-
OTHER
ロシア国営TVで反戦訴えた女性が罰金3万円で釈放「14時間以上拘束され、弁護士に相談することも許されなかった」
(2022年3月16日12:45)
プーチン政権の支配下にあるロシアの国営テレビ「チャンネル・ワン」の生放送中にスタジオに乱入して「戦争反対」などと書かれたプラカードを掲げた同局の編集者マリーナ・オフシャンニコワさん(34)は15日、モスクワの裁判所で3万ルーブル(約3万3000円)の罰金を命じられて釈放された。だが、今後ロシア軍に関する「偽情報」を掲載したメディア関係者を取り締まる新法に基づいて訴追され、最高で15年の禁錮刑を科される可能性もあるという。そうした中ウクライナのゼレンスキー大統領が彼女の抗議行動に感謝し、フランスが難民として保護することを実現したと英紙が報じた。また英国の国会議員がノーべル平和賞候補に推薦するよう働きかけているという。
英紙デイリー・メール(電子版)によると、ロシアの国営放送「チャンネル・ワン」のシニアエディター(編集者)で2児の母親のオフシャンニコワさんは、「NO WAR(戦争反対)」「プロパガンダを信じるな。彼らは嘘をついている」と書かれたプラカードを掲げスタジオに乱入して逮捕された。
オフシャンニコワさんは法廷で無罪を主張し、「ロシアが罪を犯していると今も確信している」と陳述。国営放送ロシア・トゥデイのディレクターと結婚しているオフシャンニコワさんは、釈放後に裁判所の階段で詰めかけた報道陣に、14時間の尋問の間、弁護士との連絡を禁じられたことを明らかにした。「私の人生において本当に難しい一日でした。2日間眠らず、14時間以上拘束され、親しい人に連絡することも、法律相談を受けることも許されなかった…だから、本当に厳しい状況に置かれていることが分かったわ」と語ったという。
オフシャニコワさんは、「支えてくれたみんなに感謝したい」と述べ、これ以上質問に答えるには疲れすぎていて「休息が必要」だと付け加えたという。
■インスタグラムで発表した声明の内容「ウクライナで起きていることは犯罪でありロシアは侵略者」
また事前にインスタグラムにビデオ声明を投稿してプーチン大統領を名指しで非難して「狂気の戦争」を止めるために声を上げることを呼びかけていた。以下声明の内容。
「今、ウクライナで起きていることは犯罪であり、ロシアは侵略者です。そして、この侵略の責任は、たった一人の人間にあるのです。その人物とは、ウラジーミル・プーチンです」と訴えた。
そして「私の父はウクライナ人です。私の母はロシア人です。そして、決して敵同士ではありませんでした。そして、私の首にかかっているこのネックレスは、ロシアが直ちに恫喝戦争を止めなければならないという事実の象徴です。そうすれば、兄弟である私たちの民族は、まだ和解することができるでしょう」と語った。
さらに「残念ながら、近年、私はチャンネル・ワンで働いており、クレムリンのプロパガンダのために働いています。そして、私はそれを非常に恥じています。スクリーンから嘘を語らせていたことを恥じています。ロシア人がゾンビにされるのを許していたことを恥じています」と語り「この暴挙を止められるのは私たちしかない」と訴えた。
オフシャンニコワさんは警察に逮捕され、3万ルーブルの罰金を言い渡され釈放されたが、クレムリン(ロシア大統領府)の取り巻きが彼女を監禁するように要求しており、ロシア軍に関する「偽情報」を掲載したメディア関係者を取り締まる新法に基づき訴追され、最高で15年の禁錮刑を科される可能性もあるという。
■マクロン仏大統領「彼女を保護するための外交努力を開始する」
ウクライナのゼレンスキー大統領は「真実を伝えようとすることをやめないロシア人たちに感謝している。偽情報と戦い、友人や愛する人に真実、本当の事実を伝える人たちに感謝する」と語った。
フランスのマクロン大統領は15日(現地時間)、オフシャンニコワさんを保護するためにプーチン大統領と話し合うと語った。「我々は大使館での保護か、亡命による保護のいずれかで彼女を保護するための外交努力を開始する」としたうえで「次のプーチン大統領との会談で、直接的かつ具体的な方法でこの解決策を提案するだろう」と語ったという。また英国の国会議員も、彼女をノーベル平和賞候補に推薦するよう働きかけており、SNSユーザーが彼女のFacebookなどに応援と賞賛のメッセージを寄せているという。