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映画
第36回東京国際映画祭閉幕 「雪豹」が東京グランプリ 稲垣吾郎主演「正欲」が監督賞と観客賞の2冠
(2023年11月1日23:30)

第36回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが1日、東京・有楽町のTOHOシネマズ日比谷で開催され、コンペティション部門の東京グランプリ/東京都知事賞は中国映画「雪豹」(ペマ・ツェテン監督)が受賞した。日本映画では稲垣吾郎主演「正欲」が岸善幸監督の最優秀監督賞と観客賞を授賞した。
「雪豹」は今年5月に急逝したチベット人のペマ・ツェテン監督の最後の作品の一つ。白い豹が生息するチベットの山村を舞台に、若いチベット僧と豹との交流を描き、人間と動物の矯正の可能性を問う作品。審査委員長のヴィム・ヴェンダース監督は、「審査委員(5人)全員が満場一致で、53歳という若さで亡くなったペマ・ツェテン監督の『雪豹』の東京グランプリを与えたいと思います」と発表した。
出演した俳優のジンパは「監督はもういませんがここへ連れてきてくれたことを感謝します」と今は亡きペマ監督に感謝の言葉を述べ、「審査委員長のヴィム・ヴェンダース氏に心から感謝したいと思います。そしてこの映画を一緒にプロデュースしてくれた仲間たちにも感謝します」と述べ、チベット語で「ありがとうございます」と締めくくった。
■稲垣吾郎主演の「正欲」が最優秀監督賞、観客賞の2冠

稲垣吾郎主演の「正欲」は岸監督が最優秀監督賞、そして作品が観客賞を受賞した。稲垣主演映画としては昨年の「窓辺にて」(今泉力也監督)に続いて2年連続の観客賞受賞となった。
登壇した岸監督は「名誉ある賞をいただいてこれからの映画作りの励みになります」と喜びを語り「この作品が描いているのは、多様性という意味です。全ての人が自由で自分偽らずに生きていける社会とは何かということを問いかけています。世界、日本もそうですけども、なかなか自分のアイデンティティを確立することは難しい時代です。この作品を観て多様性という意味を皆さんに考えていただけたら嬉しいです。これを励みにいろんな映画いろんなテーマで作っていきたいと思います」と語った。
■審査委員特別賞と最優秀女優賞のザル・アミール監督がビデオメッセージ

「聖地には蜘蛛が巣を張る」(22)でカンヌ国際映画祭の最優秀女優賞を受賞したザーラ・アミール・エブラヒムの監督デビュー作(ガイ・ナッティヴと共同監督)で、イスラエル選手との対戦を避けるため、イラン政府から危険を強要された女子柔道選手と、コーチの葛藤を描く「タタミ」が、審査委員特別賞と最優秀女優賞(ザル・アミール)を受賞。
共同監督兼主演女優のザル・アミーはビデオメッセージを寄せ「世界は燃えています。イランは燃えていて、そこに住む素晴らしい人々を殺害しています。パレスティナは燃えていて、何千人もの市民の死を嘆いています。イスラエルは燃えていて人々が殺されています。いたるところで無実の人々が不正により血を流し、私たちが生み出した混乱の中で無力になっています」と訴えた。そして「しかし、私たちは映画を作りました。この映画は憎しみ合うように育てられた人々の奇跡的な組み合わせにより生まれた物語です。イスラエルとイランの監督が一緒に仕事をするのはとても大変なことです。あらゆる困難を乗り越えて、初めて団結し歴史を作ることになるのです。しかし映画が公開されたときは、歴史がこのように動くとは思っていませんでした。この映画に一つの力があるとすればそれは闇の時代に光と戯れることでしょう。日本で『柔道』という言葉は融和な道を意味すると聞きました。それこそが私たちが進みたい道です。未来のある唯一の道です。この映画『タタミ』は日本の名前ですが普遍的な問題を語っています。憎しみに向き合い、敬意を示す勇気をどう持ちうるか。東京国際映画祭審査委員の皆様、ありがとうございました」と熱いメッセージを送った。
■第36回東京国際映画祭:各賞
【コンペティション部門】
東京グランプリ/東京都知事賞 「雪豹」(ペマ・ツェテン監督)
審査委員特別賞 「タタミ 」( ザーラ・アミール・エブラヒミ監督、ガイ・ナティーヴ監督 )
最優秀監督賞 岸善幸(「正欲」)
最優秀男優賞 ヤスナ・ミルターマスブ(「ロクサナ」)
最優秀女優賞 ザル・アミール(「タタミ」)
最優秀芸術貢献賞 「ロングショット」(ガオ・ポン監督)
観客賞 「正欲」(岸善幸監督)
【アジアの未来部門】
作品賞「マリア」(メへディ・アスガリ・アズガティ監督)
【Amazon Prime Videoテイクワン賞】
「Gone with the wind」(ヤン・リーピン監督)
審査委員特別賞 「ビー・プリペアード」(安村栄美監督)
【エシカフィルム賞】
「20000種のハチ」(エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン監督)
【黒澤明賞】
グー・シャオガン監督、モーリー・スリヤ監督
【特別功労賞】
チャン・イーモウ監督
■クロージング作品「ゴジラ-1.0」上映で山崎貴監督、神木隆之介、浜辺美波が挨拶

「クロージングセレモニー終了後にクロージング作品として、「ゴジラ-1.0」が上映された。
上映前に山崎監督、神木、浜辺の3人が登壇して挨拶した。16年ぶりの東京国際映画祭に参加することになった神木は「クロージング作品ということで、山崎監督と浜辺という信頼できる人たちとこの場に建てることをとてもp光栄に思っています」と挨拶。オープニングでレッドカーペットを初体験した浜辺は「東京国際映画祭は初めてだったので、ゴジラをはじめ化機器さんや監督とあることができて、楽しんで参加することができました」と語った。
山崎監督は「ゴジラは東京国際映画祭で毎年毎年クロージングで上映されていた示談がありまして、その時最速でゴジラを見れるのが東京国際映画祭なのでいいなと思っていたんですが、久しぶりにゴジラが東京国際映画祭のクロージングを飾るということで、先輩たちにあこがれていたので、ついに自分のゴジラが栄えある場所にこれたんだということに非常にうれしく思います」と感想を述べた。そして最後に東京国際映画祭の安藤裕康チェアマンが閉会の挨拶を述べて、入場券を購入したのが5万人近くいて昨年から36%増加、またその他の関連イベントを含めると7万人が参加し、25%増だったこと。海外から2000人近い人が参加したことを報告し、クロージングセレモニーが終了した。
【第36回東京国際映画祭 開催概要】
■開催期間:2023年10月23日(月)~11月1日(水)
■会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区 ■公式サイト:www.tiff-jp.net
【TIFFCOM2023 開催概要】
■開催期間:2023年 10 月25 日(水)~27 日(金)
■会場:東京都立産業貿易センター浜松町館 ■公式サイト:www.tiffcom.jp