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3月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦

(2021年3月15日21:30)

文化放送「上地由真のワンダーユーマン」(月曜午後9時30分)でパーソナリティ―の上地由真と映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、映画評論家の荒木久文さんの3人が3月のおすすめ映画を紹介して見どころを解説した。同番組では毎週テーマを設け“由真的”テイストで進行。毎月第1週目は「今月のシネマログ」と題し、その月に公開される話題の映画作品を上地由真と映画の専門家2人が紹介する。今回は『ノマドランド』『まともじゃないのは君も一緒』『騙し絵の牙』の3本の話題作が紹介された。

1月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
(㊧から東紗友美、上地由真、荒木久文)

上地    上地由真のワンダーユーマン!今週もよろしくお願いします。
今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」。映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さんと、映画評論家の荒木久文さんとお届けします。よろしくお願いします!

荒木・東  よろしくお願いします!

上地    さて、本日もこちらのコーナーからです。「由真のナニソレ」。私が気になっているコトやモノを紹介していきます。私、最近Ⅾisney+(ディズニープラス)に登録して、『ワンダヴィジョン』にめっちゃハマってるんですよ。

東     『ワンダヴィジョン』のお名前が出ちゃいましたね。

上地    さゆみん、めっちゃハマってるでしょ?

東     めちゃくちゃハマってます。荒木さん、すっっっごい面白いんですよ!

荒木    何しゃべっているかわかんない。

上地    マーベル・スタジオが製作するネットドラマなんですけど…。

荒木    ああ、そうなんですか。

上地    『アベンジャーズ』と『エンドゲーム』のその後を描いているんですけど。

東     その後の世界なので、だからフェーズ4。マーベルって今、フェーズ4の最初の作品になるんですけど、このドラマシリーズが。最初でこれ?!っていうぐらいの世界観の広がり方で・・・なんだろう?シチュエーション・コメディ、すなわちシットコムなんですよ。『フルハウス』みたいな作風の作りで…。

上地    うんうん、なんか変わった…。

東     そうなんです。ワンダとヴィジョンという夫婦なんですけど、もう昔のドラマなんですよね。最初白黒で、「私は○○で、○○だから…」「アハハハ!!パチパチ…(お客さんの笑い声と拍手)」みたいな、あれ!あれですよ。あれが三話まで続くんですよね。

上地    ね!そのまま続いていくのかなと思ったら…。

東     と思いきや、コロッと変わる。その古典的な白黒で、昔の良きアメリカの世界が、何かがおかしい、何だか不気味な闇に囲われているんじゃないかっていう話になって・・・。しかもね、終わり方どうですか?毎回…。

上地    気になるところでね、いつも。

東     30分ぐらいの尺、30分、40分の作品なんですけど、ここまであおられる終わり方してる作品…あおりドラマですよね。

上地    ねー、ほんと思う!気になって気になって…もう、早くー!みたいな。

東     いや~本当に!毎週金曜日の配信なんですけど、金曜日がとっても待ち遠しいくらいに土曜日が苦悶なんですよ。また一週間待つの?っていう…。

上地    アハハハ…わかるわー!

東     そのくらいの作品なのでね…。

上地    Ⅾisney+、荒木さん、一ヶ月無料だからとりあえず登録して…。

荒木    ディズニーの回し者か…?(笑)

上地    いやいや違う、ぜんぜん関係ないけどー(笑)ちょっと見てみてください!

荒木    はい、わかりましたー!

東     面白いから!

上地    3月公開の映画の中から、私、上地由真とさゆみん、荒木久文さんの三人が「これはオススメ!」と思った作品をご紹介していきます。
それでは早速、さゆみんのおすすめからお願いします。

3月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「ノマドランド」(2021 年 3 月 26 日(金) 全国公開 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン)(©2020 20th Century Studios. All rights reserved.)

