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「ライトハウス」ウィレム・デフォー&ロバート・パティンソンの“狂気競演”が圧巻

(2021年7月6日16:30)

「ライトハウス」ウィレム・デフォー&ロバート・パティンソンの“狂気競演”が圧巻
「ライトハウス」(© 2019 A24 Films LLC. All Rights Reserved.)

謎めいた孤島の灯台にやってきた2人の灯台守が外界から遮断された中で反目しあううちに次第に狂気と幻想に侵されていく極限状態を描いた全編モノクロームの異色の作品。「ムーンライト」や「ミッドサマー」など斬新な作品を製作してきた米製作・配給会社A24が製作し、長編デビュー作「ウィッチ」がサンダンス映画祭で高評価を受けたロバート・エガース監督がメガホンを取った。第72回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞。 第92回アカデミー賞の撮影賞にノミネートされるなど世界的に注目された。「プラトーン」やアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた「永遠の門 ゴッホの見た未来」などのベテラン俳優ウィレム・デフォー(写真㊧)と、「トワイライト」シリーズ、「TENET テネット」などで知られ、2022年公開予定の「ザ・バットマン」の新バットマン役に抜擢されたロバート・パティンソン(同㊨)が初共演で熱演している。

■ストーリー

1890年代、米ニューイングランドの孤島の灯台に2人の灯台守がやってくる。2人は4週間、灯台と島の管理を行う仕事を任されていた。ベテランのトーマス・ウェイク(ウィレム・デフォー)は、未経験の若者イーフレイム・ウィンズロー(ロバート・パティンソン)に説教し高圧的な態度をとるのでウィンズローは反発して、初日から衝突を繰り返す。険悪な雰囲気の中、嵐がやってきて2人は孤島に閉じ込められ、次第に正気を失って幻覚を見たり2人で泥酔して大騒ぎするなど狂気の世界に入っていく。

■見どころ

1801年にイギリスのウェールズで実際に起きた事件が元になっているという。それだけに2人が体験する狂気とホラーの世界がリアリティを感じさせる。全編にわたってほぼデフォーとパティンソンの2人しか登場せず、2人が灯台の狭い部屋の食卓で食事をして話をするところから始まり、嵐がきて灯台の中に閉じ込められ、絶海の孤島での極限状態の中で繰り広げられる2人の会話や壮絶でとめどない口論、激しいケンカなど2人が繰り広げる”狂気共演“は圧巻だ。ウィンズローの前任者についてウェイクは「気が狂って人魚の話をし始めた」などとホラーじみた話をする。ウィンズローは「ホラ話だ」と鼻で笑うが、やがて狂気の中で自分も人魚を見るなど幻覚に取りつかれていき、いったいどんな結末が待ち受けているのかと最後まで目が離せない展開が続く。スタンダードサイズのスクリーンにモノクロームの映像は独特の雰囲気と映像美を醸し出している。
(2021年7月9日(金)、TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー)