山上容疑者、安倍元首相殺害示唆の手紙が浮上「安倍は本来の敵ではない」「最も影響力のある統一教会シンパの一人」

(2022年7月18日20:20)

山上容疑者、安倍元首相殺害示唆の手紙が浮上「安倍は本来の敵ではない」「最も影響力のある統一教会シンパの一人」
安倍元首相(Instagram/@shinzoabe)

安倍晋三元首相銃撃事件で逮捕された無職の山上徹也容疑者(41)が、事件直前に旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対する怨嗟を吐露し、安倍氏殺害をほのめかす手紙を島根県松山市のフリージャーナリストの男性に送っていたことがわかり新たな波紋を広げている。

山上容疑者の手紙を受け取った男性は旧統一教会からの脱会問題などの記事や著作があるフリージャーナリストで、山上容疑者は同氏のブログの読者だったとみられているという。山上容疑者は手紙で母親が旧統一教会に入信して1億円以上を寄付した挙句破産し、家庭崩壊を招いたとして、「(旧統一教会の韓鶴子総裁ら)文一族を皆殺しにしたくとも、私にはそれが不可能な事は分かっています」などとつづり、安倍元首相殺害をほのめかしていた。
報道されている手紙の全文によると、山上容疑者は「ご無沙汰しております。『まだ足りない』として貴殿のブログに書き込んでどれぐらい経つでしょうか。私は『喉から手が出るほど銃が欲しい』と書きましたがあの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました。その様はまるで生活の全てを偽救世主のために投げ打つ統一教会員、方向は真逆でも、よく似たものでもありました」と「銃の入手」に執念を燃やしていたことを明かしている。

山上容疑者は犯行に使った1発で6個の弾丸が発射される2連の散弾銃をはじめ複数の手製の銃を製造して山中で試射し、奈良市の教団関連施設でも試し撃ちをしたとされる。

手紙ではさらに「私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります。母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産…この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません」と告白。

山上容疑者の母親は入信後1億円以上を旧統一教会に寄付して破産し、家庭崩壊を招いたとされる。

「個人が自分の人格と人生を形作っていくその過程、私にとってそれは、親が子を、家族を、何とも思わない故に吐ける嘘、止める術のない確信に満ちた悪行、故に終わる事のない衝突、その先にある破壊。世界中の金と女は本来全て自分のものだと疑わず、その現実化に手段も結果も問わない自称現人神。私はそのような人間、それを現実に神と崇める集団、それが存在する社会、それらを『人類の恥』と書きましたが、今もそれは変わりません」と旧統一教会を強く非難している。

「苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」としている。

昨年9月、安倍元首相が旧統一教会の関連団体「天宙平和連合(UPF)」が韓国で開いた集会に約5分間のビデオメッセージを送り「朝鮮半島の平和的統一に向けて、努力されてきた韓鶴子総裁に敬意を表します」などと語っていた。
この動画を見た山上容疑者が「旧統一教会のトップを狙ったが難しく、安倍元首相が旧統一教会とつながりがあると思って殺そうとした」と供述しているとされる。


手紙では「文一族を皆殺しにしたくとも、私にはそれが不可能な事は分かっています。分裂には一挙に叩くのが難しいという側面もあるのです。現実に可能な範囲として韓鶴子本人、無理なら少なくとも文の血族の一人には死んでもらうつもりでしたが鶴子やその娘が死ねば3男と7男が喜ぶのか 或いは統一教会が再び結集するのか、どちらにしても私の目的には沿わないのです」としたうえで「安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません」と安倍元首相の殺害をほのめかして手紙は終わっている。

■山上容疑者がツイッターなどでも旧統一教会を非難

山上容疑者はツイッターなどでも旧統一教会への恨みをつづっていたことも明らかになっている。
「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」(2019年10月14日)
「オレが14歳の時、家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は、家族に家族から巻き上げさせたアガリをすべて全て上納させることだ」(20年1月26日)
安倍氏が健康上の問題で首相辞任を表明した20年8月28日には「安倍政権のやり方が常に正しかったとは全く思わないが、結果として正しかった事を評価できなければその正しさは失われる」とツイートしていた。
「統一教会が信者を犠牲に築いて来た今を破壊しようと思えば、自分の人生を捨てる覚悟がなければ不可能」(20年12月12日)
安倍氏の祖父の岸信介元首相と旧統一教会との関係について「安倍が無法のDNAを受け継いでいても驚きはしない」(21年2月28日)などと主張していた。

山上容疑者の犯行はいかなる理由があっても許されない殺人という凶悪犯罪だが、その背景にある旧統一教会の霊感商法などの実態や政界と同団体との浅からぬ関係などの問題はさらに検証される必要がありそうだ。