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「海底47m 古代マヤの死の迷宮」「海の上のピアニスト」など「海の映画特集」

(2020年7月25日21:45)

映画評論家・荒木久文氏が、「海の映画特集」として海洋パニックホラー「海底47m 古代マヤの死の迷宮」など4本の作品の見どころやとっておき情報を紹介した。
トークの内容はFM Fuji「GOOD DAY」(火曜午後3時、7月21日放送)の映画コーナー「アラキンのムービーキャッチャー」でパーソナリティ・鈴木ダイを相手に話したものです。

「海底47m 古代マヤの死の迷宮」「海の上のピアニスト」など「海の映画特集」
(映画トークで盛り上がった荒木氏㊧と鈴木氏)

鈴木   荒木さーん!こんにちは。よろしくお願いします。

荒木   よろしくお願いします。
7月の地味な祝日ですが海の日がありますね。

鈴木   確かに地味な祝日ですよね。盛り上がるけどね。

荒木   今年はわざわざオリンピックに合わせて、前の日の23日にずらしたんですけどね。ちょっと微妙な感じですよね。今年は海水浴場も開くのか開かないのか、海の家もあるのかないのか…。
ダイちゃんは海に最近は行きましたか?

鈴木   行ってない。大好きなんだけど行ってないですね。

荒木   そうですよね。歳をとると縁遠くなりますね。

鈴木   そうなんですよ。不思議ですよね。

荒木   なのでせめて気分だけでも海の気分を味わおうと、毎年やっている、恒例ですね。海の日記念、「海の映画特集」ということで、今年も海に関する映画が公開されるので集めてみました。
海の映画といえば定番のサメの登場です。

鈴木   出たー!

荒木   あのジョーズの時代から、海の王者サメの映画は海のホラーには欠かせません。今年も新作が用意されていますよ。
7月23日 まさに海の日公開の『海底47m 古代マヤの死の迷宮』という海洋パニックホラーです。

「海底47m 古代マヤの死の迷宮」「海の上のピアニスト」など「海の映画特集」
「海底47m 古代マヤの死の迷宮」(23日公開)

鈴木   こういうの好きだなぁ。

荒木   舞台はメキシコのユカタン半島。ここにはセノーテと呼ばれる石灰岩地帯に見られる、陥没穴に地下水が溜まった天然の井戸や泉が3500ヵ所もあり、中には洞窟の地底湖もあるんですね。その中には多くの謎を残した古代文明、マヤ文明の遺跡が沈んでいるものもあるといわれています。今回の恐怖の舞台は、そんなミステリアスなセノーテです。 ストーリーですが、女子高生のミアとサーシャは、親同士の再婚で姉妹になりました。連れ子同士で血が繋がっていないので、若干ギクシャクしていたんです。
ある日、友人の二人の女の子がスリリングな遊びをしないかと誘ってきます。それは、マヤ文明の遺跡が眠る海底洞窟セノーテに潜るケーブダイビング(洞窟潜り)だったんですね。ダイビングは初心者のミアとサーシャでしたが、その誘いに乗り、潜ることになります。やがて女の子4人は水中の神秘的なマヤ文明都市の遺跡に辿り着きますが、複雑で迷路のような水中遺跡の中で迷子になってしまいます。このへんはお約束ですよね。酸素も残りがわずかなところに、恐ろしい巨大な生物が静かに潜んでいて…彼女たちは生還することができるのか…?
ダイちゃんにも観ていただきましたね。

鈴木   大好きでワクワクしてしまいました!

荒木   まあ気楽にキャーキャー声出しながら、ポップコーンとコーラと一緒に観たいタイプの映画ですよね。カップルで行けば男の子はひょっとしたら女の子にしがみつかれるかもしれないので、グッドなデートムービーですよ。

鈴木   もう一番好きなパターンです。

荒木   でも今、映画館はコロナ対策で座席がひとつ空けてあるからね。

鈴木   あぁ、そっか。

荒木   海と淡水湖のセノーテがつながっているという設定など、「えっ、そうなの?」という部分もありますが、真っ暗な洞窟に突如現れるサメの恐怖はとても新鮮というか斬新ですよね。濁った水の底でサメの出現というか画面への出し方のパターンがいくつかあって、突然がっと出たり、ぼんやり映したりとっても怖いです。そんな恐怖を楽しむ作品です。

鈴木   あのスタローンの娘さんが出てますよね?