東     はい。私がご紹介するのは、3月26日公開の『ノマドランド』という作品です。この作品はベネチア国際映画祭の金獅子賞、そしてオスカーの前哨戦とも名高いトロント国際映画祭の観客賞を受賞しており、今最も注目されている映画の一つなんですけど、まずちょっとあらすじをご紹介します。主人公はリーマンショック後、企業の倒産と共に住む場所を失った60代の女性ファーンです。家も仕事も失った彼女は、キャンピングカーに全ての思い出を詰め込んで車上生活を送る現代のノマド、いわば遊牧民として生活を始めます。過酷な季節労働の現場を何箇所も渡り歩きながら、行く先々で同じような暮らし方をするノマドたちと出会い、心を通わせて今を生きる希望というものを見つめ直していく作品です。
この映画なんですけど、一言で言うと、“自分探し代行映画”と私は名付けました。でね、この主人公のファーンがノマドの生活を始める上で、いろんな場所に行っていろんな人の人生にとにかく触れるんですよ。行く先々でいろんな考え方を持っている方と出会うんですけど、一つの場所にいると、結局・・・なんだろうな、自分からいろんなタイプの人とか、多様な価値観とか言ってるわりには、凝り固まっていつもだいたいなんだかんだ同じコミュニティにいる人と接してしまうな~、というのに最近…というか、正直数年前から気付いていたんですけども、こういった作品を観ると、いろんな人の生き方、なんでノマドをやっているかとか触れられるから、自分探しをね、仮にやってもらった感じで自分もそれを体現出来た感じになりましたね。あとはキャンピングカーが移住空間じゃないですか。劇中にもたくさん映るんですけど、言わずもがな非常に限られた空間なんですね。だからこそ自分がここにいたら、何を持ち込むだろうとか、一枚しか写真を持っていけないなら何を持っていくだろうとか、いろいろ考えているうちに自分が一番大事にしたいものとかを見つめ直してしまうような作品でね、非常にずっしりとくる作品でしたね。一回じゃ逆に消化出来ないからね、人生で何度も見直したいなと思ったんですけど。
お二人はいかがでしたか?

上地    なんか本当、家を持たないっていう考えたこともなかったし、今の生活からしたら考えづらいんですけど、まさに今を生きるっていうこのファーンの…。

東     一日一日なんですよね。

上地    そうそうそう。だからそれが本当にたくましさを感じたし、こういう選択肢もちょっとありかも、っていう自分の選択肢が増えたというか…。

東     なるほど~、うんうん。

上地    なんか、こういうのもあるんだ…自分がもし何もなくなった時、自分がこういう生き方を出来るか出来ないかわからないけど、こういうのもあるんだなというふうに思いました。

荒木    まあイメージ…画面を観るとドキュメンタリーとフィクションが混合みたいな感じですよね。出ている人たちも本当のノマドを出しているんですよね。実際の人たちが本名で出演していることもあるから、ちょっと現実と…日本で言うと誰だろう?河瀨直美さんみたいな色調。女性監督なんですよね。38歳の中国出身の監督さんなんですが、注目の監督さんですよね。こういった精神的な自由とかね、ものを持たない、さっきお二人がおっしゃったようなものを観たんですけど、私もこう映画の主人公のファーンさんと同じ世代なんですよね。だから二人とはちょっと見る目が違うと思うんだけど、私自身はですね、解放された精神みたいなものを欲しいと思うんだけど、じゃあ今のものを捨てられるかっていうと、もう全然ダメなんですよね。いくら精神的に自由になっても、結局は長い間馴染んできたこの世界を、ああいう世界には憧れるけど、僕はダメだなというふうに、捨てられないなと、君たちみたいな俗物と一緒に生きていくしかないんだよ、と…。

東     ちょっと待って、なぜ事故に巻き込まれて。

上地    私、結構捨てられるよ。

東     荒木さん、今そういうふうにおっしゃいましたけど、心の底ではノマドの精神残しておきたいなと思いませんでしたか?

荒木    思います。僕が考えたのは、ヒッピーと同じような精神的な自由、いわゆる文化的なものを捨てた後に本当に精神的な自由、あの頃見て同じような感想を抱きましたよ。なんか違和感はあったけど、それは精神的な自由を得られたらこんなにいいものはないだろう、と思いますよ。それはね、そう感じました。

東     そして何と言ってもキャストの話を荒木さんにちょっとしていただきたいと。この作品はね!

荒木    ああ、そうだね。ご存じだと思うんですが、フランシス・マクドーマンド。二回、『ファーゴ』と2017年の『スリー・ビルボード』でオスカー女優、主演女優賞獲ってますし、今回もね…。

東     三回目のノミネートで、もしかしたら獲るんじゃないかって言われてる…だからぜひ演技の方も注目していただきたいなと。

荒木    そうですね。とにかく厳しくて美しい自然と、景色もいいし音もとってもいいし。その中で放浪する高年齢の労働者たち、本当に今のアメリカの一片をね、語っていると思うし、非常に考えさせる映画でした。

東     ということで、私がご紹介したのは3月26日公開の『ノマドランド』でした。

上地    続いては荒木さんのおすすめ作品をお願いします。

3月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「まともじゃないのは君も一緒」(3 月 19 日(金)全国ロードショー)(©2020「まともじゃないのは君も一緒」製作委員会)( 配給:エイベックス・ピクチャーズ)

