「ヘルドッグス」岡田准一&坂口健太郎、潜入捜査官と狂犬組員役で死闘を展開するクライム・アクション

(2022年9月19日10:00)

「ヘルドッグス」岡田准一&坂口健太郎、潜入捜査官と狂犬組員役で死闘を展開するクライム・アクション
「ヘルドッグス」(渋谷TOEI)

ヤクザ組織に潜入した元警官が、相性98%の狂犬組員と最強コンビを組んで極秘ミッション遂行のために組織でのし上がりながら暗躍するノンストップ・クライム・エンターテインメント。
原田眞人監督と岡田准一が「関ケ原」(2017年)、「燃えよ剣」(2021年)に続いて3度目のコンビを組んで、やくざ間の抗争や内部の裏切り陰謀が渦巻く中で元警官の命がけの潜入捜査をスタイリッシュで斬新なセットや映像や大胆なストーリー展開で描いている。
関東最大の東鞘会の二次団体・神津組の若頭補佐で実は潜入捜査官の兼高昭吾に岡田准一、兼高の弟分で狂犬のような神津組組員・室岡秀喜に坂口健太郎のほか、東鞘会のトップの十朱義孝にロックミュージシャンのMIYAVI、神津組トップの土岐勉に北村一輝、土岐の愛人・吉佐恵美裏に松岡茉優、謎めいたマッサージ師の衣笠典子に大竹しのぶ、東鞘会幹部の熊沢伸雄に吉原光夫、土岐の部下で三神組のボス・三神國也に金田哲などのキャスト。原作は深町秋生の小説「ヘルドッグス 地獄の犬たち」。
2022年/日本/138分/配給:東映、ソニー・ピクチャーズエンターテインメント

■ストーリー

愛する女性が強盗事件に巻き込まれて死亡したことで復讐に燃え闇に落ちて犯人グループを追い詰めていく兼高昭吾(岡田准一)は、そのどう猛さが警視庁組織犯罪対策部に目をつけられ、関東最大のやくざ組織・東鞘会に潜入して、組織の若きトップ・十朱(MIYAVI)が持っている”秘密ファイル“を奪うという極秘ミッションを命じられる。兼高は相性が95%の狂犬のような組員・室岡秀喜(坂口健太郎)とコンビを組み、東鞘会の二次団体・神津組トップの土岐勉(北村一輝)に格闘の腕っぷしとクレバーさを認められ、スピード出世して、やがては室岡と共に十朱のボディガードに抜擢される。そうしたなか、関西最大の暴力団との抗争や組織内部の裏切りが渦巻く闇の世界に翻弄されて行く。

■見どころ

闇に落ちた元警官が関東最大のやくざ組織に潜入捜査する緊迫のドラマや、岡田や坂口らが繰り広げる数々の激しいバトルシーンや銃撃戦はリアルで迫力があり圧巻だ。そしてなにより登場人物のキャラクターがそれぞれ際立って異色で、従来のやくざ映画にはない造形が注目される。岡田演じる兼高は、元警官とは思えないほど闇の世界にどっぷりつかって組織のエリート幹部になり切り、やくざ間の抗争では高い格闘技のスキルで次々に敵をなぎ倒していくが、一方でクールに任務の遂行を目指す。坂口は感情をコントロールできないサイコパスで凶暴な組員という、これまで演じたことのない役柄を熱狂的に演じて見せている。
MIYAVIは東鞘会のカリスマ的なトップを、ファッションモデルかアーテイストのようにスタイリッシュに華麗に、またある時は残忍で狂気をはらんで咆哮するなど熱演。さらには大竹しのぶ演じる謎のマッサージ師、吉原光男はカラオケでオペラを歌う東鞘会の幹部・熊沢伸雄を演じ見事な歌唱を見せる。そしてカラオケでなぜかインターナショナルを歌う関西最大のやくざ組織の幹部も登場。また,ドスの効いたセリフ回しで神津組トップの土岐勉を演じる北村一輝ははまり役だ。そして土肥の愛人で兼高とも密会する松岡茉優演じる”極道の女“は、従来の極妻とは違ってファッショナブルで疾走感が溢れる。
そして金田哲演じる土岐の部下で三神組のボスはIT企業のエリート幹部のような雰囲気を漂わせる。ほかにも、赤間麻里子演じる熊沢の妻でSMバーを経営する佐代子の圧巻のリーゼント頭。さらにはクラブのホステスに成りすましていた元宝塚の中島亜梨沙が演じる女殺し屋が突然十朱に襲い掛かり、兼高と死闘を繰り広げる迫真のバトルシーンも。兼高や室岡や十朱の住む部屋までスタイリッシュで、そうした様々な仕掛けや遊び心、独特の美学が散りばめられて、原田監督ならではのニュー・クライムエンターテイメントになっている。
(2022年9月16日公開)