最高裁、元TBS記者山口氏の上告棄却 伊藤詩織氏への賠償命令確定 元記者への賠償命令も確定

(2022年7月10日11:00)

最高裁、元TBS記者山口氏の上告棄却 伊藤詩織氏への賠償命令確定 元記者への賠償命令も確定
二審判決後会見する伊藤詩織氏=1月26日(YouTubeチャンネル「KyodoNews」から)

ジャーナリストの伊藤詩織氏(33)が元TBS記者の山口敬之氏(56)から性的暴行を受けたとして損害賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(山口厚裁判長)は7日付の決定で、山口氏の上告を棄却した。山口氏が同意なく性行為に及んだと認定して約332万円の損害賠償を命じた二審の東京高裁の判決が確定した。また伊藤氏が著書などで、山口氏が「デートレイプドラッグを使った」と表現したのは真実とは認められないとして伊藤氏に55万円の賠償を命じた二審判決に対する伊藤さんの上告も棄却し、双方の二審判決が確定した。最高裁は憲法違反などの上告理由がないとだけ判断したという。

山口氏はこの件で伊藤さんに対する準強姦容疑で書類送検されたが東京地検は2016年に嫌疑不十分で不起訴処分にしていた。
伊藤氏は2017年、山口氏から性的暴行を受けたとして、1100万円の賠償を求める民事訴訟を起こした。一審、二審とも、伊藤さんが2015年、就職の相談をするために都内のすし店などで飲食した後に、ホテルの部屋で、酔って意識がない状態で性行為をされたと認定した。

■東京高裁判決「同意がないまま性行為に及んだ」

今年1月25日の東京高裁判決では、一審と同様に「同意がないまま性行為に及んだ」として山口氏に332万円の賠償支払いを命じた。一方で、伊藤さんが著書などで「デートレイプドラッグを入れられた」と表現した点については「真実性が認められない」として山口氏への名誉棄損とプライバシーの侵害に当たるとして伊藤さんに55万円を支払うよう命じた。

二審判決によると、伊藤氏は2015年4月、就職の相談で都内のすし店で酒を飲みながら山口氏と会食し、その後近くのホテルで性被害を受けた。判決では伊藤氏の説明内容が「信用できる」と判断。合意があったとする山口氏の主張は「事実経過と明らかに乖離し信用できない」として退けた。ホテルに着いた時点で伊藤さんは飲酒で酩酊状態だったと認め「意識を失っている中で同意なく性行為を始めた」と判断した。

二審判決を受けて伊藤氏は当時記者会見して「一審と今回の高裁の控訴審の判決の内容は、ほぼ、不同意、私の同意がないまま性行為がされたということは変わらず認定されました」「この民事裁判で同意がなかったと認められたことは、その点に関しましてはとても大きいのではないかなと思います」と判決を評価した。「願っているのは伊藤詩織ではなくこれが自分の近い人に起きたらどういったことになるのだろうということを少しでも想像していただきたいということです」と訴えた。「なのでこうやって少しでもオープンにお話しできたことがこの裁判で得られたことだと思っています」とコメントしていた。

山口氏は当時「デートレイプドラッグなるものの主張をめぐって伊藤さんの不法行為を認め損害賠償を認めたこと、これは高く評価します」「一審では認められなかったこちら側の主張が相当程度認められています」としたが、「その一方、いまだに先方の主張を認めている部分もあって、本件の判決に対しては全体として大いに不満がありますので上告することとし、その準備に入っています」と上告することを明らかにしていた。