Plusalphatodayツイッター

大坂なおみが全米OPでマスクに名前を入れた4人目の黒人犠牲者に対する特別な思い

(2020年9月7日16:50)

全米オープンテニス女子シングルスで6日(現地時間)、大坂なおみ(22)は4回戦でアネット・コンタベイト(24=エストニア)を6-3,6-4で下し準々決勝進出を決めた。そうしたなか、人種差別に抗議してマスクに犠牲になった4人目のトレイボン・マーティンさんの名前を入れて登場。マーティンさんに対する特別な思いをインスタグラムで明かした。

■4回戦「TRAYVON MARTIN」(トレイボン・マーティン)

大坂なおみが全OPでマスクに名前を入れた黒人被害者とは
(トレイボン・マーティンさん=インスタグラムから)

フロリダ州サンフォードの黒人男性の高校生トレイボン・マーティンさん(当時17歳)は2012年2月26日、ヒスパニック系の自警団員ジョージ・ジマーマン(当時28)と口論になり、丸腰のマーティンさんをジマーマンが射殺した。ジマーマンは拘束されたが5時間の取り調べ後に正当防衛で釈放となり、全米に抗議の声が広がり後の「#BlackLivesMtter」運動につながった。その後ジマーマンは第2級殺人などで訴追されたが2013年7月13日に陪審は無罪の評決を下した。

大坂は試合後にインスタグラムを更新してマーティンさんの名前の入ったマスクを着けた写真を投稿して「実はこれについては言いたいことがたくさんあります。私はトレイボンの死をはっきりと覚えています。私は子供であることを覚えていて、ちょうど恐怖を感じていて、不遜な情報ですが、私は実際に何年もパーカーを着ていなかった。私は "不審に見える "確率を減らしたかったのです。彼の死が最初ではないことは知っていますが、私にとっては何が起こっているのかに目を開かせてくれました。テレビで事件の展開を見ていて、何がそんなに時間がかかっているのか、なぜ正義が果たされないのかと思ったのを覚えています。同じことが何度も何度も起こるのを見るのは悲しいことです。物事は変わらなければなりません」とコメントした。

■1回戦「BREONA TAYLOA」(ブレオナ・テイラー)

大坂なおみが全OPでマスクに名前を入れた黒人被害者とは
(ブレオナ・テイラーさん=インスタグラムから)

1回戦の時に名前を書いた黒人女性ブレオナ・テイラーさん(当時=26)は、ケンタッキー州ルイビルの救急医療技術者で3月13日、ボーイフレンドのエイドリアン・ウォーカーさんとベッドで就寝していたときに私服警官3人がノックをせずに家に入ってきたため、ウォーカーさんは侵入者だと思って先に発砲。銃の所持免許を持っていたという。警官は20発以上発砲し、8発がテイラーさんに当たり死亡した。警官の主なターゲットは麻薬を販売していた別の2人の男性で、そのうちの1人がテイラーさんのアパートで麻薬を受け取った疑いがあるとして捜索令状を取っていたが、ノックをせず踏み込んだ。麻薬は発見されなかったという。テイラーさんの家族は「人命の価値を全く無視して発砲した」として「不法な死」で警察を提訴した。テイラーさんの死をめぐっては全米で抗議行動が起きて海外にも広がった。大坂は「テイラーさんの話を知らない人がいるかもしれない。テニスは世界中で見られている。多くの人に知ってほしい」と話していた。

■2回戦「ELIJAH MACCLAIN」(エリジャ・マクレーン)

2日(現地時間)の2回戦では、昨年8月24日、警官に拘束された後に死亡したマッサージ師の黒人女性エリジャ・マクレーンさんの名前が書かれたマスクを着けて、センターコートに入場した。ぜんそくを患っていたというマクレーンさん(当時23)はコロラド州オーロラでコンビニでの買い物から帰る途中にスキーのマスクを着用していて、不審な行動をしていたとして武器携帯容疑で逮捕された。そのときに、警官に首を締め付けられて地面に押さえつけられたという。マクレーンさんは数日後、病院で死亡した。

マクレーンさんを押さえつけたとき、警官のボディカメラはオフにされていたという。現場にいた3人の警官は一時停職になったが訴追されなかったという。ジャレッド・ポリス・コロラド州知事は今年6月、ツイッターにメッセージを発表して、この事件に関する捜査を求めた。マクレーンさんの遺族は、彼女の頚動脈部分に警察が過剰な暴力を加えた事が死因だったと非難している。

■3回戦「AHMAUD ARRERY」(アーマード・アーベリー)

2月23日、米ジョージア州のブランズウィックの住宅街で黒人男性アーマード・アーベリーさん(当時25)が、白昼ジョギング中に白人男性に射殺された。アーベリーさんは武器などは所持していなかった。アーベリーさんが白昼に路上で銃で撃たれる様子を撮影した動画が5月に公開され、ネット上で拡散され、事件発生から74日後に、グレゴリー・マクマイケル容疑者(64)と息子のトラビス容疑者(34)容疑者殺人と加重暴行の罪で訴追された。アーベリーさんの家族は、アーベリーさんはジョギングをしていただけで、憎悪犯罪の被害者だと訴えた。事件の映像は全米に衝撃を与え、ブランズウィック裁判所の前などで抗議デモが起きた。

全米で拡大する「#BlackLivesMatter」(黒人の命も大切だ)を支持している大坂は、先月下旬ウエスタン・アンド・サザン・オープン試合の開催中に起きた白人警官が黒人男性に背後から7発発砲して半身不随になった事件に抗議して、準決勝の棄権を表明した。大会側が全試合を1日延期したことで試合に戻った。大阪は自身のインスタグラムに「私はアスリートである前に黒人女性です」などと人種差別に抗議する声明を発表していた。そして全米オープンでは決勝に進出するまで7種類のマスクを用意しているという。「7枚用意しています。7枚では足りないのが悲しいが決勝までいってすべてのマスクを見せたい。それによって(人種差別の問題に)関心を持ってもらえたら」などと語った。