ケヴィン・スペイシー、性的虐待で損害賠償60億円を請求された訴訟で勝訴

(2022年10月21日12:30)

ケヴィン・スペイシー、セクハラで42億円の巨額賠償命令となった理由とは 
ケヴィン・スペイシー(インスタグラムから)

ケビン・スペイシー(63)が1986年に当時14歳の少年だったアンソニー・ラップ(50)に性的虐待を加えたとして4000万ドル(約60憶円)の損害賠償を請求された訴訟で、マンハッタン連邦裁判所の陪審員は20日(現地時間)、原告の訴えを棄却した。米メディアが報じた。

米紙ニューヨーク・ポスト(電子版)によると、陪審員は1時間余りの審議を経て、36年前にスペイシーが望まれない性的誘惑をし、不適切な形でラップに触れたことは証明できなかったとし、原告アンソニー・ラップの訴えを退けた。

スペイシーの代理人弁護士ジェニファー・ケラーは、「原告の虚偽の主張を見抜いた陪審員に非常に感謝している。(スペイシーの)どんな疑惑にも真実はなかった」と述べ「聡明で高学歴な陪審員たちでした」と陪審員を称賛したという。

ラップは1986年、14歳の時に俳優仲間のマンハッタンのアパートで開かれたパーティーに出席した際、当時26歳だったスペイシーが自分の上に乗り、性的な誘惑をしたと主張。心的障害や医療費などで4000万ドルを請求した。最終弁論でラップの弁護士スティーグマン氏は、ラップは自分の主張に正直であり、この訴訟はスペイシーに対する30年来の恨みの一部ではないと述べた。

スペイシーの弁護士は、ラップは「スペイシー氏と同じ成功に値すると感じ不満のある俳優だった」と陪審員に語った。原告の請求棄却の評決に「スペイシー氏は深く感謝している」とケラー氏は述べた。

10月6日(現地時間)に始まった裁判で、スペイシーは証言台に立ち、幼少期に父親がネオナチだったという「複雑な家族構成」のために、早い時期にゲイであることをカミングアウトしなかったと証言。「私の父は白人至上主義者でネオナチでした。父は、私がゲイかもしれないという考えについて、よく怒鳴ったものです」などと涙ながらに述べた。
スペイシーの弁護士は「スペイシー氏が次にすることは、彼が訴えられていることすべてに対して無実であることを証明することだ」と述べ、スペイシーがイギリスで直面している刑事事件などについても無実を主張した。

同事件はスペイシーの性的虐待の疑惑の一つで、「#MeToo運動」が台頭する中で「ユージュアル・サスぺクツ」(1995年)でアカデミー賞助演男優賞、「アメリカン・ビューティ」(1999年)で同主演男優賞を受賞したハリウッドのトップスター、スペイシーのキャリアを狂わせ、Netflixのヒットシリーズ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」を降板した。

スペイシーは2005年から2013年にかけてロンドンのオールドヴィック劇場で芸術監督を務めていた際、複数の男性に虐待を加えたとして、性的暴行など5件の罪に問われており来年に裁判が開かれる予定だという。