上海国際映画祭、コンペ部門に山田洋次監督「こんにちは、母さん」、熊切和嘉監督「658km、陽子の旅」 ハリウッド映画ゼロ

(2023年5月31日11:15)

上海国際映画祭、コンペ部門に山田洋次監督「こんにちは、母さん」、熊切和嘉監督「658km、陽子の旅」 ハリウッド映画ゼロ
第25回上海国際映画祭 (公式サイトから)

第25回上海国際映画祭(6月9日~18日)は29日(現地時間)、25周年記念となるコンペティション部門を発表し、地元中国の作品を中心に、イランや日本から選んだが、米国作品は1本も選ばれなかった。米ハリウッド・リポーターが報じた。日本からは山田洋次監督「こんにちは、母さん」と熊切和嘉監督「658km、陽子の旅」の2本が選出された

上海映画祭は、2020年初頭に新型コロナウイルスのパンデミックが始まって以来、世界の映画産業が容易にアクセスできる最初のバージョンとなる予定だという。昨年は、上海で1か月に及ぶ封鎖と、当時の政府の厳しい渡航制限を受け同映画祭は中止された。一昨年は開催されたが、当時は中国国内への出入国が困難であったため、ほぼ中国国内だけのフェスティバルとなっている。

主催者は、世界の映画関係者を中国に呼び戻そうと考えているが、米中関係の悪化や、中国における米国映画の収益の低下により、米映画産業の大幅な参加には逆風が吹く可能性があるとハリウッド・リポーターは指摘した。

上海国際映画祭は、中国で最も権威があり、芸術的にも評価される映画イベントとして広く知られているが、中国の他の公式文化活動と同様に、政治的な優先順位に左右されるため、最優秀作品賞の「金爵奨」などを選ぶコンペ部門のラインナップはやや偏った傾向があるという。2023年の開催にあたり、主催者は128以上の国と地域から約8800本の映画の応募があったことを明らかにした。しかし、ハリウッド映画はなく、中国では事実上、韓国のエンターテインメントが禁止されているため勢いのある韓国映画も含まれていないという。

そうしたなか、日本からは山田洋二監督の「こんにちは、母さん」と熊切和嘉監督の「658km、陽子の旅」の2本がコンペ部門に選出された。また、アジアのニュータレント部門に「ぬいぐるみとしゃべる人は優しい」(金子由里奈監督)、長編アニメーション部門に「とんがり頭のごん太―2つの名前を生きた福島被災犬の物語―」(西澤昭男監督)がノミネートされるなど日本勢のノミネートが3部門計4作品となった。
また「日本映画週間」として「大名倒産」(6月23日日本公開)や「仕掛人・藤枝梅安1・2」など5作品が上映され「大名倒産」に主演している神木隆之介や「仕掛人・梅安」に出演している天海祐希が出席するという。

■上海国際映画祭・長編映画コンペティション部門の出品作品

「オール・イヤーズ」 リュウ・ジャイイン監督(中国)
「ダスト・トゥ・ダスト」ジョナサン・リー監督(中国)
「グッドオータム、マミー」チェン・シーツォン監督(中国)
「ジョセフの息子」 ハオバム・パバン・クマール監督(インド)
「キンドリング」コナー・オハラ監督(英国)
「こんにちは、母さん」山田洋次監督(日本)
「ムイエレス」 マルタ・ララーナ監督(スペイン)
「ニーナ」オクサナ・バイチコワ監督(ロシア・ジョージア)
「ザ・アノイド」マフディ・ファルド・ガハデリ監督(イラン)
「ザ・チャペル」ドミニク・デルドーレ監督(ベルギー)
「ザ・ファースト・デイ・オブ・マイ・ライフ」 パオロ・ジェノヴェーゼ監督(イタリア)
「658km、陽子の旅」熊切和嘉監督(日本)