ケヴィン・スペイシー、セクハラで42億円の巨額賠償命令となった理由とは

(2022年8月7日11:15)

ケヴィン・スペイシー、セクハラで42億円の巨額賠償命令となった理由とは 
ケヴィン・スペイシー(インスタグラムから)

オスカー俳優のケヴィン・スペイシー(63)が、Netflixのテレビシリーズ「ハウス・オブ・カード」のスタッフへのセクハラ疑惑が発覚してドラマを降板したことをめぐって、ドラマの製作会社MRCが損害賠償を請求していた裁判で、ロサンゼルスの高等裁判所はスペイシーに約3100万ドル(約42億円)の支払を命じた仲裁人の裁定を認定した。

米「DEADLINE」によると、スペイシーは、主演ドラマ「ハウス・オブ・カード」の撮影中に、若い男性のスタッフにセクハラをした疑惑が浮上し、同シリーズのシーズン6を降板した。製作アシスタントの体を触ったという疑惑を含むこの告発により、MRCは調査を行い、スぺイシーの俳優および製作者としての契約を打ち切った。そしてスペイシーの降板で損害を被ったとして賠償を求めていた。

ロサンゼルス高等裁判所のメル・レッド・レカナ判事は4日(現地時間)、約2950万ドルの損害賠償と残りの費用および手数料などのMRC社に対する賠償を命じた昨年10月の裁定人の裁定を認めた。裁定人はスペイシーの行為が俳優としての契約および製作総指揮契約の重大な違反にあたると判断したという。MRCの弁護士は「我々は裁判所の判決に満足しています」と述べた。スペイシーは「誰にもセクハラをしていない」と主張したが認められなかった。

。 MRCは「従業員、セット、職場環境の安全はMRCにとって最も重要なことであり、説明責任を果たすためにこの問題の調査に着手した」と述べている。

匿名のクルー8人からスペイシーのハラスメント、痴漢行為の申し立てがあり、MRCが調査を行うために製作を中断し、職場調査員が調査した結果、スペイシーが「MRCのハラスメント・ポリシーに違反するなど、彼の職場行動に関する基準を定めた俳優・プロデューサー契約に違反した」と結論付けた。同シリーズはロビン・ライト主演でもう1シーズン続いたが、MRCは2019年、スペイシーの降板でシーズン6全体の書き直しを余儀なくされたうえに、13話からわずか8話に短縮せざるを得なかったことなどで損失を被ったと主張し、スペイシーに対する損害賠償を請求していた。

■ケヴィン・スペイシーのセクハラ事件

スペイシーは「ユージュアル・サスぺクツ」(1995年)で助演男優賞、「アメリカン・ビューティー」(1999年)で主演男優賞と2度アカデミー賞を受賞している名優として知られるが、2017年10月、1986年に当時14歳の俳優アンソニー・ラップに性的暴行を加えようとしたと告発された。スペイシーは「深く酔っていて覚えていない」とした上で謝罪し、ゲイであることをカミングアウトしたが「セクハラから目をそらすための巧妙な策」などと業界やLGBTQのコミュニテイーから非難された。
その後さらに十数人の同様の性的暴行疑惑を報じられ、2018年12月には当時18歳の男性への強制わいせつで刑事告発されたが2019年7月に証拠となる携帯電話の記録の不備などで告訴が取り下げられた。
今年5月には英検察当局が、英国で3人の男性に対する4件の性的暴行の罪でスペイシーを訴追したと発表した。