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「TENET テネット」時間が逆行する世界を異次元の映像で見せるSFアクション大作

(2020年9月24日20:20)

「TENET テネット」時間が逆行する異次元の映像で見せるSFアクション大作
「TENET テネット」(TOHOシネマズ六本木ヒルズ)

「ダークナイト」(2008年)、「インセプション」(2010年)、[インターステラー」(2014年)、「ダンケルク」(2017年)など画期的な映像とストーリーで人気のクリストファー・ノーラン監督が、第三次世界大戦を防ぐためのミッションに挑む主人公たちの闘いを、時間が逆行するという異次元の映像で見せるSF大作。「ブラック・クランズマン」(2018年)に主演したジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、ケネス・プラナーなどのキャスト。

■ストーリー

ウクライナ、キエフのオペラハウスでテロ事件が起きて特殊部隊が出動する。そうしたなか、「名もなき男」ことCIA工作員(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は観客の中に紛れていた「プルトニウム241」を手に入れたスパイを救出するために、特殊部隊に紛れて行動してスパイ救出に成功するが、脱出する際に敵の部隊に捕らえられ、毒薬を飲んで自殺を図る。ところが毒薬はいつの間にか鎮痛剤にすり変えられていて、目が覚めるとフェイ(マーティン・ドノヴァン)と名乗る男から、テロ事件は未来からやってきた彼らの組織に入れるためにテストだったと明かされる。そして未来からやってきた敵と戦い第三次世界大戦を阻止するというミッションを与えられる。未来では”時間の逆行”と呼ばれる装置が開発され、人や物が過去へと移動することが可能になっていた。ミッションのキーワードは「TENET」(テネット)で、名もなき男はインドで合流した組織のニール(ロバート・パティンソン)を相棒にして、敵につながるロシアの武器商人セイター(ケネス・プラナー)と接触しようとするが難航したため、彼の妻キャット(エリザベス・デビッキ)と接触してミッションの実現に奔走する。

■見どころ

ノーラン監督は同作のスペシャル予告編で「本作は、映画の力で、観客の皆様を非日常的な世界に連れて行く作品です。数時間の間、席に座り、日常では見ることができない未知なる映像を体験してもらいたいと思っています」と語っている。その最たるものが、時間が逆行するシーンだ。壁に向けて撃ったはずの弾丸が瞬時に銃に戻って来たり、壮絶な格闘シーンもフィルムを巻き戻したように逆行する。さらには通常の時間の流れの映像と時間が逆行する映像が同じスクリーンで繰り広げられるなど、異次元の仕掛けに魅了される。体を揺さぶられるような音楽、音響が高いテンションで最後まで続くのもこの作品の特徴だ。スリリングなカーアクションや戦闘シーンから本物のジャンボジェット機、ボーイング747が空港の倉庫に突入して爆発するシーンも登場する。そしてドラマのカギを握るロシア人の武器商人セイター(ケネス・ブラナー)とその妻のエリザベス・デビッキ扮する絵画の鑑定士キャサリンの愛憎劇、キャサリンを救おうとする名もなき男のドラマなどさまざまな映像とドラマと複雑に入り組んだ仕掛けが詰まった極上のSFエンターテインメントになっている。「グローリー」(1989年)でアフリカ系アメリカ人としてシドニー・ポアチエに続いて2人目となるアカデミー賞主演男優賞を受賞したデンゼル・ワシントンの長男で「ブラック・クランズマン」(2018年)の主演で注目されたジョン・デヴィッド・ワシントンの熱演も光っている。いずれにしても1回見ただけでは全貌を正確に把握するのはまず無理と思われる映画でもあり、リーピーターが続出しそうだ。先週末の観客動員数などで、日米で初登場1位のヒットスタートとなった。(2020年9月18日公開)