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映画「ジョーカー」上映に銃乱射事件の被害者遺族が警告

(2019年9月27日)

映画「ジョーカー」(10月4日、日米同時上映)の上映を前に、2012年7月、米コロラド州オーロラの劇場で起きた銃乱射事件の犠牲者の遺族が、ワーナー・ブラザースのCEOに同作品の暴力描写が再び銃乱射事件を引き起こしかねないと警告する手紙を送っていたことが分かった。事件があった劇場では「ジョーカー」を上映しないことを決めるなど波紋が広がっている。

米コロラド州オーロラの銃乱射事件では、12人が死亡し70人が負傷する大惨事となった。事件現場となった劇場では、凶悪なジョーカーとバットマンの死闘を描いたバットマンシリーズの「ダークナイト ライジング」が上映されていた。犯人のジェームズ・ホームズがジョーカーに影響されたかのような扮装をしていたことや「ジョーカー」と名乗ったと報じられ波紋を広げたが、実際はそうした事実はなかったという。

「ジョーカー」はホアキン・フェニックス演じる貧しい大道芸人がジョーカーへと変身していく物語で、べネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞を受賞した。

 遺族「『ジョーカー』が銃乱射事件を誘発しないか心配」

米「ハリウッド・リポーター」によると、銃乱射事件の犠牲者の遺族5人は連名でワーナーのアン・サーノフCEOに手紙を送った。ある遺族は「危機に瀕して神経が高ぶっている人や銃乱射事件を引き起こしたいと考えている者がこの映画を見て勇気づけられないか心配しています」と懸念を表明しているという。

遺族は「ジョーカー」の上映中止を求めているのではなく、「全米ライフル協会から金をもらって、銃規制に反対する志願者に政治的に貢献することをやめること」、そして「あなたたちの議会への影響力を銃規制に行使する事。ワーナー・ブラザースはみんなの安全を守ることを優先すること」としている。

 ワーナー「ジョーカーをヒーローとしては描いていない」

これを受けてワーナーは24日(現地時間)、声明を発表。「私たちの社会で銃による暴力が重大な問題になっています。この悲劇の合われた犠牲者や家族に対して深いお悔やみを申し上げます」とした上で、同社が以前からオーロラの事件を含めて犠牲者に寄付を行ってきたことを明らかにした。そして「フィクションとしてのジョーカーのキャラクターやこの映画は、現実世界のいかなる暴力も容認していません。この映画や製作者、スタジオはジョーカーをヒーローとして持ち上げる意図はありません」としている。

 別の遺族は「映画と現実は別。問題があるなら見なければいい」

米芸能サイト「TMZ」によると、オーロラの銃乱射事件の被害者の女性キャサリン・セネカルさんの父親マイク・セネカルさんは、前述の被害者遺族がワーナーに送った手紙の内容について、娘は共鳴しないだろうと語ったという。マイクさんは娘が映画と現実の世界を区別することが出来るだろうと語る。そしてジョーカーには関係なく暴力的な人間は存在するし、もしこの映画に問題があると思ったら見なければいいと語ったという。「ジョーカー」は上映前から米国で賛否両論を巻き起こしているようだ。