アジア全域版アカデミー賞 「第16回アジア・フィルム・アワード」 「ドライブ・マイ・カー」が最優秀作品賞含むトリプル受賞

(2023年3月13日18:10)

アジア全域版アカデミー賞 「第16回アジア・フィルム・アワード」 「ドライブ・マイ・カー」が最優秀作品賞含むトリプル受賞
「Excellence in Asian Cinema Award」と「AFA X STI ベスト・ドレッサー・アワード」を受賞した阿部寛

東京国際映画祭(TIFF)が香港国際映画祭、釜山国際映画祭とともに共催するアジア全域版アカデミー賞「第16回アジア・フィルム・アワード(以下AFA)」の授賞式が12日、香港で開催され、日本作品の「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)が、最優秀作品賞を受賞。本作は編集賞(山崎梓さん)と音楽賞(石橋英子さん)も受賞し、トリプル受賞に輝いた。(写真は主催者提供=@Asian Film Awards Academy)

この他、第35回TIFFのコンペティション部門に選出され、高い評価を受けた「エゴイスト」で宮沢氷魚が最優秀助演男優賞を受賞した。さらに、阿部寛が、アジア映画界・アジア文化における業績と貢献を称える「Excellence in Asian Cinema Award」の他、当日レッドカーペットを歩いた参加者から選ばれる「AFA X STI ベスト・ドレッサー・アワード」にも選ばれ、授与された。また、是枝裕和監督が、韓国作品「ベイビー・ブローカー」で最優秀監督賞を受賞した。

■阿部寛コメント全文(英語で挨拶:和訳)

「皆さん、こんばんは。Excellence in Asian Cinema Awardの受賞、そして多くの素晴らしい才能を持った方々の一員になれたことを大変光栄に思います。私たちをつなぎ合わせてくれたAFAアカデミーに感謝したいと思います。何十年にもわたる私の俳優としての仕事を認めていただき、感謝しています。昔、子供のころに好きだったアニメの役のオファーを受けたのが、映画の魔法の世界への入り口でした。タイムスリップしてお風呂をデザインできたり、ロマンチックでありながら結婚できなかったり等々、たくさんのキャラクターに挑戦してきました。多くの国で、多くの才能ある人たちと、様々な役柄を演じることは、素晴らしい冒険でした。しかし、その中でも香港は特に私の心に残っています。それは、ここで映画を作った良い思い出があるからです。私の旅を支えてくれたすべての人に、感謝とお礼を言いたいです。懐かしさと感謝の気持ちを込めて、この賞を受け取ります。本当にありがとうございました。」

■濱口竜介監督コメント全文

アジア全域版アカデミー賞 「第16回アジア・フィルム・アワード」 「ドライブ・マイ・カー」が最優秀作品賞含むトリプル受賞
最優秀作品賞を受賞した濱口竜介監督(前列右)ら「ドライブ・マイ・カー」の俳優、スタッフ

「大家好(ダージャーハオ)。Thank you very much.(授賞式に香港入境しているスタッフ、キャストを全てステージに呼び込む)ここに来られなかったたくさんのキャスト、スタッフもおります。その人たちの力で、『ドライブ・マイ・カー』という映画が出来上がりました。この場を借りて、その原作、素晴らしい物語を与えていただいた村上春樹さんにも感謝を申し上げます。思っているのは、もちろんプロデューサー、スタッフの力があって出来ているものではあるのですが、特に、私がこの場で称えたいのはキャストです。西島秀俊さん、岡田将生さんに来ていただいていますが、三浦透子さん、霧島れいかさん、パク・ユリムさん、ジン・デヨンさん、アン・フィテさん、ペリー・ディゾン、アジアから本当にたくさんの俳優の皆さんに来ていただいて、皆さんが本当に信じられるような感情というものをスクリーンの中で、撮影現場で見せてくれたから、今こうして、我々こうしていられると思っています。俳優が本当に何かを感じているから、観客も何かを感じることができるんだというシンプルな原則を私自身は信じています。そういうことがこれからも起こせるように、もちろんとてもいい仕事ができたと思ってはいますが、できなかったことにもちゃんとフォーカスをして、またここにいる皆さんと一緒にお仕事ができたらと思っています。そして今、この場にいる皆さまともいつかお仕事する機会があればと思っています。本当にありがとうございます。」