荒木   そうなんですよ。有名な俳優の娘さんが二人出演しています。
一人は有名なジェイミー・フォックスの娘のコリーヌ・フォックス。そしてシルヴェスター・スタローンの美人揃いの三姉妹がいるんですが、その次女のシスティーン・スタローンが映画初出演をしています。そんなところも話題の作品です。
気軽にご覧になれる映画なので是非観ていただきたいと思います。『海底47m 古代マヤの死の迷宮』という7月23日公開の作品です。

鈴木   もうタイトルだけでいけますね。

荒木   そうですよね。

そして2本目は『海の上のピアニスト』です。
『海の上のピアニスト』は、あの『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督と映画音楽の巨匠で先日亡くなった、エンニオ・モリコーネがタッグを組んだ不朽の感動作ですね。一人の天才ピアニストを描いた、現代のおとぎ話ともいうべきですか間違いなく映画史上に残る一本です。

「海底47m 古代マヤの死の迷宮」「海の上のピアニスト」など「海の映画特集」
「海の上のピアニスト」(公式インスタグラムから)

ストーリーですが、大西洋を往復する豪華客船の上で産み捨てられた赤ん坊は、生まれた西暦などから「1900(ナインティーン・ハンドレッド)」と名付けられ船内で育てられました。彼は船内のダンスホールのピアノを弾き始め、素晴らしい腕前のピアニストになるのですが、生涯一度も船を降りることがなかったんですね。土を踏んだことがなかったんです。そういった物語です。,br>
名優ティム・ロスが演じました。 日本公開は初めてが1999年。約20年を経た2020年の今年、当時のオリジナル作品から二つのパターンの派生作品というのでしょうか。趣を異にする二つの『海の上のピアニスト』が公開されます。

ひとつめは、8月21日公開の、トルナトーレ監督の監修による『海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版』です。長さ121分です。これは当時の技術では表現しきれなかった、豪華客船の本当に煌びやかな内部や青く透き通るような海の景色などが本当に綺麗な色とクリアな映像で甦っています。
美しいピアノの旋律に、うっとりとするような綺麗な映像がクロスすることで、当時とは一味違う感動の映像体験を楽しむことができるようです。

もうひとつは「イタリア完全版」とクレジットされた作品です。
こちらは、インターナショナル版として、カットされた40分以上のシーンが復活します。 この40分の復活というのは、主人公1900(ナインティーン・ハンドレッド)の幼少期のパートが長く、伝説のピアニストとして成長していく彼の音楽的なバックボーンが描かれている部分だそうです。長さは170分です。本来英語の映画なのですが、こちらはタイトルやクレジットロールもイタリア語で表記されているようです。
『海の上のピアニスト イタリア完全版』は9月4日金曜日の公開です。
こちらはダイちゃんにも観ていただくようにしますので。名作ですので是非。

鈴木   はい、是非とも。

荒木   続いて3本目です。
海の日の映画ですが、海洋考古学って学問がありますよね。考古学の一分野で、人類の海洋環境の利用や海上活動の歴史を、遺跡や遺物を研究して解明する学問です。トールヘイエルダールとコンティキ号の南太平洋横断もこれに近い分野ですね
。 8月1日公開の『大海原のソングライン』という作品です。
この作品はいわば海洋考古音楽学とでも言いましょうか。音楽が主体なんですよ。

5000年前に太平洋を航海した古代の人々は数千年もかけて地球の半分を覆う様々な島に辿り着き、そこで交流を行ったと考えられています。そして文字が普及していないその時代に、古代の人々をつないだのは音楽だったのではないかという説に基づいて、太平洋のイースター島からインド洋のマダガスカルまで16の島国に残る伝統的な音楽とパフォーマンスを記録した音楽ドキュメンタリー映画です。『大海原のソングライン』です。
台湾からオーストラリア、ニュージーランド、マレーシアからマダガスカル、そしてイースター島に至るまでの島国に残る伝統的な音楽やパフォーマンスをきちんと記録してあります。

リズムものも多いし、単純にアカペラで歌うものも多いんですが、その音楽の快さと海の映像の引き込まれるような美しさがクロスして本当にずっと見ていたい作品です。ドキュメンタリー映画なのに癒される気分になります。お好きな方は是非観ていただきたいと思います。
8月1日から公開の『大海原のソングライン』というドキュメンタリー映画です。

最後、これは海の日とは直接関係ないのですが、我々やダイちゃんの世代には非常に興味深い作品です。
「頭脳警察」といって、ご存知の方はある程度のご年齢の方でしょう。
現在公開中の『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』という作品のご紹介です。

鈴木   あのバンドの頭脳警察ですか?

荒木   そうなんです。

鈴木   うわーお!まじですか!