荒木    はい。私がご紹介するのは、3月19日から公開『まともじゃないのは君も一緒』という、ちょっと変わったタイトルですね。成田凌くんと清原果耶さんのダブル主演ドラマなんですが、成田凌くん演じるのは数学を教えている予備校講師ですね。勉強一辺倒で生きてきた彼は、ほかの人との関係、コミュニケーションが苦手なんですね。見た目かっこいいのでもったいないんですけど。将来は普通に結婚したいと思ってるんですが、世間知らずで普通とは何かがよくわかってない状況なんですね。女の子とデートしてても、ちょっとなんとなく違和感があって、自分でも感じてるんですけども、このまま将来ずっと一人で生きていかなきゃいけないのかな・・・と不安を抱えている人なんですね。その教え子を清原果耶さんがやっているんですが、香住ちゃんといいます。香住ちゃんはですね、先生・大野くんを普通じゃないと指摘してくれる唯一の人間なんですね。まあ友達感覚なんですけどね、教え子だけど。恋愛経験はないんですけども、恋愛雑学というか恋愛情報だけは豊富なんですね。先生は普通以下だから、言うことを聞きなさい、普通という事を教えてあげますよ、と先生を恋愛指導しようということになるお話なんですよね。一言で言うとですね、“とてもまともな映画じゃなさそうで、まとも”。普通な映画かなと。

東     タイトルのまともにかけて…。

荒木    そうなんですよね、そんな感じですよね。ラブコメっていうか、そういう感じですよね。清原果耶ちゃん演じる香住ちゃん、昔いましたよね、君たちの周りにもいたと思うんですけど、いわゆる耳年増っていうやつ、クラスにも何人かいたでしょ?ませてる女の子。

上地    はいはい、いました、いました。

荒木    ところがですね、この映画にも描かれているように、耳年増っていうんじゃなくて、なんて言うんだろ…ウェブ年増っていうか、とにかくSNSなどから入ってくるね…。

東     えー、そういう造語…なるほど。

荒木    私が作った造語なんで…。

上地・東  えーっ?!荒木さんが作ったんだ(笑)

荒木    そうそうそう(笑)すごい情報量や知識で頭がパンパンですよね。だから恋愛経験もなくて内心とってもうぶだけど、頭の中では恋愛からセックスのテクニックまで全部わかってるというね、そういう人ですよね。

東     私この映画観た時に一言で怖いと思った。なんでかというと主演の二人が上手すぎる!今をときめく二人っていうのはわかってたんですけど、だって成田さんとかは『愛がなんだ』とかで、ちょっとどうしようもない女の子の気持ちをもてあそぶ役だったのに、この作品では180度…東海岸と西海岸ぐらい違う人間になってて、役者すごいなっていうのを久々にここまでの演技を。清原果耶さんもそうですよ。

荒木    うん。特に会話!

東     会話のシーンがね!

荒木    会話劇要素が強いんですけども、ノンストップでね、バンバンバンバンラリーが。しかも嚙み合わないラリーが続くんですよ。日本の映画ではちょっと珍しいタイプの会話劇ですよね。二人ともね、若手の旬の俳優さんですから、そこのいいところが全部出てる映画ですよね。いかがでしたか、由真さんは?

上地    ああいう男性、普通じゃないって言われるような、私けっこう好きですね。

荒木    ああ、そうですか。まあ成田くんね、さっき言ったようにね、全然変わったちょっとひょろっとしたようなところも、ちょっと今回は頼りなく映るわけですよね、ちゃんと。プロフィール紹介する必要ないほど売れっ子さんですが、もう本当にいかにも世間知らずの数学講師、しゃべり方もそうですよね。で清原さんはちょっと気の強そうな知ったかぶりのクールビューティーっていうかね、少女感がとてもいいですよね。監督はですね、『婚前特急』だとかやった前田弘二さんという人ですね。脚本はですね、『そこのみにて光輝く』の脚本家の高田亮さん。この二人がね、おかしさと是を上手く使って作ってますよね。この映画、「普通」って書いて「まとも」って読ませてるルビをいっぱい使ってますよね。由真さんも言ってたけど、普通って一体なんだろうってしょっちゅう思うよね。

上地    思う!なんか普通に○○すればいいのにーとか言われて、なんかイラッとくることがすごい多い。普通にしなよー、とかって…。

荒木    そう。一人一人、だから普通ってこと全然違うの。最近、なんかこれって普通?私は普通なのに、この人たちは普通じゃないのかしら?って思ったことありますか?