■宮沢氷魚コメント全文(英語で挨拶:和訳)

アジア全域版アカデミー賞 「第16回アジア・フィルム・アワード」 「ドライブ・マイ・カー」が最優秀作品賞含むトリプル受賞
最優秀助演男優賞の宮沢氷魚

「皆さん、こんばんは。このような素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思っています。スピーチは全部考えていたのですが、忘れてしまいました。(用意した紙が)ポケットの中にあるのですが、出すのはやめておきます。最初に、このような素晴らしい才能を持つ皆さまの前に立つことができて、これ以上ないほど幸せです。そして、この映画を愛し、私たちの愛する映画『エゴイスト』に手を差し伸べてくださった皆さんに感謝します。松永大司監督、主演の鈴木亮平さんにも感謝を伝えたいと思います。この映画は、映画だけでなく、新しい人生の形、人の捉え方、接し方など、様々な扉を開いてくれると信じています。誰もが幸せに、快適に暮らせる日。この映画は、まだ世界中を旅し始めたばかりです。そして、この映画には、私たちの想像を超えて、人々に働きかけるチャンスと力があると信じています。また、ここに戻ってくるのを楽しみにしています。ありがとうございました。」

■是枝裕和監督コメント全文

アジア全域版アカデミー賞 「第16回アジア・フィルム・アワード」 「ドライブ・マイ・カー」が最優秀作品賞含むトリプル受賞
最優秀監督賞の是枝裕和監督

「困ったな。全く想像していなかったので、何も考えていなくて。ベスト・ドレッサー賞だったらスピーチを考えていたんですけど(笑)サモ・ハン・キンポーさんとか、トニー・レオンさんとか、阿部寛さんと同じ場所にいられるだけで、今回は幸せな時間を過ごしておりました。僕は韓国で楽しい時間を過ごしただけなので、今日一緒に来ている福間美由紀プロデューサーが多分一番大変だったと思います。韓国の素晴らしいスタッフ、キャストと一緒にこの映画を作ることができて、本当に幸せでした。多分これからもこういう国際共同制作のような、文化とか言語を超えた映画作りを続けて行けという激励だと思いますので、頑張っていきたいと思います。ありがとうございます。」

■山崎梓さんコメント全文

アジア全域版アカデミー賞 「第16回アジア・フィルム・アワード」 「ドライブ・マイ・カー」が最優秀作品賞含むトリプル受賞
編集賞の山崎梓さん

「Thank you for a great prize.(素敵な賞をありがとうございます。) とても驚いており、何を言っていいのかわからないのですが、この映画が本当にたくさんの国で上映されていることを今実感していて、とても誇らしい気持ちにまたなっています。ありがとうございました。」

■石橋英子さんコメント全文(英語で挨拶:和訳)

アジア全域版アカデミー賞 「第16回アジア・フィルム・アワード」 「ドライブ・マイ・カー」が最優秀作品賞含むトリプル受賞
音楽賞の石橋英子さん

「本当にありがとうございます。素晴らしい作曲家の方々の中にいることに感謝しています。『ドライブ・マイ・カー』のキャスト、スタッフの皆さんに感謝します。ありがとうございました。」

■アジア・フィルム・アワード (主催:アジア・フィルム・アワード・アカデミー) 

2007年よりはじまったアジア映画を対象とした映画賞。東京国際映画祭は2013年より、香港国際映画祭、釜山国際映画祭と共にアジア・フィルム・アワード・アカデミーを創設し、アジアの映画業界と連携し、その年のアジアの映画人を表彰しスポットライトを当てることでアジア映画ファンの創出、世界へのアジア映画の振興、文化交流を図っている。