荒木   1969年の結成で50周年を迎えたロック界のレジェンドグループ「頭脳警察」のドキュメンタリーです。メンバーはPANTAさんとTOSHIさんのふたりですね。彼ら「頭脳警察」の作品は、政治的な歌詞などから発売禁止や放送禁止になることが多かったのですが、彼ら自身の表現のためには様々なタブーにも臆することなく挑戦して音楽を続けてきました。
そして近年、若いサポートメンバーも加え「頭脳警察50周年バンド」を始動させています。映画ではそんな「頭脳警察」と同時代を歩んできた人や彼らの音楽性を追いかける人など、そういう世代の証言とともに「頭脳警察」の過去と現在を検証し、彼らを通して日本のカウンターカルチャーやサブカルチャーの歴史を浮かび上がらせています。とても興味深い作品です。
音楽畑のダイちゃん、日本のパンクといっていいバンドですよね。

鈴木   そうだと思いますね。

荒木   日本ロック界のもう一つのヒストリーといえると思います。
『zk/頭脳警察50 未来への鼓動』という現在公開中の作品、音楽ファンだったら若い人でもこういうものが昔あって今も活動しているんだということも含めて知れると思うので、足を運んでいただきたいと思います。

鈴木   僕、頭脳警察、2009年か2010年のフジロックで見てるんだよね。

荒木   そうですか。彼らは孤高のグループですよね。すぐ解散しちゃうんですけどまた結成したりして、PANTAさんとTOSHIさんはずっとやってますもんね。もう70歳過ぎてますよね。

鈴木   すごいよね。

荒木   すごいですよね。本当に一つの道をきちんと貫徹するということは大変なことですよね。

鈴木   そう、ある程度のあの歳までいっても、怒ってることがあるとか社会に対して言いたいことがあるっていうエネルギーがすごいですよ。

荒木   そうですよね。歳をとるとみんな、色んな意味でしょうがないかと順応するかと思っちゃいますからね。だけど、この人たちは老人になって怒ってるんじゃなくて前から怒ってるからね。

鈴木   そうですよ。ずっと怒ってるから。すごいですよ。

荒木   すごいですよね。そういうメッセージですよね。一貫して発信していますので、興味のある方は是非観に行ってみてください。

ちょっと駆け足になってしまいましたが、今日は4本紹介させていただきました。
ちょっと憂鬱な海の日なんですけど、梅雨も明けるのかどうか分からないですね。

鈴木   なんか今年は夏の訪れを感じないですよね。
でも荒木さん、『海底47m』もそうですけど、『ジョーズ』以降なんでサメの映画ってウケるんですかね?

荒木   本能的な恐怖なんでしょうね。海、サメ、怖いというね。必ず1本は出てきますからね。この『海底47m』も3年前だったかな。

鈴木   これ2なんですよね?今回のは。

荒木   そうです。だけど基本的には全く別のストーリーです。ただ精神的なものを受け継いでいるという『海底47m』シリーズです。

鈴木   シリーズですよね。だけど夏休みといってもなかなか海には行けないですけど、サメだけじゃなく色々気を付けて楽しんでほしいですよね。

荒木   私たちも海に行って貝でも拾って楽しみたいですけどね。

鈴木   ははは。荒木さん、ありがとうございました。

■荒木久文(あらき・ひさふみ)1952年長野県出身。早稲田大学卒業後、ラジオ関東(現 RFラジオ日本)入社。在職中は編成・制作局を中心に営業局・コンテンツ部などで勤務。元ラジオ日本編成制作局次長。プロデューサー・ディレクターとして、アイドル、J-POP、演歌などの音楽番組を制作。2012年、同社退職後、ラジオ各局で、映画をテーマとした番組に出演。評論家・映画コメンテイターとして新聞・WEBなどの映画紹介・映画評などを担当。報知映画賞選考委員、日本映画ペンクラブ所属。

■鈴木ダイ(すずき・だい)1966年9月1日生まれ。千葉県出身。日本大学芸術学部演劇学科卒。1991年、ボストン大学留学。1993年 パイオニアLDC株式会社(現:ジェネオン・ユニバーサル)入社 し洋楽宣伝プロモーターとして勤務 。1997年 パーソナリティの登竜門であるJ-WAVE主催のオーディション合格 。
現在は、ラジオパーソナリティとして活躍するほか、ラジオ・テレビスポット、CMのナレーション、トークショー司会やMCなど、幅広く活躍。 古今東西ジャンルにこだわらないポピュラー・ミュージックへの傾倒ぶり&造詣の深さ、硬軟交ぜた独特なトーク、そしてその魅力的な声には定評がある。FM Fuji『GOOD DAY』(火曜午前10時)のパーソナリティなどに出演中。

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