オスカー俳優ウィリアム・ハートさん死去 71歳 

(2022年3月14日11:50)

オスカー俳優ウィリアム・ハートさん死去 71歳 
ウィリアム・ハートさん(インスタグラムから)

オスカー俳優のウィリアム・ハートさんが13日(現地時間)、米オレゴン州の自宅で死去したことがわかった。家族が発表した。71歳。「蜘蛛女のキス」(1985年)でアカデミー賞主演男優賞を受賞し、ハリウッドを代表する俳優の一人として数々の映画やドラマなどで活躍した。ハートさんは2018年に骨に転移する前立腺がんと診断されていた。

米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)によると、ハートさんの息子のウィリアムさんは「2022年3月13日、72歳の誕生日の1週間前に、最愛の父でありオスカー受賞俳優であるウィリアム・ハートが亡くなったことを、ハートの家族は大きな悲しみとともに追悼します」 との声明を発表した。「彼は家族の中で、自然な原因により安らかに亡くなりました。家族は、プライバシーを守ることを求めます」としている。

■ウィリアム・ハート(William Hurt)

1950年3月20日生まれ。米ワシントンD.C.出身。ニューヨークのジュリアード音楽院で演劇を学び舞台からキャリアを始める。「アルタード・ステーツ/未知への挑戦」(1979年)、「目撃者」(1981年)、「白いドレスの女」(同)などで注目された。1985年、「蜘蛛女のキス」で南米の政治犯と同房のゲイの囚人を演じてアカデミー賞主演男優賞を受賞。さらに「愛な静けさの中に」(1986年)、「ブロードキャスト・ニュース」(1987年)で同賞にノミネートされた。3回連続で主演男優賞にノミネートされたのは、ポール・ムニ、スペンサー・トレイシー、グレゴリー・ペック、マーロン・ブランド、リチャード・バートン、アル・パチーノ、ジャック・ニコルソン、ラッセル・クロウだけだという。

オスカー俳優ウィリアム・ハートさん死去 71歳 
「蜘蛛女のキス」でアカデミー賞主演男優賞を受賞(インスタグラムから)

2005年のデヴィッド・クローネンバーグ監督の映画「ヒストリー・オブ・バイオレンス」のリッチー・キューザック役で、数分のスクリーンタイムしか登場しなかったにもかかわらず、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。
「デュ―ン/砂の惑星」(2000年)などのテレビシリーズにも出演。2009年「ダメージ」の第2シーズンで科学者ダニエル・パーセルを演じてエミー賞にノミネートされ、2年後にはカーティス・ハンソン監督のHBOテレフィルム 「Too Big to Fail」で元アメリカ財務長官ヘンリー・ポーソンを演じて再びノミネートを果たした。
さらに「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(2018年)、「アベンジャーズ・インフィニティ・ウオー」(同)、「ブラック・ウィドウ」(2021年)など最近まで活躍していた。

映画評論家の故ロジャー・エバート氏は1988年、「偶然の旅行者」が公開されたときにハートについて「アメリカ映画界で2、3本の指に入る名優」と高く評価して「ほとんどすべての役柄に、彼は平凡な感覚、つまり、この時代にこの場所に偶然居合わせた一人の人間だという感覚をもたらす。特に『アルタード・ステーツ』や『白いドレスの女』では、冒頭のシーンでのほとんど平凡な外見が、後の感情的な爆発を生み出す」と指摘した。

俳優仲間はSNSで追悼した。「ブロードキャスト・ニュース」の共演者アルバート・ブルックスは「R.I.P.ウィリアム・ハート。このニュースを聞いてとても悲しい」と、ブルックスは日曜日にTwitterに書き込んだ。ブロードキャスト・ニュース』で彼と一緒に仕事をしたことは素晴らしいことだった。彼はとても寂しくなる」とコメント。「インクレディブル・ハルク」(2008年)で共演したマーク・ラファロは「俳優界にまた大きな損失だ。偉大な俳優。偉大な心。RIP」とツイートした。