東     あのー、本当に今疑問なんですけど、15秒に一粒くらい流れる雨あるじゃないですか?あの時、傘ささなくないですか?

上地    え、なんで、ささない?

東     絶対ささないんです、私。あれでさしてるの、全然よくわかんないんです。

荒木    私はね、こんなことありました。この前酒飲んだ時に、ある女の子が初めてキスしたって言うんですよ。

上地・東  初めてキスした?荒木さんと?

荒木    違う違う!

上地・東  あー、びっくりした!アハハハ…!

荒木    誰かとね。その時いきなりね、舌を入れられたって言うんですよ。もうこれって普通じゃない。

東     あー!それ普通じゃない!えっ?ギリギリ?

荒木    僕、思ったの。えっ?!普通でしょ、それ?

東     普通じゃない!

上地    えっ?初めてでしょ?!

荒木    そう初めての…。

上地・東  えーっ!!普通じゃない!!まともじゃない!!(笑)

荒木    普通でしょ?

上地    それはね、ちょっと変わってるかも。

荒木    そうかな?まあ、だからね、それと同じように、やっぱりまともとか普通って違うのよ。

東     それが面白いですよね。

荒木    はい。アインシュタインているでしょ、相対性理論の物理学者の。あの人いろいろな金言とか格言とか残しているんですけども、アインシュタインはですね、普通ということについては、“人生を楽しむ秘訣は、自分が考える普通にこだわらないことだ”って言ってるんですよね。それから常識については、“常識とは18歳までに身に付けた偏見のコレクションだ”と言ってるわけ。だから常識が非常識であるということを気が付くだろうと、誰も。だからあんまり、「これって普通なのかな?普通じゃないのかな?」っていうふうにあんまり考え過ぎて人生を送ることは、あんまりいいことじゃないのかなと。

東     豊かじゃなくなっちゃう。

荒木    豊かじゃなくなっちゃうよね。だからこの映画でもね、その知識を元に、何も知らないことをいいことにね、やるんだけど、結局はこれは失敗するというかね、戻るところに戻るんですけども。

東     たしかに、自分のなんか異変というかエキセントリックなところもね、大事に育てたいって思いますよね。

荒木    そういうことだと思いますよね。ということで私自身はですね、自分ではまとも過ぎて他の人には面白くないなと思われているだろうなというセルフイメージを抱いている私、荒木が紹介したのは、『まともじゃないのは君も一緒』という3月19日公開の作品でした!

上地・東  うーん?えー?それ、間違ってる…(笑)

3月のおすすめ映画 文化放送「上地由真のワンダーユーマン」推薦
「騙し絵の牙」(2021年3月26日(金)全国公開)(©2021「騙し絵の牙」製作委員会)(配給:松竹)

上地    「今月のシネマログ」、トリは私、上地由真のおすすめ作品をご紹介します。 私が紹介するのは、3月26日公開の『騙し絵の牙』です。まず、あらすじからいきますね。舞台は「薫風社」という大手出版社です。その薫風社も出版不況で、今や崖っぷちの状態になっているんですね。そんな時に創業一族の社長が亡くなって、次期社長を巡り激しい権力争いが始まります。社長の座を狙う佐藤浩市さんが演じる専務・東松は「売上げを出せない雑誌は廃刊にする」という方針を打ち出すんです。そんな中で廃刊候補の一つ「トリニティ」の編集長としてやって来たのが、大泉洋さんが演じる速水。数々の雑誌を渡り歩いてきた速水は飄々としてつかみどころのない雰囲気なんですが、これまでの経験や人脈をもとに剛腕ぶりを発揮していきます。そして松岡茉優さんが演じる文芸誌の新人編集者・高野を巻き込み、とんでもない奇策を仕掛けます。その結末は・・・という映画で、これはもう本当にスリリングな映画でした。なんか出版社の裏側を見たような感じで、私は知らないんですけど、同じ社内なのに、会社なのに、こんな争いがあるんだと思ってびっくりしたんですけど、こんな感じなんですかね?

荒木    そうですね、まあ出版社に限らず大きな会社というのは、いろんなセクションがありますから、セクションによってね、全く雰囲気も違うし、出版社だと出版ということもあって、文芸誌出してるところと週刊誌出してるところと、また校閲部とかね、全然全く違って、特に雑誌同士はライバルっていうふうにね、敵みたいなもんですよ。

上地    なんか本当、騙し騙され、予想も出来ない展開にかなりワクワクしたんですけど。

東     なるほどー。この作品ね、四年間、実際に出版社に取材して、徹底取材だったらしくて。だからここに出てくるあるあるは、結構実はリアルみたい。

上地    あ、そうなんだ。ちょっと怖いなぁ。

東     いや~、でも面白かったですよねー。

上地    面白かったー!登場人物もかなり癖のある…。

東     全員くせ者ですよね。

荒木    そうですよね。大泉さんをイメージして…。

東     当て書きなんですよね。

荒木    当て書きなんですよね。

上地    だからか~!

