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ジョニー・デップVSアンバー・ハードの名誉棄損裁判、双方の弁護士が最終弁論で応酬
(2022年4月30日22:30)
ジョニー・デップ(58)とアンバー・ハード(36)の名誉棄損裁判で27日(現地時間)、2人の代理人弁護士がそれぞれ最終弁論を行い、お互いの主張を展開し真っ向から対決した。
米サイト「TMZ」によると、デップの代理人カミル・ヴァスケス弁護士は最初に最終弁論を行い、ハードを「嘘つき」と呼び、裁判中にハードの証言は移り変わり、虐待の告発の内容が同じではなかったと主張した。ハードは証人席で人生をかけた演技をしたが、次々と嘘がばれたと述べた。そしてデップは自分を守るため、そしてハードが嘘つきであることを暴露するためには、それしか方法がなかったから訴えたのだと主張した。
ハードの代理人ベン・ロッテンボーン弁護士は、デップの弁護士がハードの証言を真実でないとしたことに反論。デップは身体的虐待以外にも、感情的虐待や言語的虐待など、さまざまな方法でハードを虐待したと主張。また、デップの弁護士が虐待を身体的または性的なものだけとしていることを非難した。
最終弁論が終わると、判事は陪審員に審議するよう指示した。すると、法廷に拍手が起こったという。陪審員は誰が真実を話し、誰が嘘をついているかを見極めるという審議を行い双方の訴訟に対する評決を行う。
■デップの弁護士「ハードが酒瓶で性的暴行を受けたという主張は真っ赤なウソ」
ヴァスケスはデップの指が切断されたことを取り上げ、その怪我はハードから投げつけられた割れたウォッカの瓶によって引き起こされたと述べた。また、ハードが酒瓶で性的暴行を受けたという主張は真っ赤なウソだとし、そのような外傷を負った人がベッドに行ってすぐに眠るわけがないと指摘した。また、長年にわたるハードの写真やビデオを見ても虐待の視覚的な兆候は見られないと主張した。
さらに、アンバーが700万ドル(約8億9000万円)の離婚和解金をすべてACLUとChildren's Hospitalに寄付すると言っていたが、実際はそうではないと指摘した。
ベッドに排泄物があったという”ウンチ事件“については、デップがハードの30歳の誕生日パーティーに遅れて来たことに激怒し、彼を殴ったハードによって仕組まれたことだと述べ、ハードは離婚以上のものを望んでいて、デップを破滅させたかったのだと主張した。
そしてハードが2016年にロサンゼルスの裁判所に虐待の申し立てを行い離婚の申請をしたことで、デップの人生を台無しにしたと主張。そのときにハードが証拠として提出した顔のあざができた写真について、顔のマークは偽物だったとして「法廷に虐待者がいるが、それはデップではなくハードだ」と主張した。
「ハードは注目されたくて仕方がなく、怒りに満ちた人格障害に苦しんでいた。デップを感情的、身体的に虐待していたのは彼女の方だ」と述べた。
■ハードの弁護士「陪審員はハードのコラムや中傷とされる文章が憲法修正第1条の下で保護される言論であるかどうかを決めるためにいる」
ハードの代理人ベン・ロッテンボーン弁護士は最終弁論で、デップ側の主張について「『人に話したのなら、それは嘘だ。怪我を記録したのなら、それは偽物だ。配偶者を助けようとしたのなら、実際は妨害していたのだ』という。これらは評決を固めようとする危険な考えであり、DV被害者に広く悪影響を及ぼす」と主張した。
また、「陪審員はデップが実際にハードを虐待したかどうかを決めるためにここにいるのではなく、より具体的に言えば、ハードのコラムや中傷とされる文章が憲法修正第1条の下で保護される言論であるかどうかを決めるためにいるのだ」とも述べた。
そして、実際の(コラムの)本文の2つの記述は真実であり、「性的暴力」に関する(コラムの)見出しは彼女が書いたものではない」と述べた。
ハードのもう一人の代理人エレイン・ブレデホフト弁護士は、ハードの反訴について言及して、デップの元弁護士の発言が中傷的なものだと信じたことについていくつかの例を挙げ、ハードのキャリアにどのような影響を与えたかについて述べた。さらにワーナー・ブラザースの重役ウォルター・ハマダが、ジェイソン・モモアとジェームズ・ワンが、「アクアマン」の2作目を一緒に作るならハードも参加するべきだと彼にメールを送ったと証言したことに言及。ワーナーが彼女を出したいのなら、映画の主要キャストがそんなことを言わなかったと指摘。デップの元弁護士の発言などでハードのキャリアが落ち込んだのは明らかだと主張し、陪審員に相応の損害賠償を求めた。
