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映画
〈デュオ安楽死〉をリアルに描く「両親が決めたこと」 監督インタビュー公開
(2026年2月6日11:15)

〈デュオ安楽死〉を決めた両親と、その子供たちの心の機微を見事に描いた家族ドラマで、2024年トロント国際映画祭で「作品賞」を受賞した映画「両親が決めたこと」(2月6日公開)の監督カルロス・マルセットのインタビューが公開になった。日本に向けて世界初となる制作秘話などを話している。

■なぜ今、夫婦で最期を迎えるのか――映画が映す現代社会
質問:スペイン社会での社会的価値観、また家族の「負担」はどのように捉えていますか?
監督:スペインでも「長生き」は尊ばれますが、現代では「どう生き、どう愛し、どう別れるか」という生の質がより重視されています。日本と同様に「家族に迷惑をかけたくない」という思いはありますが、この映画の夫婦は「自分たち二人の愛の絆」を何よりも優先しています。現代の欧州でのデュオ安楽死という選択は家族に隠れて行う悲劇ではなく、徹底的な対話を通じて家族全員が納得した上で行われる「平和的な別れの儀式」としての側面が強まっています 。
■世界初公開情報 本物の場所と本物の職員で撮影された最期のシーン
マルセット監督は、本作の準備段階でスイスの安楽死支援団体「Exit」「Dignitas」への綿密な取材を行った。
監督:本作のクライマックス 夫婦が最期を迎えるシーンは実際の“本物の施設”と“本物のベッド”を使用して撮影された。そこは決して恐ろしい場所ではありませんでした。苦しみから解放され、愛する人に別れを告げるための、愛に満ちた平和な空間だったのです。また安楽死を行う施設のスタッフ役の一部は、実際にその施設で働く本物のスタッフたち。
彼女たちは撮影への出演を自ら希望した。自分たちの仕事に誇りを持っている。その思いが自然と表れていました。リアリティは演出ではなく、現場に存在していたのです。
■広がっていくデュオ安楽死は「悲劇ではない」
質問:なぜデュオ安楽死の選択が広がりつつあるのでしょうか?
監督:かつてのタブーが解かれ、一つの選択肢として認識されるようになったからでしょう。古くから「一方が死ぬと、後を追うように亡くなる夫婦」の話はありましたが、今はそれを悲劇ではなく、愛する人と共に「良い終わり」を迎えるためのポジティブな解決策として捉える人が増えています。特に子供のいない夫婦にとって「なぜ自分だけがこの世界に一人残らなければならないのか」という問いに対し、愛と連帯こそが生きる理由だと考える人々には非常に納得のいく選択になっています。



『両親が決めたこと』は、是非を断じる映画ではなく、観る者一人ひとりに、「あなたならどうするのか」という問いを静かに手渡す作品になっている。生き方の最終章において、誰と、どのように、別れを迎えるのか。その選択に、正解はない。だからこそ、この映画は今、多くの人に観られるべき問いを内包している。
【クレジット】
監督:カルロス・マルセット 脚本:カルロス・マルセット、クララ・ロケ、コーラル・クルス 撮影:ガブリエル・サンドル 編集:キアラ・ダイネーゼ 音楽:マリア・アルナル
出演:アンヘラ・モリーナ、アルフレード・カストロ、モニカ・アルミラル・バテット、パトリシア・バルガロ、アルバン・プラド
2024年/スペイン、イタリア、スイス/英語、スペイン語/106分/16:9/原題:Polvo serán/英題:THEY WILL BE DUST 配給・宣伝:百道浜ピクチャーズ
https://www.m-pictures.net/futarigakimeta/
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2026年2月6日(金)シネマート新宿ほか全国順次公開