「パーフェクト・ケア」ロザムンド・パイクがマフィアと闘う凄腕悪女を熱演

(2021年12月2日12:30)

「パーフェクト・ケア」ロザムンド・パイクがマフィアと闘う凄腕悪女を熱演
「パーフェクト・ケア」のロザムンド・パイク(©️ 2020, BBP I Care A Lot, LLC. All rights reserved.)(配給:KADOKAWA)(12/3(金)~全国公開&配信開始)

法廷後見人の主人公マーラ・グレイソンが後見人制度を悪用して高齢者の資産を搾り取ることを繰り返すうちにロシアン・マフィアの母親をカモにしたことから巻き起こる壮絶な闘いを斬新なストーリー展開で描くクライム・アクション。
「ゴーン・ガール」〈2014年〉で失踪したミステリアスな妻を演じて第87回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、本作で第78回ゴールデン・グローブ賞主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞した女優ロザムンド・パイクがマーラを演じている。マーラのアシスタントで恋人のフラン役でエイザ・ゴンザレス、ロシアマフィアのローマン役でTVシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」のティリオン・ラニスター役でブレイクしたピーター・ディンクレイジ、ローマンの母親ジェニファー・ピーターソンに「ハンナとその姉妹」(1986年)と「ブロードウェイと銃弾」(1994年)で2度アカデミー賞助演女優賞を受賞しているダイアン・ウィーストなどが脇を固めている。
監督はクライム・サスペンス「アリス・クリードの失踪」(2009年)で長編監督デビューし、クロエ・グレース・モレッツ主演の「フィフス・ウェイブ」(2016年)に続いて本作が3本目の長編監督となるJ・ブレイクソン。

「パーフェクト・ケア」ロザムンド・パイクがマフィアと闘う凄腕悪女を熱演
「パーフェクト・ケア」(左からエイザ・ゴンザレス、ダイアン・ウィ―スト、ロザムンド・パイク)(©️ 2020, BBP I Care A Lot, LLC. All rights reserved.)

■ストーリー

法廷後見人のマーラ(ロザムンド・パイク)は、認知症になるなど判断力の衰えた高齢者を守りケアする仕事をしている。たくさんの顧客を抱えて後見人が必要かどうかを判定する裁判所からの信頼も厚かったが、実は医師やケアホームの幹部と結託して裕福な高齢者をホーム入れて、高齢者が所有する家や家具などを売りさばくなどして資産を搾り取る悪徳後見人だった。パートナーのフラン(エイザ・ゴンザレス)と手を組んで順調に稼いでいたが、新たな獲物となった身寄りのない資産家の老女ジェニファー・ピーターソン(ダイアン・ウィ―スト)の法廷後見人になり、嫌がる彼女を強制的にホームに入居させる。そして彼女の家から家具を運び出して売却し、家も売りに出す。さらに彼女の銀行の貸金庫から大粒のダイヤを多数発見してほくそえんだ。ところが後になって大変な”地雷”を踏んでしまったことに気づかされる。彼女の息子はロシアン・マフィアのローマン(ピーター・ディンクレイジ)だった。ローマンは手下をホームに潜入させて力づくで母親を奪還しようとしたり、黒幕がマーラだと知ってマーラとエイザは命を狙われるなど絶対絶命の大ピンチを迎える。

■見どころ

脚本・監督のJ・ブレイクソンは「アメリカ国内における法廷後見人による搾取のニュースを聞いたところからこの物語は生まれた。野望・アメリカン・ドリーム、人間が商品になるということ…特に彼らの取った手段の多くが法の抜け穴だったことを考えるとゾッとした」と語っている。まずは後見人制度を悪用した法廷後見人マーラの高齢者搾取の実態が描かれていることが問題提起になっている。ある息子は母親に会おうとするがホームの警備員につまみ出され、接見禁止の命令の解除を求めて裁判所に訴えるが、マーラは結託する医師の診断書を証拠として提出し退院は無理で息子と会うのも難しいなどと巧みに主張して判事に接見禁止の延長の判決をもらい、本人や息子の同意を取らずに高齢者の資産を処分していく。法廷後見人は顧客の資産を管理する権利を持っているという。
そうしたマーラの悪徳ビジネスを背景にして、ロシアン・マフィアの母親をターゲットにしたことからマフィアに狙われるところからがぜん緊迫し二転三転のスリリングな展開が続く。マーラは普通なら恐怖に身を震わせて逃げ惑い警察に駆け込むところだが、ダイヤの返還と母親の解放をする代わりに1000万ドル(約11億3000万円)を要求してマフィアと取引しようとするなど無謀とも思える闘いを仕掛けて壮絶なバトルを展開するところがスリリングでダイナミックなクライム・サスペンスになっている。
監督は「この映画のトーンは意図的にごちゃまぜになっている。おどけてるけど、ダークなんだ。キャラクターたちの行動を許容できなくても、映画のトーンは愉快だ。彼らがひどいことをしている間でさえ、みんな楽しんでくれると思う。でもその後で、自分がすごく楽しんでしまったことに、少しぞっとするんじゃないかな」と語る。
マーラを熱演しているロザムンド・パイクは「これこそ私が演じるべきキャラクターだと感じた」と言う。「マーラは私がスクリーンで見たいと思っていた女性そのものだった。これまで男性ばかりに許されてきた、残忍で野心的で、臆面もなく欲しいものを追い求める、そういうことが許される人物。彼女は勝ちにこだわっていて、お金を稼ぎたがっている。そして嫌われることに何の恐れも抱いていない。確かに彼女は人に好かれないタイプだけど、でも愛おしくなり、応援してしまう」と語る。まさにはまり役だったようだ。
(12月3日(金)より、全国劇場【3週限定】公開&デジタル配信開始)