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ダイアナ元妃のBBCインタビュー「すべて彼女の希望通りだった」 マーティン・バシール氏反論
(2021年5月24日22:30)
1995年に英BBCで放送されたダイアナ元妃のインタビューをめぐって、当時のBBC記者マーティン・バシール氏(58)が元妃の関係者に虚偽の銀行取引明細書を見せてインタビューを取りつけたなどとしてBBCが20日(現地時間)、異例の謝罪をした問題で、バシール氏が英紙「サンデー・タイムズ」に「インタビューは、放送される時期から内容に至るまで、すべて彼女の希望通りだった」などと反論した。
ダイアナ元妃は1995年、BBCの「パノラマ」でバシール記者のインタビューに答えて「この結婚生活には3人の人間がいた」などと当時別居していたチャールズ皇太子と当時の愛人カミラ・パーカー・ボウルズ氏(2005年に皇太子と結婚したコーンウォ―ル侯爵夫人)の関係を示唆。自らも元騎兵連隊将校ジェームズ・ヒューイット氏と不倫していたことを認め、過食症になっていたことについても告白するなど、現役の王族がこれほど赤裸々に王室の生活について語ったのは、初めてのことで大きな波紋を広げた。エリザベス女王は離婚するよう勧告して1996年2月、皇太子とダイアナ元妃の離婚が発表された。
その後ダイアナ元妃はパキスタン人の医師ハスナット・カーン氏と交際。1997年7月には、ロンドンの老舗デパート「ハロッズ」のオーナー、モハメド・アルファイドの息子の実業家ドディ・アルファイド氏と地中海クルージングを楽しむところを写真に撮られて「新恋人」と報じられた。同年8月31日、2人が乗っていた車がパリのトンネルで中央分離帯に激突してダイアナ元妃とドディが死亡した。
ダイアナ元妃のBBCのインタビューをめぐっては、調査していた元最高裁判事のダイソン卿が20日(現地時間)、バシール記者が、宮殿のスタッフがダイアナ元妃に関する記事で報酬を得ていることを示す偽の銀行取引明細書などの文書を使って、ダイアナを騙してインタビューに応じさせたとする報告書を発表した。また、BBCの幹部らがこの問題を隠蔽しようとしていたと批判した。
これを受けてウィリアム王子とヘンリー王子は、バシール記者によるインタビューがダイアナ元妃の「恐怖、パラノイア、孤立」を煽り、彼女の死につながったと非難。ウィリアム王子は、「パノラマ」のインタビュー番組は二度と放送されるべきではないと主張し、「あのインタビューは、私の両親の関係を悪化させる大きな要因となり、その後、数え切れないほどの人々を傷つけた」と非難した。また、ヘンリー王子は「私たちの母は人生を奉仕活動に捧げた素晴らしい女性でした。回復力があり、勇気があり、疑いようのない正直さを持っていました。搾取と非倫理的な慣行の文化の波及効果が、最終的に彼女の命を奪ったのです」と非難した。
BBCとバシール氏はともに謝意を表明して、BBCはウリアム王子とヘンリー王子に謝罪文を送ったという。BBCは、調査報告書で「明らかな不手際」が認められたとし、問題になった当時にもっと徹底して事実を追求すべきだったとした。BBCは、ダイアナ元妃の夫だったチャールズ皇太子と、元妃の弟のスペンサー伯爵にも謝罪文を送付するなど対応に追われた。
バシール氏は、ウィリアム王子とヘンリー王子に謝罪したが、彼らの母親を「愛していた」と述べ、BBCのインタビューがダイアナ元妃にダメージを与えるものではなかったと主張した。バシール氏は、「私は決してダイアナを傷つけようとは思っていませんでしたし、私たちがそうしたとも思っていません」と述べた。「インタビューに関して私たちがしたことは、彼女が宮殿に知らせたいと思った時期から、放送される時期、内容に至るまで、すべて彼女の希望通りでした…私の家族と私は彼女を愛していました」と語り、ダイアナ元妃を騙してインタビューに応じさせたとの指摘も否定した。
また虚偽の銀行明細書を見せたことについて謝罪したが「銀行明細はインタビューを受けるというダイアナ元妃の個人的な選択に、何ら影響を及ぼさなかった」と主張した。またダイアナ元妃がインタビュー放送後に手紙で「マーティン・バシールはいかなる書類も私に見せず、それまで私が知らなかった情報を私に提供することもなかった」と記していたことも明らかにされた。
バシール氏は、ダイアナ元妃の死について自分が非難されるべきではないと述べた。
「私は、彼女の人生で起こっていた他の多くのことや、それらの決定を取り巻く複雑な問題について、私が責任を負うことはできないと思っています」 と主張した。「スペンサー伯爵(ダイアナ元妃の弟)の気持ちは理解できますが、ダイアナ元妃の悲劇や王室とメディアの間の困難な関係を私の肩に押し付けるのは、少し理不尽な気がします…私1人に責任があるという問題提起は理不尽で不公平だと思います」と語った。
今回の騒動について「25年前のダイアナ元妃のインタビューの問題だけに唐突な感じが否めない。当時チャールズ皇太子とカミラ氏の愛人関係が公然となり別居生活が続く中、ダイアナ元妃が勇気をもって結婚生活の問題や英王室の問題を語ったものとして伝説のスクープインタビューとして定説になっている。今回の告発は記者がインタビューする前に虚偽の銀行明細書を見せたという“別件”で元妃のインタビューそのものの信ぴょう性を否定しようという狙いが見え隠れする」(事情通)という指摘も。今年3月、メーガン・マークルがオプラ・ウィンフリーのインタビューで、アーチー君を妊娠したときに英王室で「息子の肌の色を懸念する会話があった」と王室の人種差別発言を告発して英王室の権威が揺らぎ、ウィリアム王子とヘンリー王子の仲が険悪になっているさなかに飛び出した25年前のダイアナ元妃のインタビュー問題が新たな波紋を広げている。