市川猿之助被告に懲役3年求刑　「舞台に立ちたい。歌舞伎で償っていきたい」

両親に向精神薬を服用させて自殺を助けた罪に問われた歌舞伎俳優・市川猿之助（本名・喜熨斗孝彦）被告（41）、の初公判が20日午後1時半から、東京地裁で行われ、検察側は懲役3年を求刑した。法廷では「舞台に立ちたい。歌舞伎で償っていきたい」という猿之助の供述調書が読み上げられた。判決は12月17日に言い渡される。

猿之助被告は今年5月、都内の自宅で父親の市川段四郎さん（76）と、母親の喜熨斗延子さん（75）に向精神薬を服用させて自殺を手助けしたとして自殺ほう助の罪に問われている。

猿之助被告は職業を聞かれて「歌舞伎俳優です」と答え、起訴内容を「間違いありません」と認めたという。

検察側は冒頭陳述で、「被告は一門へのパワハラ・セクハラに関する記事が出れば、歌舞伎界に迷惑をかける。死んだほういがいいと考えるようになった」とし、「被告が両親に自殺の意志が固いことを伝えたため、母親から『あなただけを逝かせるわけにはいかない。一緒についていく』といわれ、父親からも『うん』といわれ3人で自殺することになった」と指摘した。
また、猿之助被告の供述調書が読み上げられ、事件後にいろんな人と話すうちに「自分には歌舞伎しかない。許されるのであれば、舞台に立ちたい。歌舞伎で償っていきたい」と話していたことが明らかにされた。

弁護人の被告人質問で、両親に今何を思うかと聞かれ「申し訳ないことをした。そういう選択をしたことで父と母を失った。また支えてくれる人に傷をつけた」と答えた。さらに、どうすればよかったと思うかとに室温氏は「自分の想いを人に相談すればよたった」と答えたという。

検察は論告求刑で「被告の責任は重い」「両親は自殺の意思を有していたものではなく、被告の気持ちを酌み自殺を決意した」「両親に与えた影響は大きい」などと指摘して懲役3年を求刑した。弁護側は執行猶予付き判決を求めた。

その後、猿之助被告は「多くの方々に私よりつらい思いをさせてしまったことは消すことができない。この反省、申し訳なさ、感謝を一生背負っていく思いです」といい「もし僕にしかできないことがあれば、それをさせていただき生きる希望にしていきたい」と述べたという。初公判で結審し判決は来月17日に言い渡される予定。

猿之助被告は東京・目黒区の自宅で今年の5月17日から18日午前に、父親で歌舞伎俳優の市川段四郎（本名・喜熨斗弘之＝当時76）さんと母親の喜熨斗延子さん（当時75）に睡眠薬を服用させるなどして、自殺を手助けした罪に問われた。
猿之助容疑者は6月27日、母親の自殺ほう助容疑で逮捕され、18日には父親の自殺ほう助容疑で再逮捕された。

猿之助被告は5月18日に、東京・目黒区の自宅の半地下の自室で意識朦朧とした状態で発見され、自宅2階にいた父親の市川段四郎さんと母親の喜熨斗延子さんは死亡し、司法解剖の結果、死因は向精神薬中毒の疑いと発表された。

5月18日に猿之助容疑者のパワハラやセクハラ疑惑を週刊誌が報じており、猿之助容疑者は「私に関する記事が週刊誌に掲載されることを両親に話したところ、家族3人で次の世界へ行こうとなった」、「両親が自殺する手助けをしたのは間違いない。私も両親の後を追って自殺するつもりだった」と供述し、一家心中を図ったとみられていた。

初公判では一般傍聴席22に対して1033人が並び倍率は約47倍など、人気歌舞伎俳優の前代未聞の両親に対する自殺ほう助事件の関心が高いことをうかがわせた。今後の焦点は執行猶予が付くかどうかだが「相手が1人ではなく、2人に対する自殺ほう助での起訴だが、求刑が懲役3年と以外に少なかったこと、初犯であり罪を認めて反省している点などから執行猶予が付く可能性が高いのではないか」（法曹関係者）との予想も。いずれにしても、裁判所がどう判断するか判決の行方と、猿之助被告の歌舞伎復帰の成り行きが注目される。

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