「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」ダニエル・クレイグ最後のボンド役で完全燃焼

(2021年10月3日22:20)

「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」ダニエル・クレイグ最後のボンド役で完全燃焼
「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」 (TOHOシネマズ新宿)

シリーズ25作目で、6代目ジェームズ・ボンド、ダニエル・クレイグの5作目でこれが最後のボンド役になる。ほかに、前作「スペクター」でボンドのミッションを支援した医師マドレーヌ・スワン役で仏女優レア・セドゥ、シリーズ最凶の敵でテロリストのリーダー、サフィンに「ボヘミアン・ラプソディ」でクイーンのフレディ・マーキュリーを演じてアカデミー賞主演男優賞を受賞したラミ・マレック、ボンドの引退後007の番号が与えられたMI6エージェントのノーミにラシャーナ・リンチ、ボンドをキューバで支援するCIAの新人エージェント、パロマにアナ・デ・アルマス、英諜報機関MI6の部長Mにレイフ・ファインズ、Mの秘書イヴにナオミ・ハリス、MI6の兵器開発課長Qにベン・ウィンショーなどのキャスト。監督は「闇の列車、光の旅」(2009年)、「ジェーン・エア」(2011年)、「IT/イット “それ”が見えたら、終わり」〈2017年、脚本〉などのキャリー・ジョージ・フクナガ。主題歌「No Time To Die」を、史上最年少で第62回グラミー賞の主要4部門を獲得したビリー・アイリッシュが歌っている。
当初は2020年2月に世界公開の予定だったが、コロナ禍の影響で3度公開が延期され10月1日、満を持しての公開となった。

■ストーリー

英国の諜報機関MI6の「00(ダブルオー)」セクションに所属するスパイの007を引退して、イタリア・マテーラでマドレーヌ・スワン(レア・セドゥ)と静かに暮らしていたジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、かつての恋人ヴェスパー・リンドの墓参りに行ったときに、スペクターの紋章が描かれた紙を見つけ、その直後に墓が爆発して、スペクターの傭兵のプリモから攻撃されるが、自動小銃の銃撃にも耐えるボンドカーのアストン・マーチン・DB5で迎撃してカーチェイスを繰り広げ難を逃れる。ボンドはスワンが裏切ったと思い彼女を問い詰める。スワンは全く身に覚えがなく必死に否定するが、ボンドは彼女を駅まで送って別れを告げる。列車の中から悲しみに暮れてボンドを見つめるスワンはそっとお腹を手で押さえる。
スワンは子供の頃、スワンの父親で悪の組織「スペクター」の下部組織「クアンタムス」のミスター・ホワイトに家族を殺害されたサフィン(ラミ・マレック)が、復讐のために仮面をかぶって家に現れ、母親が殺害されるのを目撃していた。スワンは凍った湖に向かって逃げるが氷が割れて湖水に落下。それをサフィンに助けられる。その過去をボンドに告白しようとしていたがその機会も失われてしまう。
5年後、ボンドはジャマイカで穏やかな生活を送っていたが、旧友のCIA諜報員フィリックス・ライター(ジェフリー・ライター)がやってきて、誘拐されたロシアの細菌学者ヴァルド・オブルチェフ(デヴィッド・デンシック)を救出するCIAの作戦に協力するよう頼まれる。ヴァルドを抱き込んで世界に脅威をもたらす生物兵器を使った陰謀を阻止するためにボンドは現役復帰を決意。キューバで新人のCIAエージェント、パロマ(アナ・デ・アルマス)の協力を得てオブルチェフ奪還作戦を敢行するが、予想外の展開になる。そしてスワンが女児を連れてボンドの前に現れ、2人は誤解を解いて愛を確かめ合うのも束の間、サフィンの巨大な陰謀が姿を現し、ボンドはノーミ(ラシャーナ・リンチ)と共にグライダーで生物兵器を製造するサフィンの巨大な秘密基地がある島に潜入して死闘を繰り広げる。

■見どころ

予告編でも紹介されている冒頭のボンドカーでのスペクターの傭兵軍団の車との激しいカーチェイスやボンドカーに内蔵されたマシンガンで迎撃するシーン、さらにはグライダーでサフィンの秘密基地がある島の近くの海に着水したかと思えば潜水艦に早変わりするシーンなど、シリーズ定番の大仕掛けのアクションシーンの数々が登場し、クレイグが熱演。そして不気味な悪役サフィンをラミ・マレックがクールに演じて存在感を見せている。また新人諜報員パロマをアナ・デ・アルマスがセクシーに激しいアクションシーンもこなして魅了。またシリーズ初の女性007・ノーミを英女優ラシャーナ・リンチが演じるなど多様性も取り入れている。さらにはスワンとサフィンの過去の因縁や、スワンとその娘を守るために闘うボンドの2人に対する深い愛のドラマもからみハリウッドのトップクラスのエンターテインメント大作になっているのに加えて、これまでのシリーズにはなかったエモーショナルな結末が待ち受ける。
(2021年10月1日公開)