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八代英輝弁護士、「ひるおび!」で2度目の謝罪 共産党の綱領をめぐる発言を訂正・謝罪

(2021年9月18日11:00)

八代英輝弁護士、「ひるおび!」で2度目の謝罪 共産党の綱領をめぐる発言を訂正・謝罪
謝罪する八代氏(17日放送のTBS系「ひるおび!」から)

「ひるおび!」(TBS系、月~金、午前10時25分)のレギュラーコメンテーター、八代英輝弁護士(57)が10日放送の番組内で「共産党は『暴力的な革命』というのを党の要綱として廃止していません」などと発言して共産党から抗議され、13日に番組内で謝罪した件で17日の同番組で再び謝罪した。1回目の謝罪に「謝罪ではなく弁解」などと批判が多くあったためとみられる。異例の騒動を追跡してみるとーー。

八代氏は17日、立憲民主党・江田憲司代表代行(65)をゲストに迎えた討論の前に「先日、9月10日の番組内での私の発言『共産党は暴力的な革命を党の要綱として廃止してない』につきまして、現在の共産党の党綱領にはそのような記載はないと多くの批判を頂きました。ご指摘の通り、現在の共産党の綱領にはそのような記載は存在しません。選挙を間近に控えたデリケートなこの時期に、私の発言により多くの関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしてしまったことを深くお詫び申し上げます」と謝罪して頭を下げた。さらに江田代表代行にも「共闘を模索する立憲民主党の江田代表代行にもこの場をお借りして深くお詫び申し上げます」と謝罪し頭を下げた。

これを受けて共産党の志位和夫委員長(67)は同日、自身のツイッターに八代氏の謝罪コメントを引用して「謝罪・訂正したものと受け止めます」とコメント。八代氏”完敗“で一件落着となった。

■発端となった10日の八代氏の発言とは

八代氏は10日放送の同番組で、衆院選での野党共闘について取り上げたさいに、「(共産党の)志位委員長がつい最近、『敵の出方』という言い方をやめようとは言ってましたが、共産党は『暴力的な革命』というのを、党の要綱として廃止してませんから。よくそういうところと組もうという話になるな、と個人的には思います」などとコメントした。

これに対して志位委員長は同日、自身のツイッターで「TBS系『ひるおび!』で出演者が『共産党は暴力的な革命を廃止していない』などと述べたことに対し、党広報部植木部長は、局の担当者に抗議し、番組としての謝罪と訂正を求めました。担当者は『申し訳ない』とのべ、訂正については検討すると答えました。 事実無根の卑劣なデマは絶対に許せません」とTBSに謝罪と訂正を求めたことを明らかにした。
さらに「どんな場合でも、平和的・合法的に社会変革の事業を進めるということが、日本共産党の一貫した立場です」などとツイートした。

■13日の1度目の八代氏の謝罪「私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたもの」

これを受けて八代氏は13日の放送で「先週の私の発言ですが、私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたものでした。一方、日本共産党はたびたび否定されていることも申し上げるべきでした。申し訳ありませんでした」と頭を下げ「テレビで発言する者として、今後はより正確にバランスに配慮し、言葉に責任を持っていきたいと思います」と謝罪した。だがこの発言が弁解じみて謝罪になっていないなどと各方面からさらに批判を浴びる結果になった。

「ようするに、あのコメントは共産党の否定見解も伝えなかったのでバランスを欠いたと謝罪しただけで、『共産党が「暴力的な革命」を党の要綱として廃止してない』というのは『閣議決定された政府見解に基づいたもの』だから間違いではないと開き直ったといわれても仕方がない」と事情通は指摘する。

志位委員長の抗議に反論するなら、閣議決定を持ち出すまでもなく、日本共産党の党綱領に暴力的革命が記載されていることを明らかにすればいいだけの話だが、それがなかったのだから弁護士らしからぬ噴飯物の発言で、結果として野党共闘に水を差す政治的発言になった。

案の定、志位委員長はツイッターで「コメンテーターの発言は、『暴力的な革命を党の要綱として廃止していない』という虚偽発言への撤回・謝罪になっていない」と批判。ジャーナリストの江川紹子氏(63)は「八代氏のは、自分の発言は政府の見解に沿ったもの、という『弁解』であって、共産党綱領にないことを『ある』とした虚偽コメントへの『謝罪』とは言えませんね」とツイッターで批判した。
さらに元文部科学事務次官の前川喜平氏(66)はツイッターで「八代英輝氏は、共産党に関する虚偽発言について、きちんとした謝罪と訂正を行い、責任をとって番組を降板すべきだ」と降板勧告するなどさらに波紋が広がり、2度目の謝罪となった。

■日本共産党99周年記念公講演での志位委員長の発言

志位委員長は、今回の問題に関連して8月4日に行われた日本共産党創立99周年記念講演会の動画をツイッターに投稿した。その中で「暴力的革命」を否定する見解を詳細に述べていた。以下その部分を抜粋。

