藤島ジュリー景子社長の辞任を提言 ジャニー氏性加害「再発防止特別チーム」同族会社の弊害指摘

(2023年8月29日23:30)

藤島ジュリー景子社長の辞任を提言 ジャニー氏性加害「再発防止特別チーム」同族会社の弊害指摘
記者会見する「再発防止特別チーム」の左から精神科医・飛鳥井望氏、林眞琴前検事総長、臨床心理士・齋藤梓氏(YouTubeチャンネル「KYODO NEWS」から)

ジャニーズ事務所の前社長ジャニー喜多川氏(2019年87歳没)の性加害問題を調査していた外部専門家の「再発防止特別チーム」(座長・林真琴前検事総長)は29日、都内で記者会見して、ジャニー氏が長年にわたって数百人のジャニーズJr.に対して性加害を繰り返していたと事実認定し、同族会社の弊害などにより隠蔽されてきたと指摘したうえで、ジャニー氏の姪である藤島ジュリー恵子社長(57)の辞任を提言した。

■ジャニー氏の性加害の事実認定

ジャニー氏の性加害については、21名の被害者のヒヤリングを実施してどのような性加害を受けたのかを聞た結果、「ジャニー氏が自宅や合宿所や公演先の宿泊ホテル等において、ジャニーズJr.の多数の未成年者に対し、一緒に入浴したり、同衾をしたり、キスをしたり、体を愛撫したり、また性器をもてあそび、口腔性交を行ったり、あるいは肛門性交を強要するなどの性加害を行っていたことを認めました」と事実認定を明らかにした。

「古くは1950年代や60年代に性加害を行っていたことが認められ、それ以降まんべんなく性加害を繰り返しており、ジャニーズ事務所としては1970年代前半から2010年代半ばまでの長期間にわたって、多数のジャニーズJr.に対し広範に性加害を繰り返した事実が認められる」と指摘した。

ジャニーズJr.の間ではジャニー氏から性加害を受ければ融合され、拒めば冷遇されてしまうちう認識が広がっていた、という供述が得られた」と述べ、「一連の性加害はジャニー氏が、こういった被害者の心情に付け込んで行っていた」とした。被害者は少なくとも数百人いるという複数の証言も得られたという。

■被害者の「深刻な影響」

性加害の影響については「様々な状況で被害の場面がフラッシュバックする。似たような男性など、被害を思い出させる人物を避けるといった典型的なトラウマの反応、そして性機能不全、性依存、自己否定感、うつ病など様々な深刻な影響が生じている」と報告した。

■メリー氏とジュリー氏の認識

さらにジャニー氏の性加害について姉で前副社長のメリー喜多川氏(2021年93歳没)やメリー氏の娘のジュリー景子社長がどのような認識をしていたのかについて言及した。
「メリー氏については1960年代前半にはジャニー氏の性嗜好異常を認識していたとするのが蓋然性の高い事実であり、メリー氏はジャニー氏の性加害を認識しつつ、ジャニーズ事務所を守るために、あえてジャニー氏の性加害について積極的な調査をせずに隠蔽していた考える」と指摘した。
ジュリー氏については「暴露本の出版や週刊文春の特集記事を認識していたことなどに照らせば、ジャニー氏によるジャニーズJr.に対する性加害の疑惑について認識していたと認められるが、性加害の事実を調査するなどの積極的な対応はしていなかった」と指摘した。

■性加害問題の原因「個人的性癖としての性嗜好異常」とメリー氏による隠蔽

「ジャニー氏が20歳ごろから80歳半ばまでの間、思春期少年に対する性加害を間断なく、頻繁かつ常習的に繰り返していた事実がある。ジャニー氏には顕著な性嗜好異常、いわゆるパラフィリアが存在していたものと認められる」とし「ジャニーズJr.に対して長年にわたり広範囲行われた性加害の根本原因は、ジャニー氏の個人的性癖としての性嗜好異常に他ならないと考えてる」と指摘。
そして、メリー氏による放置と隠ぺいにも原因があると指摘した。「メリー氏は遅くとも1960年代前半にはジャニー氏の嗜好異常を認識していた蓋然性が高い」としたうえで「メリー氏はジャニー氏の性嗜好異常による少年たちへの性加害が続いていることを知りながらも、ジャニー氏の行動を止めるのを断念し、結果として放置する形になり、外部に対してはジャニー氏を守るために徹底的な隠ぺいを図ってきたものと考えられる。このようなメリー氏の行為が被害の拡大を招いた」と指摘した。

また「ジャニーズ事務所の不作為」についても原因として挙げた。
「ジャニー氏による所属タレントへの性加害は、1970年代には、すでに芸能界では周知の事実として広く知られていたであろうことと、1980年代に被害を訴えたジャニーズJr.対する事務所スタッフの対応から、ジャニーズ事務所にも外郭的には認識されていたと考えるのが合理的だが、ジャニーズ事務所は見て見ぬふりに終始していたことなどが被害の拡大を招いた大きな要因になった」と指摘した。
また「一方的な強者弱者の権力勾配のある関係性の下での、未成年者に対する同性による性加害が行われ、拒めば不利になるという子供たちの心理に付け込んだ性加害であったことが、被害の潜在化と拡大を招いた」と指摘した。

■同族会社の弊害

そして「ジャニーズ事務所は典型的な同族経営の会社であり、創業者たる経営者による違法行為等が行われた場合には、誰もそれを止めることができないという、同族経営の弊害が顕在化した状況であったことが背景事情にあると考える」と指摘。

