演劇「MOTHER マザー~特攻の母 鳥濱トメ物語」 浅香唯が “特攻の母”を熱演

(2021年11月11日6:30)

演劇「MOTHER~特攻の母 鳥濱トメ物語」浅香唯が“特攻の母”を熱演
㊧から宮島軍曹役の富山健、鳥濱トメの次女・礼子役の川村采可(A班)、鳥濱トメ役の浅香唯、長女・美阿子役の永井珠梨(A班)

第二次世界大戦末期に米軍の軍艦に体当たりの攻撃をした特攻隊(神風特別攻撃隊)の若者たちから”特攻の母“と呼ばれて慕われていた食堂の経営者・鳥濱トメさんと特攻隊員たちのドラマを描く演劇「MOTHER マザー~特攻の母 鳥濱トメ物語」(エアースタジオ主催・企画・製作、脚本・演出:藤森一朗、10日~14日)が、東京・足立区のシアター1010で上演されている。鳥濱トメさんを浅香唯が熱演。特攻隊役にワッキー、富山健などのキャストで繰り広げられる激動の実録ドラマが人気を呼んでいる。

第2次世界大戦末期、陸軍特攻基地があった鹿児島県知覧町の軍指定食堂で特攻隊員が出撃前に連日訪れた「富屋食堂」を舞台に、特攻隊員や、戦後やってきたアメリカ兵たちのドラマを食堂の経営者鳥濱トメの視点を通して描く実録ドラマ。隊員たちから慕われ“特攻の母”と呼ばれた彼女の半生を描いた作品。

演劇「MOTHER~特攻の母 鳥濱トメ物語」浅香唯が“特攻の母”を熱演
㊧から宮島軍曹役の富山健、鳥濱トメの次女・礼子役の春日はな(B班)、鳥濱トメ役の浅香唯、長女・美阿子役の大貫彩香(B班)



■あらすじ

大東亜戦争末期、戦況の悪化に伴い、日本軍は爆弾を抱えて体当たりをする「特別攻撃」を採用した。鹿児島県知覧町にある航空基地からも、連日のように特攻隊が出撃していった。そんな中、特攻隊員たちが、出撃直前に連日、訪れる場所があった。軍指定食堂の「富屋食堂」である。食堂の経営者である鳥濱トメは、明るく気さくな人柄であった為、出撃していく若き特攻隊員たちの心のよりどころとなっていた。隊員たちは、トメに自分の母親の姿を重ねていたのである。彼らは、残されたわずかな時間を富屋食堂で過ごし、よく飲み、よく歌い、夜更けまで語り合った。様々な思いを残して出撃していく特攻隊員たち……。トメはただ、彼らを見送ることしか出来なかった……。(公式サイトから)

演劇「MOTHER マザー~特攻の母 鳥濱トメ物語」 浅香唯が“特攻の母”を熱演
「MOTHER マザー~特攻の母 鳥濱トメ物語」の出演者(東京・足立区千住のシアター1010)

■見どころ

フジテレビ系連続ドラマ「スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇」の3代目麻宮サキ役で知られる歌手で女優の浅香唯が”特攻の母“を熱演しているほか、特攻隊の第百十七振武隊・久保田利夫少尉役のお笑いコンビ、ペナルティのワッキー、同第百四振武隊・宮島三郎軍曹役の富山健などの特攻隊員役の俳優たちが命と引き換えの任務と激情、苦悩を熱演してドラマを盛り上げている。

富屋食堂にやってくる若き特攻隊員たちを息子のように面倒を見るトメは、隊員が家族にあてた手紙を預かったりする。また憲兵に連行され暴行を受けるトメを特攻隊員たちが助ける。そして出撃前夜の隊員たちが「同期の桜」を歌い「任務」を果たすことを誓う。そして宮島軍曹が蛍を見て「蛍になって戻ってくる」という。死を覚悟して家族や愛する者に手紙を書く隊員たちとトメのエピソードの数々が積み重ねられ特攻隊員の決意や心情、本音や当時の状況がリアルに浮かび上がる。そしてトメを長女の美阿子、次女の礼子の2人の娘が支える。

終戦後、トメさんは今度は進駐軍の指定食堂にするよう警察署長(藤森太介)から頼まれ「特攻隊のみんなに顔向けができない」と頑なに断るが結局やむなく引き受けることに。言葉もわからず米兵相手に悪戦苦闘するが体を張って荒くれの米兵に向き合い、ついには米兵たちも”マザー”と呼んで慕われるなどトメさんの数奇な半生の物語に最後まで目が離せない。

浅香は自身のインスタグラムで「この物語は涙なしでは観劇できない(涙腺のゆるい方はバスタオルのご用意を😭)舞台となっておりますが、ところどころ、クスッと笑ってもらえるシーンもあるハートフルな物語でもあります☺️ 全身全霊、魂を込めて皆様にお届けしたいと思っていますよ✨どうぞお楽しみに キャスト、スタッフ一同、皆様のお越しを心よりお待ちしております💕 日にち限定ではありますが、配信も予定しております。詳しくはホームページ等でご確認くださいね❗️」などとコメントしている。

宮島軍曹役の富山健は「今回は知覧にあった富屋食堂で実際に起こった実話の物語です。全てが実際に起きたことだと思うと言葉になりません。少しでも命とか戦争について感じてもらえるものがあれば幸いです。また、感じて頂けるよう、英霊の方たちに敬意をこめて演じさせて頂きます」と語る。
劇中、戦争とは何かと聞かれた高瑞少尉(テキサス)がこういう。「戦争はジジイが決めて、オッサンが命令して、若者が死んでいく物語だ」。繰り返してはならない戦争の無意味さ残酷さを言い表しているセリフで、この演劇のテーマのひとつになっている。