「市民と野党の共闘の発展のためには、共闘に分断を持ち込み破壊しようとする逆流を許さないことが不可欠」とした上で「共闘を分断、破壊するために、今支配勢力が主要な手段としているのが、日本共産党に攻撃を集中することです。この間、国会で日本共産党に対して『暴力革命の党』といった攻撃が執拗に繰り返されています。我が党はその都度反論してきましたが、昨年2月13日には当時の安倍首相が維新の会の質問に答えて、衆議院本会議の壇上から『暴力革命』という悪罵を投げつけました。その内容はすでに反論済みの反共デマを繰り返しただけのものでしたが、首相自身が答弁したことの重大性を考え、私は当時の記者会見で断固抗議し反論しました」と報告した。

「安倍前首相は『日本共産党はかつて暴力主義的破壊活動を行った疑いがある』と答弁しました。しかしこれは全く事実に反します。1950年代に当時のソ連や中国による干渉によって党中央委員会は解体され、党が分裂した時期に、分裂した一方の側に誤った方針・行動がありましたが、これは党が統一を回復した際に明確に批判され、きっぱりと否定された問題です。日本共産党は暴力主義的破壊活動の方針なるものを党の正規の方針として持ったり、実行したりしたことはただの一度もありません」と強調した。

「さらに安倍前首相は現在においても『敵の出方論に立った暴力革命の方針に変更はない』と答弁しました。いったい私たちの綱領のどこを読んでいるのか」と批判。
「日本共産党は社会変革の道筋に関わって過去の一時期に『敵の出方論』という説明をしてきましたが、その内容は、一つ、選挙で多数の支持を得て誕生した民主的政権に対して、反動勢力があれこれの不法な暴挙に出た際には、国民と共に秩序維持のために必要な合法的措置を取る。二つ、民主的政権ができる以前に反動勢力が民主主義を暴力的に破壊しようとした場合には、広範な国民世論を結集してこれを許さないというものです。これはどんなものでも平和的合法的に社会的変革を進めるという日本共産党の一貫した立場を説明したものにほかなりません。これをもって暴力革命の根拠にするなどということは全く成り立つものではありません」とした上で「なお、『敵の出方』という表現だけをとらえて、日本共産党があたかも平和的方針と非平和的方針の二つの方針を持っていて、相手の出方によっては非平和的方針を取るかのような捻じ曲げた悪宣伝に使われるということで、この表現は2004年の綱領改定後は使わないこととしています。民主的政権を樹立する過程でも、樹立したのちも、一貫して平和的合法的に社会変革を進めるというのが日本共産党の確固たる立場であります」と訴えた。

「この議論はすでに1989年2月、衆議院予算委員会での当時の不破哲三委員長と石山陽公安調査庁長官との論戦で、政府側の言い分はことごとく崩壊し、すでに決着がついている問題です。その際不破氏の質問に対して石山長官は、公安調査庁発足以来36年間、わが党への不当な調査を続けながら、破壊活動の証拠なるものを何一つ見つけられなかったことを認めました。それから32年たって合計68年にわたって不当な調査を公党に対して行いながら、破壊活動の証拠なるものを何一つ発見できなかったのであります。ないものはどんなに調査しても出てくるはずはありません。政府側の言い分がすでに完全に崩壊していることはこうした歴史的事実によっても明らかではありませんか」と主張した。

「この種の攻撃は執拗に繰り返されますが、壊れたレコードのように破綻した議論を蒸し返しているだけで、新しい内容は一つもありません。それは市民と野党の前進、日本共産党の躍進をいかに恐れているかを自ら告白するものではないでしょうか。そしてこんなデマ攻撃でしかわが党を攻撃することが出来ないのは日本共産党の綱領路線がいかに合理にたったものであるかを自ら明らかにするものではないでしょうか。安倍前首相の反共デマ宣伝に対して野党は結束して抗議したことは大変に心強いことでありました。皆さん、デマとフェイクで自分の気に入らない勢力を攻撃することは民主主義社会で決して許してはならないものであります。共闘の分断を図る卑劣なデマ攻撃を市民と野党の結束した力で打ち破り総選挙における共闘の勝利で答えることを心から訴えるものであります」と締めくくっている。

名誉棄損の裁判で有名な判例にこうある。「『人の噂であるから真偽は別にして』という表現を用いて、名誉を棄損する事実を適示した場合、事実の証明の対象となるのは、風評そのものが存在することではなく、その風評の内容たる事実の真否である」(最高裁一小、昭和43年1月18日)。弁護士の八代氏には釈迦に説法かもしれないが、コメンテーターは歴史的事実や客観的事実に基づいて評論・コメントしてもらいたいものだ。