また「ジャニーズJr.のずさんな管理体制から、ジャニーズJr.がジャニー氏やジャニーズ事務所に対して圧倒的に弱い立場であったこと、ジャニーズ事務所において、立場の弱い少年たちの人権を尊重しようという意識が希薄であったことなどが、性加害の発生と継続を許す一因になった可能性がある」とした。

さらにはジャニーズ事務所の「ガバナンスの脆弱性」を指摘した。「ジャニーズ事務所において取締役会の機能不全、各取締役の監視監督の懈怠、内部監査部門の不存在、内部通報制度や研修の不十分さ」を指摘した。

そして「マスメディアがジャニー氏の性加害について沈黙してきたことから、ジャニーズ事務所が自浄能力を発揮することなく、隠ぺい体質を強化していった」と指摘した。

また、エンターテインメント業界の問題点として「性加害セクシャルハラスメントなどが生じやすい土壌といったものがある」ことを指摘した。

■再発防止策

被害者が提案した再発防止策を踏まえて対応策を作成したという。
具体的には「ジャニーズ事務所は組織として、ジャニー氏の性加害が事実であると認め、真摯に謝罪することが不可欠」と指摘した。 そのうえで「速やかに被害者と対話を開始して、その救済に乗り出すべきである」としている。「謝罪と救済亡くしてはジャニーズ事務所が再生することは難しい」と指摘した。

その一つとして「被害者救済措置制度」を提案した。現在ビジネスと人権が重要なこととしてクローズアップされていて、人権侵害を起こした企業は被害者に対して救済を提供すべきとされているとして、「ただちにジャニー氏の性加害の被害者に対して、被害回復のための適切な補償をする被害者救済措置制度を自ら構築」して、「被害者との対話を速やかに開始し、適切な補償を行っていく必要がある」と提案した。 その制度をどう構築するのかは、今後ジャニーズ事務所が検討することになるが、特別チームとしては以下の4点を提言した。
1)「被害者救済の公正を図るために、補償についての知見と経験のある外部の専門家からなる被害者救済委員会を設置して、委員会が被害者の申告を検討して、補償の要否、金額等を判断し、必要に応じて不服申し立ての処理もできるようにするべき」

2)補償の金額当を判断するにあたっては、この種の補償の知見と経験のある外部専門家から意見を聴取したうえで、客観的な判断基準を作成する。
3)性加害が密室で行われていて、客観的な証拠が残りにくい性質のものである上に、加害者のジャニー氏はすでに亡くなっていることから、本件の救済措置制度の運用に当たっては、被害者に対して性加害があったことの法律上の厳格な証明を求めるべきではない。
4)ジャニー氏の性加害はかなり以前から行われていて、民法上の消滅時効が成立しているkとも考えられるが、被害者の真の救済を図るためには、すでに時効が成立しているいうものについても救済措置の対象とすべき。
さらに、多くの被害者が安心して被害申告をして適切な補償を得られるために、ジャニーズ事務所は新たに構築する被害者救済措置制度を対外的に広く公表して、被害申告をしても被害者の情報は必ず守られ安心して利用できる制度であることを担保した上で、その制度を説明して、いまだ名乗りを上げていない被害者が被害者救済措置制度を利用しやすいようにして広く救済していくことを提言した。

また、ビジネスと人権の指導原則に従って、今後国際的にみても他の企業の模範となるような人権方針の作成と実施。人権尊重や、性加害、ハラスメントなどの防止のための研修の充実による意識改革、タレントやジャニーズJr.に対する研修などを提言した。

■「藤島ジュリー景子社長の辞任なくしてジャニーズの再生はない」と指摘

ガバナンスの強化として、ジュリー社長の辞任と、それによる同族経営の弊害の防止を提言した。「ジャニーズ事務所の代表取締役のジュリー氏は、取締役就任時には、ジャニー氏の性加害の疑惑を認識していたと認められる。それにも関わらず、ジュリー氏はジャニー氏が存命中、取締役の当時はもちろんのこと、自身が代表取締役に就任して以降も、ジャニー氏の性加害を積極的に調査することなく適切な対応を怠り、取締役としての任務を懈怠した。またジュリー氏はジャニー氏の性加害の事実を公に認めていなかったために、ジャニーズ事務所はジュリー氏の体制になってからも、性加害の事実は存在しないという立場を取り続け、最近の23年に入ってもなお、性加害の事実についてはあいまいな態度を維持していた」と指摘し「ジュリー氏が経営のトップのままでは、今後社員、役職を根底から変えてジャニーズ事務所が再出発することは極めて困難であると私たちは考えます」とした。「今後ジャニーズ事務所が解体的な出直しをするためには、経営トップである代表取締役社長を交代する必要がある」と提言した。
ジャニーズ事務所が特別チームの提言を受けて、どう実現しようとするのか、ジャニーズ事務所の発表が注目される。

■ジャニーズ事務所がコメント「提言内容を真摯に受け止め取り組みを発表」

ジャニーズ事務所は29日、特別チームによる調査報告と記者会見を受けて、「『外部専門家による再発防止特別チーム』からの提言及び会見内容を真摯に受け止め、今後に予定をしております弊社による記者会見にて、その取り組みを誠心誠意ご説明させていただく所存でございます。今しばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます」とのコメントを発表した。