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映画
映画「けものがいる」ベルトラン・ボネロ監督が共同プロデューサーのグザヴィエ・ドランや「世界初のQRコードのエンド・クレジット」について語る
(2025年4月17日11:00)

近未来の男女の愛と運命を描く映画「けものがいる」のベルトラン・ボネロ監督が、共同プロデューサーを務めたグザヴィエ・ドランや「世界初のQRコードのエンド・クレジット」について明かしたコメントが到着。またドランが声の出演をした本編映像が解禁になった。
人間が「感情の消去」を余儀なくされていた近未来を舞台に、転生する女と男の愛と運命をスリリングに描く本作は、ヨルゴス・ランティモス監督の『哀れなるものたち』を始め、世界中から選りすぐりの 話題作が集結した第80回ヴェネチア国際映画祭の公式批評スコアで1位を獲得し絶賛された話題作。
『SAINT LAURENT サンローラン』、『メゾン ある娼館の記憶』などでカンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出された実績を持ち、現代のフランス映画界で最も独創性豊かなフィルムメーカーのひとりである鬼才ベルトラン・ボネロ監督が、イギリスの文豪ヘンリー・ジェームズの傑作中編小説「密林の獣」を自由かつ大胆に翻案しして映画化した。
近未来をクールに映像化した2044年、35ミリフィルムで 撮影された1910年、実際の事件にインスパイアされた2014年と、3つのコンセプトの 世界観を驚くべき手腕で緻密に構築し、100年以上の時を超えて転生を繰り返す男女の数 奇な運命を、スリルとロマンで描いている。
主人公ガブリエルを演じたのは、ヨルゴス・ランティモス、ウェス・アンダーソン、グ ザヴィエ・ドラン、デヴィッド・クローネンバーグ、ミア・ハンセン=ラヴといった名だたる個性派監督たちから愛され、『007』シリーズや『デューン 砂の惑星PART2』な どのハリウッド大作でも知られる国際的スターのレア・セドゥ。
また相手役には当初ギャスパー・ウリエルが決定して いたが、2022年1月に不慮の事故で急逝したことで、『1917 命をかけた伝令』のジョージ・マッケイにルイ役が託された。 ボネロ監督は時代ごとにまったく異なるルイを見事に演じ分けたマッケイを「天才」と絶賛し、本作をウリエルに捧げている。
そうしたなか、共同プロデューサーに名を連ねる監督や俳優として活躍するグザヴィエ・ドランについてボネロ監督からコメントが到着した。
ドランは2009年に脚本・主演を務めた監督デビュー作『マイ・マザー』がカンヌ国際映画祭監督週間部門に選ばれ、若き天才の出現と話題となった。その後も『わたしはロランス』『トム・アット・ザ・ファー ム』『Mommy/マミー』『たかが世界の終わり』『マティアス&マキシム』など次々と話題作を発表し、カンヌ国際映画祭やヴェネチア国際映画祭などで高い評価を受け、熱狂的なファンも多い。
そんなドランが本作に加わることになった経緯を「私と彼は長い付き合いで、お互いに評価し合っている関係です。何か一緒にしたいとずっと思っていました。本作はカナダとフランスの共同制作になったので、彼に声をかけました。ですので、それは友情から始まったと言えます」と明かした。
そして「彼は『Mommy/マミー』で、私は『SAINT LAURENT サンローラン』でカンヌ国際映画祭に参加していたときに初めて会ったと思います。また私はケベック州に住んだこともあります」と、ドランの出身地であるカナダのケベック州にボネロ監督が住んでいたこともあり、友情を深めたと語った。
またドランが声のみの出演をしているシーンの本編映像も合わせて解禁となった。進化を遂げたAIが管理する2044 年のパリ。レア・セドゥ演じるガブリエルが、有意義な職に就くためにDNAの浄化によって〈感情の消去〉をするセッションを受けているシーンで、ドランは面接官で指導役のAIの声を演じている。出演の経緯についてボネロ監督は「本作では彼にオファーする役柄はなかったが、オンラインでセッションを重ねているときに、『感情のない声』が必要だという話をしたら、最初は『僕はそんな声は無理だ!』と彼は言っていたのですが、結果的には引き受けてくれました」と話す。
QRコードのエンド・クレジットについては「世界初」だと語り、物語の最後に突然現れるQRコードはヴェネチア国際映画祭の上映時も大きな話題となった。「映画に見合ったものになっているのではないだろうか。一般的に言って、エンディング・クレジットが流れる 時間は感動的な瞬間だ。音楽があり、それに沿うようにして俳優やクルーの 名前が現れては消えてゆく。観客は次々と立ち上がって、ふたたび外の光を見いだす準備をする。この映画は、感情が追放された世界を描いているのだから、エンディング・クレジットの時間から感情が排されているのは理にかなっていると思う」という。また「エンド・クレジットは本編の一部でもある」と語った。QRコードを読み取るとクレジットだ けでなく、特典映像も含まれており、最後の最後まで見逃せない。映画館でエンド・クレジットまで計算されたボネロ監督の世界観に没入することができる世界初の作品になっている。



【ストーリー】
2044年、AI中心の社会で人間の感情は不必要とされ、有意義な仕事を得るには<感情の消去>をしなければならなかった。 孤独な女性ガブリエル(レア・セドゥ)は<感情の消去>に疑問を抱きながらも、仕事に就くために浄化を決意する。そして、トラウマとなった前世—1910年、2014年へ遡り、それぞれの時代で青年ルイ(ジョージ・マッケイ)と出会い 惹かれていくが、「何かが起きる」という強い恐れに苛まれる…。
【クレジット】
監督・脚本・音楽:ベルトラン・ボネロ ヘンリー・ジェイムズ「密林の獣」を自由に翻案 共同プロデューサー:グザヴィエ・ドラン
出演:レア・セドゥ、ジョージ・マッケイ、ガスラジー・マランダ、グザヴィエ・ドラン(声)
原題:La bête/2023年/フランス・カナダ/ 仏語・英語 /ビスタ/5.1ch/ 146分/字幕:手束紀子/配給:セテラ・インターナショナル
公式サイト kemonogairu.com 公式 X https://x.com/Kemono_movie
4月25日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開