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「白頭山大噴火」白頭山大噴火と韓国軍の極秘作戦を壮大なスケールで描く大作

(2021年8月29日12:50)

「白頭山大噴火」白頭山大噴火と韓国軍の極秘作戦を壮大なスケールで描く大作
「白頭山大噴火」(TOHOシネマズ新宿)

北朝鮮と中国の国境にある白頭山が突然大噴火を起こし、韓国もビルが倒壊するなどパニックになるが、朝鮮半島が壊滅するさらなる大噴火が予想される中、地質学者が提案した噴火をくい止める奇想天外な計画を実行するために韓国軍の特殊部隊が編成され半島救出の究極のミッションに挑戦するという壮大なスケールの韓国のパニック・アクション映画。イ・ビョンホン、ハ・ジョンウ、マ・ソンドク、チョン・ヘジンなどの多彩なキャストで、イ・ヘンジュンとキム・ビョンソが共同で脚本・監督を務めた。

■ストーリー

白頭山(ペクトサン=標高2744mの火山)が観測史上最大の噴火を起こしてマグニチュード7.8の大地震が発生。遠く離れた韓国のソウルでも高層ビルが倒壊して、漢江は洪水に襲われて陸橋が破壊されるなど未曽有の事態に朝鮮半島は大パニックに陥る。政府は白頭山の地質分野の権威で以前から噴火を警告していた地質学者の大学教授カン氏(マ・ソンドク)に協力を要請する。教授は半島を壊滅させるほどのさらなる大噴火が起きると予測。噴火を鎮静化させるために北朝鮮が保有する核兵器を白頭山の奥深くで爆発させるという成功率数パーセントの常識では不可能な計画を提案して政府関係者がみな反対するが、大統領がゴーサインを出す。タイムリミットは75時間。除隊が決まっていた韓国軍爆発物処理班のチョ・インチャン大尉(ハ・ジョンウ)にその極秘任務が命じられ、わずかな部隊を率いて、北朝鮮に潜入し、作戦成功のキーマンとなる北朝鮮の人民武力部の工作員でスパイ容疑で投獄されているリ・ジュンピ(イ・ビョンホン)を監獄から奪還して、作戦実行に向かうが北朝鮮軍だけでなく、極秘作戦を知った米軍が作戦の中止を要求して立ちふさがる中、北の工作員を強制連行してのインチャンらの朝鮮半島救出の決死の闘いが続く。

■みどころ

インチャン大尉(ハ・ジョンウ)が仕事を終えて身重の妻チェ・ジヨン(ペ・スジ)が待つ家に帰ろうと車を走られているときに、突然白頭山大噴火による大地震が起きてソウルの高層ビルが次々に倒壊してパニックになる中、猛スピードでビルのがれきが降り注ぐ中を潜り抜けていく冒頭のシーンからリアルで圧倒的な映像で描かれるパニックシーンが始まり文字通り手に汗握る展開がラストまで続く。そして核兵器を北朝鮮から密かに盗んで白頭山にある鉱山の坑道の奥深くまで持ち込み爆発させて次に起きる大噴火を鎮静化させるという極秘作戦は何とも奇想天外でその大仕掛けな発想に驚かされる。北朝鮮軍とのゲリラ戦、そして作戦を中止させようとする米軍との戦闘。さらにはイ・ビョンホン演じる北の工作員が密かにもくろむ核の使い道などが絡んで”ミッションインポッシブル“のようなスリリングな展開に圧倒される。
除隊が決まっていたのに突然命がけの極秘作戦に巻き込まれたインチャン大尉をハ・ジョンウが熱くそして時にユーモラスに演じている。そして国際スター、イ・ビョンホンが、最初はインチャンらを見下し敵意をむき出しにしているが次第にインチャンに心を開いてゆく凄腕の北の工作員を圧倒的な存在感で演じている。さらには大尉と身重の妻のドラマや、工作員と一人娘の涙を誘うエピソードも。また、奇想天外な作戦を提案する地質学者を存在感たっぷりに熱演している韓国の名優マ・ソンドク。それを支える韓国政府の要人をチョン・ヘンジが好演している。
大地震のシーンや白頭山の大噴火のパニックシーンはハリウッドの大作パニック映画と比べても遜色のない圧巻の迫力とリアリティ―で、昨年「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞の4部門を受賞し、今年も「ミナリ」でユン・ヨジョンが同助演女優賞を受賞するなど近年の韓国映画の勢いをうかがわせるエンターテインメント大作になっている。
(2021年8月27日から全国公開中)