荒木    『罪の声』の塩田さんが主人公に大泉さんをイメージして。当然大泉さんが主演で映画化したんですけども、彼の調子の良さとかそういうものが本当に生き生きと出てましたよね。

東     いそう、いそう、いそう!の連続というかね…。

荒木    いるいる!人たらしなとことかね。いますよー。だいたいこのモデルってわかりますよね。

上地    わかる…(笑)

東     でも私、この作品は本当にタイトル上手いなと思って。ネタバレにならないように言うと、『騙し絵の牙』じゃないですか、誰の牙が一番鋭かったかな…って思うと、ちょっとゾワっとして。

荒木    そうですね。いっぱいたくさん…。

東     みんな牙をむくんですよね。

荒木    そう、みんな一癖、二癖あるんですね。まあね、放送業界もね、一癖二癖あるのいるんですけどー、出版業界も大変ですよね。

東     今っていろいろね、大変な時期だと思うんですけど、全国的、世界的に。こうやって松岡茉優さん演じるヒロインが七転び八起きで、不屈の精神で、観てて気持ちが良くて!

荒木    ただ僕ね、観てて一番びっくりしたのが、今回のこの映画・・・前に原作本読んでたんですけど…。

東     おっ!聞きたい、違いとか!

荒木    内容的には大きく全く違うんですよね。

上地    そうなんだー。

東     えっ?えっ?

荒木    全体の設定とか、入りは原作に忠実なんですけど、後半全くどんどん違ってきます。

上地    えーっ。

荒木    出演者も原作にない人がどんどん入ってきて、原作を読んでるから、「あっ、次はこういう展開になるんだろうな…」と思うと混乱しちゃうわけですよ。

東     かなり違いますか?

荒木    全然違う、別物だね。

上地    じゃあ原作読んでる人も…。

荒木    楽しめますよね。タイトルと設定だけがオリジナルと言っていいんじゃないでしょうかね。それからテンポの良さとかね。

東     タイトルと設定だけが…すごい話ですよね。

荒木    うん。思わず笑っちゃうような部分はもちろんそのまんまなんですが、テンポがいいところはそのまま生かしているんですけども。そんな映画を作っちゃったのが吉田大八さんなんです。

東     そうなんです!吉田大八さんにハズレなし!やっぱりそうですねー。

荒木    吉田大八さんて、『桐島、部活やめるってよ』とか『紙の月』とかね。本当に特徴ある映画を作る人なんで、本当にね私、吉田大八すごいなと思いましたよ。全く別物で非常にクオリティーの高いものを作ってるということで、これはね原作を読んだ方もぜひ行ってみて、びっくりしてください。

上地    原作読んでみよう。逆に。

東     最後に一つ質問!究極のラストは原作と似ているんですか?

荒木    全く違います。

東     うぉーーー!!

上地    ラストまで?!

東     ラストがすごいじゃないですか、この作品!じゃあ、もう二つないと完結できないですね。

荒木    もう別物と考えていいんじゃないですか。同じテーマを使った別物ということで、小説は小説で面白さがあるし。本来そういうものだからね。

東     全く違うと言われるとね、気になってしょうがないですよ。

上地    はい。私、上地由真のおすすめ作品は、3月26日公開の『騙し絵の牙』でした。3月公開の映画作品の中から、それぞれの推しをご紹介しました。映画評論家の荒木久文さん、映画ソムリエの東紗友美さん、ありがとうございました!

荒木・東  ありがとうございました!

■上地 由真

オーディションがきっかけで関西を中心に音楽活動開始。2007年シングル「shine day」などをリリース、以降全国各地でライブ活動やイベント参加。最近は女優としても活躍、舞台、映画などのジャンルにも進出。

■東 紗友美

映画ソムリエとしてTV・雑誌・ラジオなどで活動中。趣味は、映画ロケ地巡り。国内外問わず廻り、1年で100箇所以上ロケ地を訪れたことも。インスタグラムでも毎日映画に関する写真やコメントをほぼ毎日掲載中。

■荒木 久文

   現在 複数のラジオ番組を中心に、新聞紙面 ニュースWEBなどに映画をテーマとした評論 批評 紹介 などの活動を展開。報知映画賞選考委員 ノミネート委員  日本映画ペンクラブ会員