ジョニー・デップ、英紙に対する名誉棄損裁判の控訴を棄却される

ジョニー・デップ（57）が前妻アンバー・ハード（34）に対するDVを報じた英紙「サン」を名誉棄損で訴えた裁判で敗訴した判決を不服として控訴を請求していたが英国の裁判所は25日（現地時間）、「(一審で)完全で公正な審理を受けた」としてデップの控訴を棄却した。

米紙ニューヨーク・ポスト（電子版）によると、デップは英国の裁判所が「実質的に真実である」として「ワイフ・ビーター」（妻虐待夫）の烙印を押した英紙「サン」紙の名誉棄損を認めなかった昨年の判決に異議を唱えて控訴を申請していたが、控訴裁判所の2人の判事が、「（デップ氏は）完全で公正な審理を受けた」としてデップの控訴申請を却下した。

判決では、「（一審の）裁判官は、結論を出すにあたり、アプローチや法的問題にいかなる誤りもなく完全な理由を述べた」と指摘。「したがって、デップ氏の追加証拠提出申請と控訴申請を棄却する」としている。

この裁判では昨年7月に3週間にわたって双方の暴露合戦の証言が行われ、デップとハードは短く波乱に満ちた結婚生活について真っ向から対立する証言をした。デップの大量の飲酒や薬物摂取、さらには夫婦のベッドに排泄物が残されていたなどのスキャンダラスな証言も飛び出して波紋を広げた。

ハードの広報担当は25日、今回の判決でDVの証拠が「圧倒的で否定できないことが証明された」とした上で控訴棄却を「喜んでいますが、決して驚きではありません」とコメントした。被告のサン紙は、「（控訴却下を）確信していた。この決定を喜んでいる」とコメントした。「この事件は、完全かつ公正で適切な審理が行われ、今日の判決は、加害者によってアンバー・ハードが何度も貶められ口封じされようとしたにもかかわらず、家庭内虐待について法廷に提出した勇気ある証言を正当化するものです」と同紙は声明を発表した。

デップは、「サン」相手の名誉棄損裁判のほかに、DVの被害者としての経験についてハードが寄稿したワシントン・ポストの手記に対して、名誉棄損でハードに5000万ドル（約54億5000万円）の損害賠償を請求して米バージニア州の裁判所に提訴している。この裁判は2022年4月まで延期された。これに対してハードは、デップはハードの人生を破滅させるために偽のアカウントを使って「中傷キャンペーン」を行ったとして、1億ドル（約109億円）の損害賠償を請求する”倍返し“の反訴を起こした。デップVSハードの”法廷バトル“は今年も続くことになり、成り行きが注目される。

■ジョニー・デップVSアンバー・ハードの”バトル“の経過

デップとハードは2012年に「ラム・ダイアリー」で共演したのがきっかけで恋愛関係になり、同年デップは長年のパートナーだったヴァネッサ・パラディ（45）との破局を発表。14年にハードと婚約して翌年2月に結婚したが、わずか１年３か月の結婚生活で16年５月にハードが離婚を申請。酒に酔ったデップからDVを受けていたとしてあざができた顔写真を公開して波紋を広げた。デップはDVを否定していたが17年8月にデップが７００万ドル（約７億6300万円）を支払うことで離婚が成立した。これで一件落着かと思われたが続きがあった。
18年10月、デップが雑誌「GQ」（英国版１１月号）のインタビューで、ハードに対するDVを全面否定して、ハードのDV告発で「シンデレラから醜い男にされた」などと激しく非難。さらにハードが同年12月ワシントン・ポストに手記を寄せてDVを告発したら報復されたとしてそうした社会構造を変える必要があるなどと訴えて、その後デップが「妻虐待夫」と報じた英紙「サン」とワシントン・ポストに手記を書いたハードを名誉棄損で提訴した。