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ジョージ・フロイドさん殺害事件で元白人警官に禁錮22年6月
(2021年6月26日11:00)
昨年5月黒人男性ジョージ・フロイドさん(当時46)が白人警官デレク・ショーヴィン被告(45)に膝で首を押さえつけられ窒息死した事件の裁判で25日(現地時間)、米ミネソタ州の裁判所はショーヴィン被告に禁錮22年6月(求刑・禁錮30年)を言い渡した。
米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)によると、ヘネピン郡裁判所でピーター・ケーヒル判事が判決を言い渡したとき、ショーヴィン被告は感情を見せなかったという。
判事は「この判決は、あなたが信頼と権限のある地位を乱用したことと、ジョージ・フロイドに見せた特別な残虐性に基づいています」と述べたという。
さらに「この判決は、感情や同情に基づくものではありませんが、同時に、すべての遺族、特にフロイドの遺族が感じている深くて大きな痛みを認めたいと思います。お悔やみ申し上げます」と遺族に哀悼の言葉を述べたという。
判決言い渡しの前にフロイドさんの7歳の娘ジアンナを含む遺族が、被害者代表陳述を行い、最愛の人が最後の瞬間に耐えた残酷さを非難するとともに、裁判所に最高刑を要求したという。その後ショーヴィン被告が「手元にある追加の法的問題のため、現時点では完全な正式声明を出すことはできませんがフロイド家に哀悼の意を表したいと思います」と述べたという。
判所の外にいた黒人差別に抗議する人たちは、判決が読み上げられると嫌悪感をあらわにして叫び声を上げ、中にはショーヴィン被告に最高刑の禁錮40年を与えなかった判事を非難する人もいたという。
フロイドさんの遺族の代理人弁護士は「今日、ショーヴィンの判決によって、我々は大きな一歩を踏み出すことができました。ほんの少し前までは想像もできなかったことです」と語った。フロイドさんの弟、ロドニーさんは「量刑は軽すぎる。私たちは彼を失って一生刑に服している」と語ったという。
■ジョージ・フロイドさん事件
ジョージ・フロイドさんは昨年5月25日(現地時間)、米ミネソタ州ミネアポリス近郊で、偽造紙幣20ドルを使用した容疑で拘束されたさいにショーヴィン被告に両手を後ろに手錠をかけられ地面に倒され約9分間首を膝で押さえつけられ「息ができない」といいながら窒息死した。その時の様子を映した動画がネット上に拡散し、人種差別に抗議する「#BlackLivesMatter」(黒人の命も大切だ)のデモが全米に拡大し一部が暴徒化するなど波紋が広がった。米ミネソタ州の裁判所で行われたショーヴィン被告の裁判で4月20日(現地時間)、陪審員は第2級殺人、第3級殺人、第2級過失致死の罪に対してすべて有罪の評決を下した。これを受けて検察は6月2日(現地時間)禁錮30年を求刑していた。
ショーヴィン被告と共に現場にいた他の3人の元警官(J・アレクサンダー・クエン被告、トーマス・レーン被告、トウ・タオ被告)は、いずれも第2級殺人と第2級過失致死のほう助で訴追され、ショーヴィン被告とは別に裁判にかけられる。全員が無罪を主張している。ミネアポリス市は、市やショーヴィン被告らに対して起こされた民事訴訟でフロイドさんの家族と2700万ドル(約29億4300万円)を支払うことで和解した。