双方の最終弁論が終わり、いよいよ陪審員が評決を下す。ハードのコラムは名誉棄損に該当するのか、そしてハードが反訴したデップによる名誉棄損は成立するのか、2つの訴訟に判断をすることになる。名誉棄損と認定された場合、損害賠償額はいくらになるのかも注目される。
■ニューヨーク・ポスト「デップは世論調査で優位に立つと専門家が指摘」
そうしたなか米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)は専門家の意見を伝えた。
テキサス州の民事専門の弁護士キャサリン・リザード氏は「デップにとって、名誉毀損の請求の法的側面で勝つことは重要ではないと思う」としたうえで「デップが名誉毀損訴訟を起こした主な目的は、自分の汚名を晴らし、世論に訴えることだったので、勝つことは彼にとってさらなる喜びに過ぎないでしょう」と指摘した。
そして「今現在、世論が彼に好意的で、彼の話を聞き、彼を支持していることは議論の余地がないと思います。彼が勝とうが勝つまいが、彼にとって、あるいは世論という裁判所にとって、それは重要ではないと思う」と語った。
カリフォルニア州のエンターテインメント弁護士ミトラ・アホーライアンは、ネット上では主にハードを激しく批判するコメントを際限なく呼び起こしていると指摘。「彼のファンは基本的に、彼が何もしなくても、アンバー・ハードの中傷キャンペーンをやるでしょう」と指摘した。
女優らにセクハラや性的暴行で告発され実刑判決を受けたハリウッドの元大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの代理人を務める広報会社ヘラルドPRの社長ジュダ・エンゲルマイヤー氏は、「裁判がテレビ中継されたことは世間的にはハードにとって損失であり、天性のエンターテイナーであるデップにはよく似合う」と指摘。一方で「世の中にはまだ、自分の声と真実を公表し、裁判の過程で公衆の罵倒と屈辱を受けても強い彼女は正義だと信じる女性たち、支援者たちがいる」と指摘した。
■ジョニー・デップVSアンバー・ハードの”バトル“の経過
2012年に「ラム・ダイアリー」で共演したのがきっかけで恋愛関係になり、同年デップは長年のパートナーだったヴァネッサ・パラディ(45)との破局を発表。14年にハードと婚約して翌年2月に結婚した。
だがわずか1年3か月の結婚生活で、16年5月にハードが離婚を申請。酒に酔ったデップからDVを受けていたとして、あざができた顔写真を公開して波紋を広げた。デップはDVを否定していたが17年8月にデップが700万ドル(約7億6300万円)を支払うことで離婚が成立した。これで一件落着かと思われたが、デップが反撃して泥沼の裁判闘争が続いた。
2018年10月、デップが雑誌「GQ」(英国版11月号)のインタビューで、ハードに対するDVを全面否定して、ハードのDV告発で「シンデレラからカジモド(「ノートルダム・ド・パリ」の登場する醜悪な容姿の男)にされた」などと激しく非難。さらにハードが同年12月ワシントン・ポストに手記を寄せて、(デップの名前は出さず)DVを告発したら脅され、決まっていた役を降ろされるなど報復されたと主張して、そうした米国の文化・社会構造を変える必要があるなどと訴えた。
その後デップが「ワイフ・ビーター」(妻虐待夫)と報じた英紙「サン」を訴え、さらにワシントン・ポストに手記を書いたハード本人を名誉棄損で提訴した。ロンドンの裁判所で行われたデップが「サン」を訴えた名誉棄損裁判では、2人が法廷で直接対決して、壮絶な夫婦喧嘩やデップのベッドにウンチが置かれていた“ウンチ事件”、デップの指切断事件、デップのドラッグ使用歴、ハードの3P疑惑など前代未聞の暴露合戦が繰り広げられた。
2020年11月、判事は「サン」の記事は「おおむね事実」と認定して名誉棄損の訴えは棄却されデップは敗訴。控訴も棄却されデップの敗訴に終わった。
2022年4月12日(現地時間)、ハードが2018年12月に米紙ワシントン・ポストに寄稿したコラムで名誉を棄損されたとしてデップがハードに5000万ドル(約62億5000万円)の巨額賠償金を請求した訴訟が米バージニア州フェアファックスの裁判所でスタート。双方のさまざまな証人が証言し約6週間続く予定。ハードは、デップが匿名のアカウントを使って誹謗中傷を繰り返したなどとして1億ドル(約125億円)を請求して”倍返し“の反訴をしている。