花繚乱」の様相を呈した大正から昭和初期を舞台に、実在した男女 3 人の壮絶な愛と青春を描いた本作。脚本は『ツィゴイネルワイゼン』や『セーラー服と機関銃』の田中陽造が 40 年以上前に書いたもので、多くの監督たちが映画化を熱望しながら長い間実現することができなかった幻の脚本。「滅多にない優れたシナリオ」とこの脚本に焦がれ続けていた名匠・根岸吉太郎監督が 16 年ぶりにメガホンを取り、実在の女優・長谷川泰子を広瀬すず、のちに不世出の天才詩人と呼ばれることになる青年・中原中也を木戸大聖、そして、のちに日本を代表することになる文芸評論家・小林秀雄を岡田将生が演じて、“まだ何者でもなかった”3人の二度と戻れない、愛と青春を描く。

映画「ゆきてかへらぬ」完成披露舞台挨拶 広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、根岸吉太郎監督登壇
広瀬すず

劇中の女優長谷川泰子がスクリーンから出てきたような華麗な和服姿で登場した広瀬は、「撮影が2年前で、オファー頂いたのはさらにもともっと前なので、やっとこの日が来たことに感動しています。ぜひ楽しんでいただけたらなと思います」と挨拶した。
中原中也を演じた木戸は、「撮影はすごく前だったんですけど、やっと本日皆さんに見て頂けるということで、すごくうれしいです」と完成披露を喜んだ。
文芸評論家の小林秀雄を演じた岡田は、「すごく長い年月がありまして、自分のなかでは。ようやく皆様に見てもらえるのは、この映画をどうとらえるのかすごく恐怖もあります。よろしくお願いします」と語った。
根岸監督は、「3人よりもっと長くこの映画と格闘していました。今日この日を迎えられたことを本当にうれしく思います。皆さんに楽しんでいただければ幸いです」と述べた。

撮影で印象に残ったことを司会から聞かれて、広瀬は、「田中陽造さんの最初に書かれた台本を、今の時代に生きているわれわれがどんな風な解釈をしながら、この世界に入っていくのかなというのは、すごいチャレンジだと思うんです。セリフの言い回しだったりとか、男女の関係性、距離感だったりとか、全部がとても新鮮で、悩みながらも、皆と話し合いながらお芝居を作っていくということでもなかったんです。個々に感じたものを大切にしながら演じているという現場だったので、すごく貴重でしたし、ビシビシとみんなから伝わってくる熱量というのが、すごく心地のいい現場でした。すごい激しいんですね、関係性が…もう疲れました。体力のいる役でした」と全力を出し切った撮影を振り返った。
司会から「(ヒロインの女優長谷川康子は)かっこいいと思いました」といわれると、「潔く気持ちのいい役だったと思うんですけど、本当に毎日何かを引きずりながら生きているような役だったので、見て頂けたら分かるんじゃないかと思います」という。その言葉通り、若き日の詩人・中原中也と評論家・小林秀に愛される新進女優という稀有な役に、文字通り体当たりの熱演を見せている。

映画「ゆきてかへらぬ」完成披露舞台挨拶 広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、根岸吉太郎監督登壇
木戸大聖

木戸は、「今も支持されている中原中也さんを演じられるというのはプレッシャーもありました。その中で劇中に中也自身がやらなければいけないようなことがすごく沢山あって。多彩な方だったので、ローラースケートの場面もあり、ゼロからやらせてもらって、いっぱい転んで。お寺の石畳のところでやらなくてはいけなかったんです」と明かした。また、泰子とぶつかり合うシーンがあり「プロレスをずっとやってるかのようなアクションをやって、監督がなかなかカットをかけないので、体力的にも勝負の役だった」と振り返った。
ローラースケートでさっそうとマントを翻しながらターンするシーンが巧みだったと司会に言われ、「ターンする時のマントがひらひらっとなるところを、監督がぎりぎりまでこだわってくれたので、最終的にいいものが出来ました」。
根岸監督は「ローラースケートやるときにあのマントはじゃまなんですよ。でもそれが風をはらんで中也らしくなった」と中也の描写にたいするこだわりぶりをうかがわせた。

映画「ゆきてかへらぬ」完成披露舞台挨拶 広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、根岸吉太郎監督登壇
岡田将生

岡田は、「たくさん資料を読ませていただいて、小林秀雄さんをいろんな角度で自分の中に入れていった」という。「文章にすごく色気があふれていて、自分が演じるなかで、ワンカットでもその色気というものが出てくれたらいいなと思いながらやっている時間があったりして。それが意外とつかみきれないまま、出ていたらいいなという願望ですけど、大変だったなあという感じです」と明かした。
司会から「色気があったと思いました。お二人はどうでしたか?」と水を向けられ、「ありますあります」と木戸がいうと、岡田は「ちょっと待って。いわされてない?」と笑わせると、広瀬が「あった、あった」といい、岡田は「ありがとうございます」と感謝していた。

ダンスホールで3人が踊るシーンについて、広瀬は「撮影の合間に3人で練習しに行った」といい、「私はちゃんと踊ってるんですけど、2人は不安そうでしたね」というと、岡田は「遠くのテーブルから2人(が踊っているの)を見ているシーンが多かったので。練習には参加してましたけど」という。木戸は「必死でした。その中でお芝居もやらなきゃいけないんで大変でした」と語った。

