伊藤詩織さん名誉棄損裁判で勝訴 漫画家はすみとしこさんらに計110万円の賠償命令 リツイートも名誉棄損

(2021年12月1日17:30)

伊藤詩織さん名誉棄損裁判で勝訴 漫画家はすみとしこさんらに計110万円の賠償命令 リツイートも名誉棄損
判決後の記者会見で語る伊藤詩織さん(YouTubeチャンネル「ポリスタTV」から)

事実と異なるイラストをツイッターに投稿され名誉を傷つけられたとして、ジャーナリストの伊藤詩織さん(32)が漫画家のはすみとしこ(本名・蓮見都志子)さんら3人に計770万円の損害賠償を求めた訴訟の判決公判が11月30日、東京地裁であり小田正二裁判長は名誉毀損を認定し、はすみ氏に88万円、はすみさんの投稿をリツイートした2人に11万円ずつ3人合計で110万円の賠償を命じた。

判決では、はすみさんは性暴力を受けた伊藤さんとみられるイラストと「枕営業大失敗!!」などの言葉をツイッターに投稿について「伊藤さんが虚偽の性被害を訴えていると知らせるもので、社会的評価を低下された」「社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為」などと指摘したという。
はすみさんは性被害を受けたとしてTBS記者を告訴したが東京地検は準強姦容疑で不起訴にしたことなどを挙げて、伊藤さんの訴えが虚偽だと信ずるに相当の理由があったと主張したが、小田裁判長は「(不起訴の)理由が明確ではないことを踏まえると、性被害の不存在を認めるに足りる事実とは言えない」と指摘して名誉棄損を認めた。
リツイートについては、「投稿に賛同する表現として本人自身の発言だと理解するのが相当」として2人に11万円ずつの賠償を命じた。  
判決後に記者会見した伊藤さんは「イラストにはまだ苦しく感じる部分がある。判決は大きな一歩だと思っている」と述べた。またリツイートについて「ほかの人の表現であっても自分自身の表現行為だということが認められたのは、今のSNSを使う環境の中でとてもいい判決だったと思います」といい「リツイートは簡単にできるが、誹謗中傷のポスターを街に張らるよりも、メガホンで叫ばれるよりも、当事者としては強烈な行為であり、残ってしまう。発信する一人一人の方に責任と認識を持ってもらいたいと思ったので、今回の判決でそっこが認められたことは今後の大きな一歩になるのではないかと思っています」などと語った。

■はすみとしこさん「判決を重く受け止めたい」

はすみさんは11月30日、自身のブログで判決についてコメントした。以下全文。
「本日午後、伊藤詩織氏との民事裁判一審の判決が出たようです。
一部SNSや報道にて判決の概要(蓮見 88万円賠償、A、B氏に各11万円賠償)を把握しました。
まずは私の巻き添えに遭ってしまったA、B氏にとても申し訳なく思っています。 加えてこの裁判で私を応援してくださった方、支援してくださった方に心より御礼申し上げます。
判決に関するコメントは、判決文全てを読んでいないのでできませんが、判決を重く受け止めたいと思います。
今後の色々はどうするかは考え中です。
蓮見都志子」