大坂なおみ準決勝進出　マスク5人目はジョージ・フロイドさん

全米オープンテニス（ニューヨーク）の大会９日目の８日（現地時間）、女子シングルス準々決勝で大坂なおみはシェルビー・ロジャース（アメリカ）を６－４、６－４で下して準決勝進出を決めた。大坂は黒人差別に抗議して毎試合マスクに犠牲者の名前を記入したマスクをして入場しているが、この日マスクに記入された5人目の犠牲者は、5月に白人警官に首を押さえつけられて窒息死したジョージ・フロイドさんだった。

ジョージ・フロイドさん事件は米ミネソタ州ミネアポリスで５月２５日（現地時間）に起きた。白人警官デレク・ショーヴィンが、黒人男性ジョージ・フロイドさんをニセ札を使用した疑いで身柄を拘束した際に、フロイドさんを地面に押し付けひざでフロイドさんの首を圧迫。フロイドさんが「息ができない」「立たせて」「お願い」などと懇願したが無視して８分４６秒首を膝で押さえ続けフロイドさんを窒息死させた。

ショーヴィンは解雇され、第三級殺人罪と第二級過失致死罪や同ほう助罪などで訴追された。しかし遺族は「第一級殺人だと思った」と不満をあらわにし、現場にいて死亡事件に関与していたほかの３人の警官が逮捕されていないことなどから「＃BlackLivesMatter」（黒人の命も大切だ）の抗議デモが全米の１４０以上の都市や海外にも広がり、一部が暴徒化してパトカーへの放火や略奪も起きた。その後ほかの３人の警官も解雇され第三級殺人罪ほう助罪などで訴追された。トランプ大統領は「略奪が始まれば銃撃が始まる」と武力行使をちらつかせ、反発をあおる結果になった。トランプ氏の支持率は下がり、１１月の大統領選挙の対抗馬で民主党のバイデン前副大統領がリードする事態になった。

大坂は当時、自身のインスタグラムに死亡したフロイドさんが描かれた絵の前にたくさんの花束などが置かれた写真や市民の抗議行動の写真などを投稿して「＃justiceforgergefloyd」 (ジョージ・フロイドさんに正義を)のハッシュタグをつけた。