映画「ゆきてかへらぬ」完成披露舞台挨拶 広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、根岸吉太郎監督登壇
根岸吉太郎監督

根岸監督は、「こういう映画を撮れる場所がないんですよね今は。時代劇だったら映画村とか、お城とか神社仏閣とかいろんなところがあるんですけど、(本作の時代背景の)大正とか昭和の初期はポツンぽつんとしかなくて、今回は中也が住んでいる京都の2階の部屋と下の路地を空間的につなげなければいけないので、セットを組んだ」という。「そのセットは、黒い瓦屋根の雨に濡れた美しさとか、そういうものに重点を置いてやってるんで、俳優さんもそういう場所があると、3人が本当にその場所で生きていることが出来ると思った」と明かした。

広瀬は「冒頭で2階から下に降りるまでずっとつながってワンカットで始まっていくんですけど、その絵もすごく美しくて。そこに監督が見ているものが詰まっているようなカットがすごく好きで。セット行ったときに、町じゃん、これって、すごかった。衝撃的なセットであれは贅沢だった」と感激していた。

その後、トークセッションが行われ、映画が実在の若者たちの戻れない愛と青春を描いていることにちなんで、「青春時代にやりたかったこと」について聞かれ、岡田は「仕事を始めるのが早く、高校の時から仕事していたので修学旅行に行けなかった」といい、友人から毎日様子を聞いていたエピソードを明かし「泣きました」と語っていた。広瀬も、「学校帰りに制服のまま遊びに行くことがなかなかできなかった」という。木戸は「2人がお仕事をされていたときに僕は学生をやらせてもらってたんですが、ダンスをやっておけばよかったと思った。リズム感を早めに習得していたらもっと楽だったと思うことが多い」という。根岸監督は「助監督やっていたころを思い出して、毎日大変だったけど面白かった。今は映画を客観的に見なきゃいけないけど、その頃は映画の中に自分が入ってるみたいで」と助監督時代を振り返った。

さらに、登場人物が出逢ってしまったことで始まる物語にちなんで、「最近出逢ってしまったと思うほどハマってること」について聞かれ、広瀬は「ブリしゃぶ」。何年か前に食べてすごくおいしくて忘れられなくて、最近たまたままた食べる機会があり「こんなにおいしいものが世の中にあるんだと思ってすごい量を食べました」と告白。木戸は「ポークステーキの生姜焼き」という。岡田は「水を飲むこと」と意外な答えで驚かせた。「すごい水を飲むようになって、1日2リットル飲むと決めていてハマっている」といって広瀬らを笑わせ。「水に出会って元気になり明るくなった」と話していた。

最後に、根岸監督が「初めてこの映画を皆さんにお見せしますので、この映画が旅立つ日。大事に見てやってください」と観客に呼び掛け、広瀬は「監督が16年ぶりに映画を撮られて、この作品が皆さんに届くことで胸がいっぱいな気持ちになります。皆さんにどんな風に伝わるのか、嬉しさと同じぐらい不安もありますが、見届けて頂けたら嬉しいと思います。よろしくお願いします」といって完成披露舞台挨拶を締めくくった。

映画「ゆきてかへらぬ」完成披露舞台挨拶 広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、根岸吉太郎監督登壇
「ゆきてかへらぬ」場面写真㊧から中原中也役・木戸大聖、長谷川泰子役・広瀬すず、小林秀雄役・岡田将生



【ストーリー】
京都。まだ芽の出ない女優、長谷川泰子(広瀬すず)は、まだ学生だった中原中也(木戸大聖)と出逢った。20 歳の泰子と 17 歳の中也。どこか虚 勢を張るふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。価値観は違う。けれども、相手を尊重できる気っ風のよさが共通していた。 東京。泰子と中也が引っ越した家を、小林秀雄(岡田将生)がふいに訪れる。中也の詩人としての才能を誰よりも知る男。そして、中也も批評の達人 である小林に一目置かれることを誇りに思っていた。男たちの仲睦まじい様子を目の当たりにして、泰子は複雑な気持ちになる。才気あふれるクリエイターた ちにどこか置いてけぼりにされたようなさみしさ。 しかし、泰子と出逢ってしまった小林もまた彼女の魅力に気づく。本物を求める評論家は新進女優にも本物を見出した。そうして、複雑でシンプルな関係 がはじまる。重ならないベクトル、刹那のすれ違い。ひとりの女が、ふたりの男に愛されること。それはアーティストたちの青春でもあった。

【クレジット】
出演:広瀬すず、木戸大聖、岡田将生、田中俊介、トータス松本、瀧内公美、草刈民代、カトウシンスケ、藤間爽子、柄本佑
監督:根岸吉太郎 脚本:田中陽造
©︎2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会
配給:キノフィルムズ
公式HP:www.yukitekaheranu.jp
公式X(旧Twitter):https://x.com/yk_movie2025
公式Instagram:https://www.instagram.com/yukitekaheranu_movie/
2 月 21 日(金)より、TOHO シネマズ 日比谷ほか全国公開